『きっと、うまくいく(3 Idiots(2009))』

 

 
所謂Blockbuster作品ってのは、作品の出来も重要だけどそれよりも時代の空気とのタイミングみたいなのも無ければならず… って事で、インド映画史上最大のヒット作であり2009年のインド映画界の賞を席巻しまくり*1だった作品なれど、どうも食わず嫌いで避けてた作品でありましたが、大垣でもインド映画が!って事で観に行ってきましたが… 途中休憩無しでの約3時間、どっぷりと堪能しての感想と言えば
 
 うん、やっぱり凄いわぁ…
 
 ってのですかねぇ… インドならではの風景の映像美、俳優の演技、美術の繊細さ、脚本の刈り込みの上手さ、シンプルだけど力強く解り易い楽曲が入り過ぎないバランスの良さ、何よりも、ハリウッドでも矢鱈と台詞で心情や情況を喋らせて説明した事にするパターンが(本来は情けない事の筈、なのに)さして珍しくもなくなってしまった昨今にあっても、必要以上の台詞は無く、ちゃんと画面を観ていれば解る、キチンと描き、俳優は演技をし、そして音楽で、ってしているから出来過ぎたお話であっても白けなかったんですよ、私は。時事問題もうっすら入れ込んではあるものの基本的には娯楽としての映画、観終えて悪い気分も無く笑ってハラハラしての満足、しかございません。
 
 ただまぁ、
 
個人的な好みを言えば、シャールク・カーンというスターのあらゆる魅力を絞り出す為に脚本も楽曲も出演者も徹底して揃え、シャールクもそれに応えきってみせた『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム (Om Shanti Om (2007))』の方が画面の見栄えって点でも好みだったりしますが、映画としての出来は間違いなく此方の方でしょうね…
 
 
 …って事で、この作品もお勧めでありますよ〜。
必ずしも劇場で、とは申しません。しかし、人で出来る事は人間がやる、という本来当たり前だった筈の映画が少なくなった昨今、1つ1つを人の手で丁寧に丁寧にキチンと積み上げていった作品を劇場の大画面で堪能するという贅沢を味わえます。暗い、救いが無い、投げっぱなしの自己満足、主演のタレント頼みの安い映画に飽き飽きしている方には特に、オススメしますよ〜っとぉ。