隔週刊 落語百選 DVDコレクション 創刊号

 
 多分、デアゴスティーニのこういう企画物を購入する人で感想をつらつらと書く人もいなさそうだし… って事でこれからダラダラ書いていこうかと。あくまでも個人的な、それも落語至上主義者ではない勘違いのものなのでそこんとこは宜しく。

 映像的にはNHK教育で放送されている『日本の話芸』に近いものの無理に上下に合わせてのスイッチングをしないでアップと引きだけ、ってのは見易いかと思いますが個人的には
こういうフラットな位置よりも寄席の雰囲気で言えばやや下からのカメラも欲しいような気がしなくもなく… ってのはさておき。
 
 この創刊号はわざわざ買う必要は無いでしょう。
 
 まず古今亭菊之丞師による「子ほめ」ですが、何故に師にこの噺を?というのが解らんです。勿論巧いし細かい所作や工夫等の見所はあるんですけども菊之丞師ならではの色合いや味や気持ちというのは殆ど無いもので、全体的に会話の間を詰めてあえてあまりお客に笑いの間をとらせない形にしている?という点も含めてちょっと師の意図がよく解らない高座という印象で… 前座噺だからあえて前座噺らしく、って事なのかもしれませんが、それにしては所作が細かいし… っと。まぁそれも寄席の味、という事なのかもしれませんがちょっと勿体無いなぁ… と。
 
 続いての入船亭扇辰師、私は初見の方ですがこの方の「目黒のさんま」は
『古典芸能としての落語ではない。』
『(おそらく)これから二年半かけて刊行されるコレクション系、という媒体と収録目的をよく理解していない』
 という2点において大いに落胆しましたね。
まぁ私が今んトコロ三代目金馬のがベストだと思ってるんで比較するのはどうかと思うんですけども金馬師のが解り易くても無駄が無いものだったのと比べると殿様を殊更に貶める演出もさる事ながらチョイチョイと入る時事ネタや時代背景や目黒の風景等の仕込みの甘さと言うか拙さが私にはどうにも合いませんね。菊之丞師のはまだ所作なりに観る楽しさがあったのと比べるとそれも無く一応早送りはしなかったものの実に退屈でありました。よく笑ってくれているお客のウケを優先させた分ノリノリで演られているとは思うんですがその分の無駄や誇張強調部分が私にはどうにもあきませんでした。
 
 …と、どちらもそれ程の出来だとは思えなかっただけに、これならネットで無料で視聴出来る落語がいくらでもあるのと比べると
「何故これを創刊号に?」
 という疑問というか不満しかありませぬな。一応定期購読を解約するつもりはありませんが、収録したものを全て使うのではなく場合によっては捨てる事も必要ではないんでしょうかね… それに伝統、歴史を言うのならば『言い訳座頭』や『按摩の炬燵』等もやって欲しいもんなんですけどね…