『亀は意外と速く泳ぐ(2005)』

 
 近所にあったツタヤが潰れてしまって、買う程ではないがレンタルして観てはみたいと思うくらいの作品は手が出せなくなっていて、そういう情況は切実ではないものの不自由さは感じるものですが… 本作もそんな一品でしたが深夜でも地上波でやってくれりゃぁ恩の字ですわな。
 
「普通」を題材にしての本編、普段気にも留めない風景や人々、そして自分自身の日常生活からズらして、って中盤までは面白かったんですがそこから妙に教条的にも思える最後に至る過程が個人的にはもひとつ。
 例えば松重豊演じる「そこそこの味のラーメンを作り続ける親父」が本気を出したらちゃんとした美味いラーメンが作れる、ってのは何か… 嫌なんだけど日常の仕事として自分を殺してやってます、みたいな団塊世代の戯言っぽくて嫌なんですよ。勿論「普通」や「平凡」に対する気持ちや考や姿勢が違ってるのはいいんですがそれに対しての結果が、って部分で。モラルから食み出していたクジャクがモラルの元に、ってオチにしても個人的にはもひとつ、出来ればもうちょいと何をするというのでもないスパイという設定を生かしてくれりゃぁなぁ… 狙ってやってたんだから着地点がベタってのもねぇ… と。