NHK教育 日本の話芸『不動坊・桂文珍』

 
 文珍師匠へのイメージは「古典もするがどちらかと言えば新作派」ってのでしたが江戸落語版で聴き慣れていたこの噺、元は上方のものらしいという事でその違いも含めて楽しみましたが…
 
 つるつるっと実に手馴れ無理無駄の無い芸で、しかも現代的なクスグリやらも散りばめつつも比較的長めのこの噺を上手くまとめたもので笑ったんですけど、好きか嫌いか?っとなるとあまり好みではなかったかな、っと。
 以前、花録師匠で聴いた「不動坊火焔」だと前半の風呂屋と婚儀の邪魔をする3人と落語家、と登場人物と彼らのドタバタの部分に重きが置かれた感じが好みでして、それと比べると手馴れていてつるつるさらさらと流れるような分メリハリと言うか山に欠けると言うか… バランス的には風呂場が一番生き生きして盛り上がってた分だけ後がもひとつ、山と言うにはちょっと… と言いますか。人物をあまりハッキリと演じ分けなかったのは文珍師匠の好みなのか元の師匠の型なのかは判らないんですが、「遊芸稼ぎ人」のもじりでの「幽霊稼ぎ人」ってサゲといい言葉遊びも楽しい噺だけにもちっと… っと思わなくもなし。
 
 まぁ個人の好みの話ですし、何のかんと言っても所作の無駄の無さといい普段落語を聴いていない人にも聴き易いんですが、と言って説明もし過ぎない匙加減といい楽しさだけではない不思議な印象が残る師匠だなぁ… っと思います。機会があれば生で聴いてみたい師匠ではありますが… もちっと数を観てからでないとちょっと文珍師匠「らしさ」や「ならでは」ってのが掴めなかったかなぁ… っと。