第15回橘座公演「林家 染丸独演会」

USA-P2009-05-30

 

  • 林家染吉 「時うどん」
  • 林家染左 「餅屋問答」
  • 林家染丸 「猫の忠信」
    • 中入り
  • 林家染雀 「金明竹」?
  • 林家染丸 「浮かれの掛取」

 愛知産業大学工業高校で平成14年から年二回、地域住民との交流イベントとしての寄席が行われているんですが今回は染丸師匠が、って事で地元の人に案内してもらって鑑賞してきましたが学生さんは殆どおらず260席はほぼ御近所と思しきなかなかの高年齢層の方々で一杯、四十台の私ら夫婦なぞかなり若いくらいで… ってのはさておき、こうして継続的に地元の人に、しかも無料にも関わらず本格的に生の太鼓や笛、三味線といった下座さんまでついて本物の落語家さんがタップリと、ってのはいいよなぁ… どこぞのなんか金まで取っておいて酷いトコがあったけれど… と素直に羨ましく思いましたな。
 
 染吉さん、人柄っか雰囲気の明るさとハキハキとした滑舌の良さと音の良さもあっての「時うどん」、楽しゅうございましたな。実は私、「時そば」よりもこの馬鹿馬鹿しい上方の「時うどん」の方が好きなんですけどもすっきりとまとまっていた高座には今後が楽しみに思えましたね。
 
 染左さんの「餅屋問答」は寺に行くまでを短めにしてのものでしたが最後までキッチリと。禅宗の問答として、って部分ではちょっと足りない気もしなくもないですが… ま、ここいらは好みか。
 
 染丸師匠の「猫の忠信」、やや客席が軽い… よく笑うものの歌舞伎ネタには食いつきが悪い?ってのに合わせてかややアッサリ目。でも面白かったですわ… 初めての生高座だったんですが姿のホントよろしい事… まずは幸せな気持ちでの中入りになりました。
 
 くいつきの染雀さんの「金明竹」? … 加賀屋さんの使いが関西弁だったのは個人的には「?」。まさか円丈師のような名古屋弁にってのは無理にしてもせめて江戸弁にするとかしないと噺の構造そのものがおかしくなるようで… 確かに道具七品のことわりの部分の言い立てがスムーズではありましたが、今回初めて生の落語を聴くという同行者の方に本来の噺の説明をしたら納得されてましたように、ちょっとこの変更は疑問でしたな…
 
 そしてトリの染丸師匠、春先と秋にしか行われないというこの橘座という企画では冬の噺が出来ないから、という事での「浮かれの掛取」だそうですが、いやぁこれは面白かったですわ… 江戸落語家の方々が近年、断りに自分の好きな物を使う演出が増えていてそれはそれで悪くはないんですけどももうひとつ私的にはノリきれないでいたんですけども、狂歌浄瑠璃→歌舞伎→喧嘩で追い返すこの形式が個人的にはとても楽しく、また師走に聴いたのならばこんな楽しい噺はなかろうなぁ… と妻共々ニコニコでございました。やっぱ師匠、素敵ですわ〜…
 
 
 地域との、って事で確かに余所者には行き辛い面もありますが、しかしこれまでの出演者・企画を見るになかなかの好番組、よほど企画者の人に好きな方がおられると思います。確かに手作り感っかお金を払う落語会に比べれば色々と至らぬ部分もありましょうが、主催者の気持ちってんですかね? 愛情の感じられる橘座だからこそ、出演者の方々に手抜きとかは感じませんでしたしぶっちゃけ下手な企画者、運営者での落語会の悲惨さも経験している身としては次回以降も番組次第ではありますがコッソリと潜入したいなぁ… と。っか、行きますよ〜 っとぉ。