『HAPPY NEW YEAR (2014)』

インド版Blu-rayジャケ。

 
Charan Grover(Jackie Shroff)によって自分の未来だけでなく父まで奪われたCharlie(Shah Rukh Khan)にCharanへの復讐の機会が訪れた。たった一晩だけドバイのCharanが所有する大金庫に5保管されるというダイヤモンドを奪う事で彼を磨滅させようとCharlieは仲間を集めはじめる。大金庫の襲撃準備そのものはほぼ万全なれど、一番にして最大の問題はこの計画がドバイで行われる世界ダンス大会にインド代表として出場しその大会中に侵入し… というもので、投票結果はハッキングでチートするにしても最低限踊れなければそもそも成立しないのだが爆破のプロで腕っ節も立つJag(Sonu Sood)、金庫破りのTammy(Boman Irani)、天才ハッカーRohan(Vivaan Shah)、アル中気味なのが玉に傷なNandu(Abhishek Bachchan)らはキチンとダンスを習った事が無かった。地方予選は審査員を脅迫する事で何とかなったものの、このままでは駄目だとNanduが紹介したのは子供達向けダンス教室を開講したいという夢を持つものの未だ叶わぬMohini(Deepika Paduko)だった。
 
6人皆、それぞれが想いはあれど叶わぬ負け犬Loser達は果たして目的を達する事が出来るのか?

 

 
『Main Hoon Na (2004)』『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム (Om Shanti Om (2007))』に続くシャールクとファーラ監督の三作目、前二作はとても大好きな作品なんだけど『Tees Maar Khan (2010)』の撮影スケジュールに端をする二人の確執から主演をアクシャイ・クマールに変更しての作品はファーラ監督の出産やらとも重なって実にグズグズな出来で正直どうかなぁ… って思ってはいたんですが7年ぶりの再タッグ、そして『Om Shanti Om』以来のディーピカとの共演、そしてこの予告編の豪華さって事でBlu-rayが出るまで我慢しての視聴でしたが
 
 うん、楽しかった!
 
もぅ粗っか荒っぽいことこの上もない映画で、中でも見せ場でストーリーにとって重要な筈の大金庫襲撃を筆頭にツッコミどころだらけではあるし、映画の出来としてはシャールク&ファーラ作品としては一番アレっか荒い作品だとは思うんですけどクライマックスをキチンとクライマックスとしてガッツリと、コッテリと、タップリと見せてくれたらなんかイチイチ細かい事言うのがチンケと言いますか野暮と言うか… 観終えて冷静になってみると、そいういう点では劇場のスクリーンで観るべき作品だと本当に思うし観たい!んですが、ストーリーや登場人物、出演者などから思うに、本作はこの10年くらいのインド映画を観てきた人向けかなぁ…って思ったりもしなくもないですよ、後で冷静になって顧みれば。でも、そういう気分にならんとですよ。
 
例えるなら…
 

 

 

 
『おいしい本棚』様の記事より転用
 

 
…って感じで、いちいちカロリーが、とか、栄養バランスが、ボリュームが、とか色合いが、とか言うのも野暮って言うんですかね? ひたすらに楽しく、明るく、ハッピーに、って作られてる作品でシャールクですよ、ディーピカも!って盛り盛りになってる作品ですからもぅこれは素直に楽しむしかありませんって… ただまぁ、体調が宜しくないと胸焼けしそうですが(笑)
 
 
大ヒット作でヒーローのシャールク&ディーピカがヒロインって事で『Chennai Express (2013)』(感想)と比べると、映像のスケール、ダンスシーンの必要性と濃度、そしてクライマックスに向けての積み重ね方といいキャラクターのブレなさといい本作の方がスムーズな上に有無を言わさない巧さがあると思うですよ。なので断然楽しい!ポッポポー様の本作のレビュー記事によれば最初、上映時間が188分が179分になったんだそうですが、端折られたって印象はしないんですよ。エピソードやシーンのカットはBlu-ray特典のDELETED SCENESから察するにテンポアップとトーンの調整が主で、お話ストーリーに必要な部分はちゃんと残してあるんじゃぁないかと。そりゃまぁJagの耳ネタとか「これ必要か?」なネタは結構ありますし、先に書きましたがツッコミどころだらけなんですけど、シーンの切り替えでトーンが狂わせないでの展開でのクライマックスからのエンディングで素直に「終わり良ければすべて良し!」って思ってしまったんだからしゃぁないです。個人的には日本版もある

 の方をオススメしますが、劇場でのひととき、世間を、日常を忘れる楽しみって徹底した本作はドバイの夜景って大スクリーンならではの掴みがオープニングって最初から抜かないで最後までみっちりと、まさに劇場での娯楽作品として実に、実に素敵な作品ではないですかね…
 

  • 以下、箇条書きの余談。
    • ライザップ!げなシャールクの割れ割れ&濡れ濡れはやっぱ監督の趣味なんだろうなぁ。
    • 女性監督作品なのにヒロインのチョロインぶりがなんかすげぇ。
    • 『Bunt aur Babli (2005)』『DOSTANA (2008)』『Bol Bachchan (2012)』等が大好きな私の偏見だけどAbhishek Bachchanが活きるのは二の線じゃなくてコメディだとあらためて思ったっす。本作でも地の人柄の良さと伸び伸びやってる雰囲気が可愛げになってるけど、それは頭で脚本から考えて演じて身で現せるものではないと思うんですけどね…
    • チームコリア、だけど国旗は北朝鮮。ダンス大会参加組の中で唯一、衣装もメイクもダンスも何もかも自国の文化や風俗とは何ら関係が無いチームってのはインド人の一般的な認識なのか、中国等へのマーケティングを意識したものなのかね?
    • インド映画でもブルース・リージャッキー・チェンだけで通じるのね!
    • あの”愛国心”を個人的には羨ましく思う。日本だとアサヒとかサヨクがグンクツがとか言いそうだし、愛国ポルノとか揶揄する人もいるんだろうなぁ…と思うとちょっとウンザリもして。

 
 
…って事で、以下は本作のBlu-rayについての情報なので興味のある人だけ

 
『HAPPY NEW YEAR』
 
Label: T Series
Theatrical Release dates: 24 October 2014
Runtime: 180min

No of Disks: 1
Subtitles: English
Audio: DTS MASTER TRUE HD, DTS 5.1 Surround
Video Format: NTSC
 
Special Features
・MAKING OF THE FILM (26:11)
・DELETED SCENES (14:43)
 

 
正直、ソフトとしては寂しいっか素っ気ないつくり。ケースは紙製のアウターが付くがラベル裏は真っ白でケースがクリアーなだけになんかこぅ、開けた時のワクワク感は無いかな、と。まぁゴチャつかれててもアレですが… 他にも「SONG」はあくまでSONGシーンのチャプターであって音楽シーンのみの連続再生は出来なかったり、映像特典が2つだけとかも込みで、もぅチョイって気もしなくもなく… ま、その分定価が安いだと思えば。
 
映像の感じはゲインとブライトがチョイ高めな感じですが、飛ぶ&潰れる程ではないのでまぁ十二分に綺麗ではないかと。1080PのHD映像をみっちり堪能しました。あと嬉しかったのが音楽シーンには広告もロゴも無し!スッキリ!最高! インド映画のソフト、その中でもT-Series社のって音楽シーンにはメーカーロゴと着うた番号と広告が出るのがデフォでしたがそれが無いんで画面をずっぷりと堪能出来ました。出来ればこれがデフォになってもらいたいもんですな… チョイ残念なのが本編の劇中字幕と警告文がSUBTITLE表示にカブってしまうトコ。具体的には「過度の飲酒は貴方の健康を害します」ってのと、シャールクが韓国語で話すトコ位ですが… 
 
音は何ら問題無し。何故かYoutube公式に上がってるのはピッチがおかしいのとダウングレードしてる所為かノイジーだったりしますがDTS MASTER HDってのクリアーな厚みと抜けを感じれます。
 
特典は… まぁ、こんなもんでしょうか? BDってよりはDVD画質ですが、まぁ中身がねぇ… 個人的にはMAKINGにAbhishek Bachchanのインタビューが無いのが残念ではありましたが概ねこんなものかと。っか、むしろ『OM SHANTI OM』が豪華過ぎたんですが、BDディスク1枚で本編重視ってのなら容積的に仕方ないかな?
 
…って事で、ソフトとしては兎に角美麗なコチラで決まりなんじゃぁないかと。海外のレビューを読むにDVD版では音楽シーンでの広告が表示されるそうですが、極端に値段の差があるワケでもないんで再生環境があるなら此方でキマリでしょう! だから後で色々なオマケ付豪華版とか愛蔵版とか出さないでね(平伏)。