NHK日本の話芸『誕生日・桂三枝』

 
 落語家として、というよりもタレントとしてのお姿をTVで観る事の方が多かった人だけにさて? と、やや意地の悪い気持ちで観てみる事にしたんですが、高座のお姿っか姿勢がキチっとしていて正面の切り方もピシっと決まっていて、それだけでもまず好ましいのに滑舌もシッカリしていて表情のつけ方にも無駄が無い… やや無駄が無さ過ぎる部分に愛嬌の無さは感じ無くもないんですが、カチッとした形で高座を演られると観てしまいますよ。
 お話は米寿を迎えたお父さんとそれを祝う息子達、という事でギャグもオチもまぁ読めるんですけどそれはわざとっか解り易さの為で所々でちゃんとコチラの意表を突くネタ部分があるんだけど噺が細かくなり過ぎていなくてデティール部分は実はかなり少ないし演者の好みによってはかなりの付け足しも削除も可能になっている余裕分がありつつもダレないで聴けるってのは三枝師匠の運び方の巧さなんでしょうな…
 個人的に好きなのは音楽の使い方で、途中でサティがかかるんですけども以前『笑いがいちばん』で観た春風亭小朝の『ヴィンテージ・オブ・1985』でBGMが単なるBGM程度でしかなかったのが三枝師匠は一言入れる事で心情描写のBGMから状況描写へになるギャグってなるいトコロで、この辺りは上方落語というベースあってのものなんでしょうかね… 今年で64歳とは思えないお姿は好き嫌いはおいておいても機会があれば観ておこう… と思った一席でした。こういう事もあるからこの番組はなんとなく私は切れないんですよな…