『Dostana (2008)』

USA-P2009-06-06

 
 時は現代、所はアメリカはマイアミ。
看護師のSameer(Abhishek Bachchan as Sameer)、フリーのカメラマンKunal(John Abraham)はそれぞれ今の住家からの引っ越し先にと選んだマンションで大家に
「ここは女性にしか貸さない。何せ、親戚の妙齢の女の子もいるんだから」
 と断られるも、物件としては非常に魅力的だったのでSameerの
「だったらここはひとつ、俺達、ゲイって事にしよう!」
 という嘘で借りる事になったが一緒に住む大家の親戚Neha(Priyanka Chopra)は非常に魅力的な雑誌編集者で。借りる時についた嘘の手前、今更ゲイでないとも言えず… とする間に何となく三人での友情が芽生えてゆくのだが新たにNehaの上司になったAbhimanyu(Bobby Deol)が現れる事で、SameerもKunalもNehaに対する友情以上の感情がある事に気がついてしまい…

 
 インド国内での同性愛は刑法で最高無期懲役、なんだそうな。これはイギリス統治時代に制定されたものがそのまま残っているから、ってのもあるんだそうですがしかし今もあえて残っているのは多分に文化、宗教的にもタブーなんでしょうね。私自身は否定も肯定もする気は無いし、それはそれであっても別に… 何人かの本色の方に言わせると「まぁその色(ヶ)は無いよ」という事だそうなんでそういうものだと思っておりますが… ってのはさておき、海外を舞台にそういう題材を扱ったコメディってのが異色に思えたのと、やっぱ大根だし運動センスとか弱いんだけどもコメディでの雰囲気は好ましいジョン・アブラハムとアビシェークの二人目当て、そしてYash Raj Films社のDVDならではの綺麗な画面と音質は大好物なんでオーダーしたんですが、全体的に荒っぽいと言うか旧来のインド映画的な強引さが惜しい、そこさえ何とかなっていたのならばもっともっと楽しい映画だったと思いましたよ。
 
 ディティールが若干変ってのはまぁ許容範囲なんですけどね… 例えば劇中、SameerがNehaをデートに誘うんですが夜の遊園地を借り切っての、ってのはいくら何でも看護師の給料では無理っしょ〜 とか、まぁそこいらを突っ込むのは野暮だと思うんですが、シーンっかエピソード単位での喜怒哀楽の差を従来のインド映画並みにつけ過ぎているのはこっちとしてはついていけない、って場面が多いんですよ。で、それに加えて尻切れトンボになってるエピソードがいくつかあるままに迎えるクライマックスでの
「改心したのだから全て赦す。」
 での終幕、ってのはちょっと私には無理筋なんですよね。
所謂勧善懲悪ってのとちょっと違ったインド映画独特の価値観っか物語の文法としてのハッピーエンドの為のお約束というのは理解出来るんですけども、そこまでの本編にあったサブエピソードがキチンと解決していない… Sameerのお母さんは勘違いさせたままでええのか?  Abhimanyuの息子とNehaの行き違いとか解消されてへんやん、とか… もあるんで、観終えてスッキリ楽しかった!とは言い難いんですよね… でもまぁ全体的にはそれこそ一昔前の作品に比べれば展開のテンポも非常に良いんで無理筋をそれ程には気に
させない湿度の低いカラリとしたコメディで面白かったですよ。でも、面白かった分だけ瑕疵っか荒が目立つのが勿体なかったなぁ… っと。
 
 そうそう、インド映画って比喩だけでなく映画ネタが入るのって珍しくなく、本作も色々な映画ネタやらが入っていたんですが私的にはこのシーンが好きでしたねぇ…
 

 
 元ネタはシャールク主演の大ヒット作の『Kuch Kuch Hota Hai (1998)』、このシーン↓
 

 
 Nehaは28歳、って設定になってますがその周辺の世代の女性にとっては結構くるネタじゃぁないのかと。多分これからのインド映画も著作権絡みでこういうネタの使用は難しくなるのかもしれませんが、こうやって時に会社の枠をも超えて文化財産としてインド映画という世界で共有されているのっていいよなぁ… っとぉ。
 
 あと、何と言っても一番のお気に入りはエンドロールの『Maa Da Laadla (Mummy Mix)』!
 
 *1
 
 私、プリヤンカ・チョプラって『Krrish (2006)』の時のどん臭い印象しか無かったんですが本作での彼女がキュートだったのがとっても印象的でしたわ。いやぁ女性はホント、数年で変わりますなぁ… でも、一番の私のご贔屓は今でもラニ・ムカルジーですけどね(笑)。
 
 
 
 以下はこのDVDについての情報なので興味のある人だけ
 

 
・『Dostana [2 Disc Edition] (2008)』 - Region All
 
 Studio: Yash Raj Films
 Theatrical Release Date: November 14‚ 2008
 Run Time: 142 minutes
 
 Aspect Ratio: Anamorphic Widescreen
 Sound Coding: Dolby Digital 5.1 / Stereo
 Subtitle: Arabic / Dutch / English / Tamil / Telugu
 
 SPECIAL FEATURES
 ・The making of the film
 ・Deleted scenes
 ・"Maa Da Ladla" Music Video
 ・Out Takes
 ・Date with Dostana‚ presented by Karan Johar
 ・Do the Dostana Dance Challenge
 ・Theatrical Trailer & Promos

 

 
 紙製なれど上質な紙で安っぽくない手触りのケースの中に2枚、本編ディスクの画質&音質はYash Raj Films社らしい高品質さで文句ありません。ソングも一曲ごとかAll Playかも選べれる親切設計ですしね… 特典ディスクの方の画質と音質は若干落ちるのは素材のせいもあって仕方無いかも。ただMTVだかでの特番を収録したもので英語メインなのでまぁ解り易いですか。ただ後はやっつけ感ありありで正直言って一度再生したらまぁ観ない、かなぁ… もうちょっと製作の裏側に踏み込むなり、DVD化される際の新録画… 例えば主要四人にこの映画を振り返ってもらう、とか… があればいいと思うんですけどね…
 
 しかしまぁ何せ定価で$10しないでこの品質ならば十分ですよな… まぁロマンスが好きな人にはちょっと?大分?物足りないかとは思いますが現代を舞台に、極端に海外市場向けでもないベタさも残しつつの当世若者気質げな本作、音楽も素敵でしたし私には楽しかったですよ〜
 

*1:しっかしニコニコ動画って何でもあるのね…