新春初笑い 第13回長良川寄席

 妻がたまたま職場にあったチラシを見たのが昨日、で、どうしようかと駄目もとでホールに電話を入れたらばまだ席に余裕があったので急遽行く事にしましたが… 笑いという点では鶴光師匠と雀々師匠で保障されているし、映像ではどうも合わないと言うかピンとこない吉弥さんを生で観たらば?って事で行ってきましたけども、正直期待はしておりませんで… 何せ地方っか田舎で、企画コンセプトもよく解らない落語会でそないいいモンが観られるとは思ってませんしな。とは言え機会は機会、ですしなぁ… と思いながらの県民文化ホール未来会館、バス停からチョイと距離があるものの会場の長良川ホールは席数484とそないに大き過ぎなくもない、ただまぁ多目的ホールだけあって天井が高く落語向きではないよなぁ… と思う間に7分の入りでございました。
 
 ちょうばさん、初見だと思うのですが声にメリハリと音の響きが良くてリズムもいい、学校でのお仕事のマクラから「初天神」かな?と思ったらばこの季節の、って事での「時うどん」。後の方の為か、例えば冒頭の部分や饂飩についての薀蓄語り等をカットしつつも*1崩れず所作もすっきりしていて見易くて素直に面白かったですわ。と言うか他の噺も機会があれば是非聴いてみたいですわ…
 
 鶴光師匠のは多分、「紀州」だと思うんですが… チョイチョイと脱線したり戻ったりというスタイルので岐阜のお客さんを大笑いさせてましたねぇ、いや私も笑ってたんですが、するりすらりと飄々と、ってあの味は鶴光師匠ならではですよね。でも味や雰囲気だけでなく途中でやってみせられた小拍子と見台の解説実演部分等で見せていただいた腕がってのもの、これまた楽しかったですわ。
 
 で、吉弥さんですが… 個人的にはもひとつ。っか今日ん中では一個も、クスリとも笑えませんでしたわ。
思うにマクラでのちりとてちん話って結局自分の事だけなんですよな。上から目線と言うか吉弥さんがツッコんで落ちるって形式だけで続くんで何か嫌な白けた気分になってきての噺の方もほぼ南光師匠のままなんですが前半の喜ぃさんのパートに時間をかけ過ぎたのか後半が駆け足で何とも… あと結局人物のトーンが皆一緒、ってのではなんかこぅ気配りの狭さ、所作の小ささと相まって何か個人的には実にどうでもいいと申しますか… 会場も中途半端な空気になってましたが、考えてみりゃぁそもそも冬に夏の噺ってのもなぁ… とダルな気持ちで途中から半分寝てました。まぁ噺は主催側からのリクエストだったのかもしれませんし単調だったのは後の繋ぎを考えてなのかもしれませんしお仕事疲れとか色々あったのやも知れませんが妻共々ぶっちゃけどうでもいい約30分でしたわ…*2
 
 そして最後の雀々師匠、凄かったですね… 多分、余力はある程度残してのセーブしたものではないかと思うんですよ。暖房と舞台のライトが強いせいか他の出演者の方もよく汗を拭っておられましたが師匠は以前繁昌亭で観た時に比べてもあまり汗を拭われる事もせずにおられましたが前が吉弥さんだっただけにハッキリと会場への気配りの範囲の広さと密度が違うのが解りましたもん。と言うか、次第に観客の笑い声がどんどん大きく暖かくなっていくのがもぅ一目で解りますもの。マクラで
「所詮噺家なんてのは口の周りの筋肉しか使っておりません」
って嘘ですやん〜 めちゃめちゃ細かいやないですか〜 ポーズじゃなくてその目線の散らし方、表情、ホント、TVの固定されたカメラではどうしても伝わり難いそれらでがっしりとマクラでお客を掴んでからの入った噺が「動物園」と分かって正直あれ?って気にはなったんですけどもそれも最初だけでディティールのつけ方、緩急のテンポであんなに笑った「動物園」って私、初めてでしたよ。前々から書いていますが私の落語の好みとしては実はあまり雀々師匠は好きじゃないんですけども、その巧さは本当に凄いと思いますし素直に笑って笑って… もぅ最後を大笑いさせてもらったんで帰りにもぅ電車の時間が近いとかで閉めかけてた物販コーナーで

必死のパッチ

必死のパッチ

を購入させて頂きましたがそれくらいに楽しかったですわ… ライブっていいなぁ…って妻共々笑顔で会場を後に出来ましたよ。
 
 
 
 で、
 
当日¥3500って値段とで考えるに、チョイと微妙だとは思いましたよ。っか、一人約30分って時間での、って思えばもうちょっと新春らしい、例えば「正月丁稚」とか聴きたいと思ってましたから季節感の合ったのがちょうばさんの「時うどん」ってだけではちょっと物足りない気はしますが、全部最後の雀々師匠で救われたんで良いんですが、大阪での、繁昌亭でのお姿を観ていると物足りなく思う気持ちもありますわな。ただ落語もまた演者だけでなくスタッフとお客あってのものですから、これはこういう会と思えば文化不毛の岐阜で観られるのとしては… ってトコなんではないんでしょうかね? っか、あぁやっぱり落語は都会のもので、その都会で観たいなぁ… っか繁昌亭にそろそろ行きたいなぁ… とか思った会でしたよ、っとぉ。
 

*1:以前一回だけ枝雀師匠ので聴いただけなので今日の形の方が本来なのかもしれませんが。

*2:とは言えいつぞやのデコ助と違って真面目っか正直にやられてるのは解るんで終わって不愉快な気持ちになった訳ではないんですよな。ただ残念と言うか、もっとメディアとかで扱われてもいい噺家さんが多いよなぁ… とは思ったもんで。