『らくごくら』#19 - 林家染二「地獄八景亡者戯」

 
 毎回楽しみな番組なんですが今回は大ネタ、上演時間1時間15分という「地獄八景亡者戯」をノーCM、ノーカットで放送してくれるというもので、流石はCS放送、有難いですな… 『落語の極・平成名人10人衆』のようにスタッフロールをサゲんトコロでワーッとやられたら邪魔くさいですし、所謂名人ばかりのNHKではちょっと堅い、って中にあって上方だけでなく江戸も、前座から名人まで様々な方々から毎回選選ばれた噺家さん達によるこの番組で、私は落語を観る面白さに目覚めましたよ〜… っと、妻と観ましたが、いやぁ笑った笑った。この噺、言わば短編集で冒頭でサバにあたって死ぬ男が中盤までにもぅいなくなって、あの世見物の旦那衆やら何やらと次々と場面転換するのを上手く繋いでいって最後まで行くものなんですが、なにせそのボリュームもあるので芸は勿論の事、気力の配分も出来ないとグダグダになる事は明白だし、三味線と太鼓も入る為にそれに合わせる技量も必要と大変な噺なんだけど、もぅ観てる時間を忘れるくらいの緩急のつけ方、見せ場でグッとこちらをもっていく迫力ったら素晴らしい! その上に踊りまで披露されたが所作の綺麗さを上手く崩して笑いにする、その匙加減は大変でしたでしょうなぁ… 私はこの番組で染二氏を知ったんですが、もぅ御贔屓。演者がこの方だともぅ安心して、もぅ身も心も任せて預けて笑える方です。正直、私は桂枝雀が全く駄目で、上手いんだろうけどあの逼迫した感じが生理的に駄目なんですよ。んで、上方落語の和事ってんですか、人情噺とかもあんまり好きじゃぁないんで敬遠してたんですが、その苦手意識を払拭してくれたのは染二氏なんですわ。で、今回も大いに楽しんで満足しましたが、染二師匠のブログ収録日の記事を読むと…
 

 
朝からともき(←御子息の事)の野球の応援、田辺寄席、ご贔屓のお客様の宴席、そして「地獄八景亡者戯」、終演後スカイA「らくごくら」席亭伊藤アナウンサーとの対談、番組宣伝の収録とよく働きました。
 

 
 凄いなぁ… いやもぅなんか、凄い人ですなぁ…
 
 という染二氏は良かったのですが、肝心の番組には今回ちょっと難点が。
今回、染二氏は踊りを演じられたのですが、その場面で後見さん?でいいの落語でも?の唄が、噺家さんに比べて抑え目の録音だったんでよく聴き取れないんですよ。これが三味線と太鼓だけなら別ですが、ちゃんと小唄もあった上での踊りで、所々で聴き取れた部分でこの松の踊りの唄で、松についての解説なのは解るんですがNHKの芸能花舞台とかと比べるとちょっと聴き取り難かったんで、そこだけ、番組として残念でした。
 まぁ繁盛亭オープンからの時間もあまり経っていないし収録のノウハウとかもあるのかもしれませんが、もし唄もある噺ならば今後はもうちょっとそこは何とか、是非に…
 
 って文句はつけましたが、落語を観る番組としてよく出来ていると思いますよ、『らくごくら』は。もしSky-Aが聴出来る方で落語に興味がおありの方は是非に… っとオススメ。