『らくごくら』#29

 
 今回は独演会や企画ではない形式で、2006年10月28日に大阪肥後橋・リサイタルホールで行われた独演会から林家染二師の「愛宕山」、2007年3月22日に大阪天満天神繁昌亭で行われた第46回新撰落語もぎた亭より桂文福師の「温泉男」、というもので、これはこれで悪くないかなぁ… っと思ったんですが、しかしねぇ… 染二師匠の「後後山」って確かDVDに収録されてるものでしかも去年の、文福師匠のは#24で放送した「第46回新撰落語もぎた亭」でってのもさる事ながら半年前でってどういう事なんSky-Aさん???
 多分次回の第7回朝日いつかは名人会のホストが柳家喬太郎師匠なのはそれはそれで嬉しいんですが、大銀座落語祭の事もあったんですからそろそろ関西の落語家さん… それこそ染二師匠とか、江戸でも春風亭昇太師や古今亭志ん輔師などの噺家さんならばまた違う味わいになるだろうし、また立川談春柳家花録、林家たい平さんも観たいんだけどなぁ… っと、Sky-AのHPにアンケートフォームなりあれば書けるんだけど無いからココに書いておきますが、いい番組だと思うんですけど、こういうトコはちょっとなぁ… っと。
 
 さて、
 
 林家染二・「愛宕山
 これまで何人もの噺家さん達による「愛宕山」を観てきましたが、当たり前の話ですがそれぞれの噺家さんのやりたい事ってのが数を観た分だけよく解るもので、ある噺家さんは噺のテンポを保つ事で噺の面白さに、ってすれば、また別の噺家さんは山登りや谷底でのドタバタ等の幇間に焦点を当ててみたりとする中でのさて染二師匠は… っと観たのですが… 幇間が大阪者ってのがより強調される形でこれはまた新鮮な形だと思いましたわ。京の若旦那に幇間としての役目でチョイチョイと憎まれ口をきいた結果酷い目に遭うってので、どちらかと言えばお調子者故に追い込まれるって形が多い幇間の人物像が違う事で噺の背景ってのが変わるんですけども、そこに無理とかわざとらしさが無いのは染二師匠の腕、なんでしょうね…
 ただ個人的にはもちっと、もうちょっとそこかしこで間が欲しかったような… 例えばかわらけを投げるトコとか。高いテンションと凄いスピードでのパワフルさは師匠ならではだとは思うのですが… ま、これは好みの話ですわ。やっぱ染二師匠の所作って綺麗ですし、視点なんでしょうなぁ… 演じようによっては旦那が物凄く底意地が悪くなったり幇間が厭らしくなったりするのに全然そうはならない、誰かしらどこかしらに愛嬌のある登場人物らで観ていてええ気持ちになりましたわ。
 
 桂文福・「温泉男」
 え〜… 噺に入る前のマクラが長いってのはスタイルだとは思うんですが、あんまり私の好みじゃないんですね。小噺っか謎かけの連発で調子を掴む・整えるってのは解るのですが、トータルとして噺に繋がってないマクラが続くってのは寄席ならば兎も角、TVというちょっと引いた、空気感の薄い媒体では辛ぅございました… まぁ創作落語のネタおろしの会、って事ですから余計に芸の腕が見れても噺(ネタ)に対する余裕がやや欠けて逼迫した感じがどうにもノれませんで… ええ、これも好みの話ですし、寄席で観たらきっと違う印象だったかもしれません、が、林家三平師の姿勢ややられている事は解るんですが好みとして苦手っか駄目な私としては「もひとつ」でございましたわ。
 
 
 
 あぁ、もっとこの番組が観たいなぁ… 2週間に1度、なんて頻度じゃなくて毎週ってして欲しいなぁ… これだけ今の、これからの落語家さん達が時間制限無しでノーCMで真っ向から観られる番組ってそうそう無いですもん… とは言え、無理な量産は番組の質に関わるからしないんでしょうが、そこはそれ、若手も一杯いて大師匠も大勢いるんですから所属事務所や権利関係もある事とは言え、もちっと何とか、ひとつ… っと思うんですけどね。