『ベイビ・ドライバー (2017)』

 
Romatic Zombie Comedyって何じゃらホ?とイギリスからDVDを個人輸入した

 が私にはメチャクチャ面白くて… というのがエドガー・ライト監督作品との出会いで2004年。 もイギリス版だけでなく日本語字幕も収録されてるらしいって事でタイ版も購入しちゃったくらいにハマったんだけど、その次の がどうもイマイチで… 文脈って言うか視点を間違えてたのは知り合いのブロガーさんのレビューを読んでから気が付いたんだけど、やはり個人的にはあまり好みではなかったのもあったのと地元での句会次期とのタイミングが合わずに は未見って在間さでしたが、何気なに地元の大垣コロナシネマのHPをチェックしていたら出て来た「エドガー・ライト監督作品」ってのにビックリ、しかも全国同時公開と一緒って、そんなメジャー作品なのこれ!? 是非、観に行かねば”!って気持ちを更に高めてくれたのが公式がYoutubeで配信している

 を観たらもうねぇ… って事で妻と要に大垣コロナシネマに行ってきましたよ。初日で4回目の上映、の前に既にパンフは売り切れ、劇場の3分の2を様々な年齢層の観客で埋まるってのは実に久々で大垣では珍しいくらいで、そない大垣でエドガー・ライト作品だと知って来てる人がるの?と驚きつつ上映が始まったのですが…
 
 ちょっと思ってたんのと、違う…
 
 例えるなら、酒も飲んでない友人が真っ直ぐに真剣に語る熱弁なんだけど、此方としては「お、おぅ(汗)」って感じと申しますか… その真摯さと熱意故に茶化したり馬鹿にする気は毛頭無いんだけど、あまりにも私的過ぎるが故に賛同とか共感が出来ない、って感じと申しますか…
 
事前予想ではもっとライトで洒落たドライバーと奇妙な藤樹人物達とのアクション映画だと思いましたし、先の冒頭6分のアクションシーンはあくまで最初の掴みだと思うじゃぁないですか。でも、違う。極端に削った台詞はモノローグの説明さえせず、シビアな展開なんだけど物語としては恋愛映画… 丁度『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』が恋愛によって男の子が得る多幸感や万能感、そして気付きであった事の続きのようで、しかし、本作の主人公”ベイビー”がイヤホンをしていない時は僅かな耳鳴りのようなノイズが聴こえるような音響になっているくせに、実は音楽は音楽でしかなく*1銃撃やらの実際のノイズの方が大きいって点からもこの本編は観客ではなく”ベイビー”っかエドガー・ライトの世界なんですよ。彼が語る「恋愛」であって「恋愛観」じゃぁない。まして、そこに警句やらテーマやらメッセージというものもない。彼によってのその「恋愛」がとても大事なものであるのはこの作品が実に気の遠くなるような手間暇をかけて奇を衒う事もせず真っ直ぐに真っ当に撮っている事からもよく分かって、これ迄の作品では言わばツッコミだったり交通整理でもあった過去作品からの引用やオマージュだったりを笑いをはじめとした主人公の(と情況に対する)感情っかエモーショナルな部分、カット、ポイントでは使わない点からも、実は凄く私的っか私小説めいた印象すら感じましてのぅ… だから『ワイルド・スピード』シリーズとか、もっと古くは『爆発!デューク』おtかでもいけど登場する車の車種やメーカーに意味はないのね。カーテイスシーンにしてもカタルシスの為じゃないし主人公の感情描写でもないの。あくまで”ベイビー”にとって自分以外の世界をどう感じているのか、でしかないから共感というのかな、ハマんないと結構辛いというか… 正直申しますと、ある意味で童貞の変革って点で『スコット・ピルグリム』の方がまだ掴み易かったと申しますか。それを経て、監督が自分に真摯になっている分、より掴みにくいというか、”観客”としてはとっつき難い映画にように、私ら夫婦は思いましたな… だから、帰り路とか映画の話が弾まない弾まない(笑) だってねぇ… 熱く語られて、その意図や思い入れの熱さや重さは真摯だから村長はするけど、それを共感するか、支持するか、ってのはまた別な話、ですしね…
 
よくタランティーノとかギレルモ・デル・トロとか映像オタクみたいな事を言われますけどやっぱ劇場がメインの人達だと思うんですよ。投射ってかスクリーンの映像ってのと、映画って感覚で。でも、多分、エドガー・ライト監督は映画館での映画は「体験」で、映像はモニターで、映画はその中でも予算がかかったソフトって感覚が私はします。いい・悪いの話じゃなくてね。良し・悪しって話でもなく。でも、だから私のような世代が観るべき映画ではないかな…って気がしちゃったんですよね… だけど、だからこそ、三十代から前の世代には突き刺さる映画なんじゃぁないかなぁ… と、ツイッターのTLを見て思いましたよ、っと。でもオッサーン、老害って言われても のような、観客の為の、エンドロールに向けてクライマックスのカタルシスとしてのカーチェイスの方が好きだったな、っとぉ。
 

*1:とは言え江戸が^・ライト作品らしくその曲が情況や心情の説明になっていて、しかも御策ではそれにアクションを合せるというキチガイじみた手間暇をかけている。が、演出的には音楽はあくまで音楽でBGMとは言い難いと私は思いました。