『らくごくら』#34 「林家染二独演会2007 〜染二襲名十年〜」

 
 プレ独演会を観に行ってとても満足をしたんですがやはり観たかった本公演。仕事や財布の都合で観に行けなかった東京公演、大阪公演についてはなんとなく心残りと言うかずっと引っ掛かる感じがしていたんですが新春早々の08年の最初の放送で観れるなんて!っと楽しみにしていたんですがトリの「蛸芝居」はいつ放送なんでしょうかSky-Aさん? 
 
 …ってのはさておき、
全体を通して生で体験したプレ独演会での経験という贔屓目をなるべく差っ引いて観てみるに、『いらち俥』『富久』のどちらもマクラでの仕込みが非常に丁寧な半面ややクドめっか重めな印象を受けたのと、途中の解説なりがちょっと多かったように思えまして個人的にはチョイと残念でございました。全体的には殆ど演出の変化が感じられなかっただけに、丁寧な分だけ目に付くって感じですか。あと『いらち俥』ん時にちょっと走ってた為か人物の切り替えがやや早かったのもちょっと気になりましたが… まぁ落語ってのにおける完璧というのは流暢である事が第一でもなく、ライブでの会場での満足とTVでの視聴では別物でもありますし、ここらは勝手気侭我侭な私個人の好みって事で。
 
 ただ今回比較的冷静に観れた分、染二師匠の噺における注意している点やら「好み」が何となぁ…く、ではありますが見えたような気もしまして、それはそれで興味深かったです。同じ噺であっても噺家さんそれぞれに演出意図や目的は違うもの、ってのは頭では解っている事でも実際に聞き比べをしてみないとよく解らんもんでありますが、単に「落語の世界」が好きってのとはちょっと違うし、それこそストーリーテリングする事が目的ってのでもなく、他の師匠方からの改編やらと見比べるに… っと、これまで字面であれこれと考えていたのと違う視点で観る事が出来るというのもTV視聴ならではではないでしょうかね? それもこれもこの『らくごくら』って番組がノーカット放送ってのだけでなく必要以上の演出を加えないって点も大きいんではないかと思いますよ。いやぁこれだからCS放送視聴も止められませんなぁ…
 
 
 次回第35回は「東西噺の華咲き競う 第2回染丸・権太楼二人会」(2007年12月2日 天満天神繁昌亭)より柳家権太楼師匠の「井戸の茶碗」と林家染二師匠の「片棒」! いやぁこいつは春から楽しみが続くなぁ〜…