『らくごくら』#46 「雀々独演会」(前編)

USA-P2008-07-06

 

  • 桂二乗 「煮売屋」
  • 桂雀々 「へっつい盗人」

 2008年5月29日に行われた独演会から、というもので私個人の好き嫌いは置いておいてもやはり『日本の話芸』よりも観ておきたい番組だなぁ… っと毎回思う『らくごくら』でありますが…
 
 落語もまたライブで、生で、と言うのはよく言われる事ですが個人的には
「それは演者にも因るんじゃないかなぁ?」
 って印象がありまして、あまりお客さんの反応に上下左右されないカッチリしたフォームの師匠方の場合は別に録画でも構わないんじゃないのかなぁ?って思うんですが、今回の雀々師の場合は間違い無くライブで観るべき方だけに映像で観るのは私には若干辛ぅございました。
 あの客席のコントロールの繊細さというか徹底さは本当に凄いと思いますし、その為に高座の高さと客席との距離、箱の大きさに関しての配慮がよく観れるんですが、それはやはり会場の客席で観るのとは全然別物なんですよね。で、そういうズレをズレとして観るには雀々師の芸が細か過ぎる分だけあえて削ったり端折ったりしてる部分が引きの映像ではちょっと辛く思えるんですよ。と言って上下に合わせてのスイッチングをすりゃぁいいか?ったら師匠の場合は演じ分けではない事も多いだけに
あまり意味が無いと思うんで非常に難しいと思うんですけども… 会場ではこう観えるんだろうな、という想像はある程度は出来るものの、それは映像とはやはりズレますしねぇ… 元々の好き嫌いは置いておいて、ライブを伝える事の難しさというのを改めて感じましたな…
 
 当たり前の話なんですが、寄席なり落語会なり独演会なりのライブで観る場合、TVのように水平で真正面って場合にはもぅ距離がそれなりにあってあんなに近くないんですよな。近い場合は完全に見上げる形になるし、見下ろす場合はもっと距離がある、ってのはどういうライブでも一緒なんでしょうが基本的に演者がその場から動かないって特殊なものだけに、それこそTVの為の芸とライブでの芸って使い分けを要求されるのやもしれないのを思うと噺家さんにとっては大変な時代だなぁ… っと思うですよ。
 勿論、TVに頼らなくても独演会や落語会が満員になる噺家さんだっていくらでもいますし、今の時代必ずしもTVにそれ程の価値を置くものでもないんでしょうが、全国津々浦々が生の落語を気軽に聴けるものでもなく、TVなりDVDなり動画といった映像での視聴でしか観られない地方、情況も少なくないのを思うと、ね… と言ってマルチアングルも違うんでしょうし、やっぱり音響と合わせて何かいい方法って無いもんですかね?