『ぞろぞろ』

 
 最近、なんとなく落語という芸能にチョイと時間を割くようになったのは語呂合わせや音や韻を踏む言葉遊びという芸能は世界中にあれどもその引用元の多様さと落語という芸能における洗練・先鋭され過ぎない加減を良しとしている雰囲気もあっての事なんですが… って事で

 
 を購入しまして。
以前から唐沢商会の作品ってのはあんまり好きじゃないのに購入してきてはいる私ですが、この本の青林版は見た事が無く、アスペクト版が出てるなんて知らなかったんですけどもいやぁアスペクト社、よくもまぁこんな本を出したよなぁ(笑)。
 元々落語ってのは説教節からの派生芸能でもありますんで仏法話が元なのもありますが、何せ当時世界一の就学率と識字率を誇り庶民が暇を学や趣味で潰していた頃に原型を成した故にそこに歌舞伎だ浄瑠璃だ清元だ講談だの、そりゃまぁ色々なモノからの引用を、くすぐりだけでなく本編丸ごとパロディにしちゃったりしてるものだけでなく、ナンセンスやSFげなのや人情、怪談民話に案内などなど実に様々な題材を様々に扱っているものでしてな、勿論それらを知らなくったって楽しいけれども知っているとより楽しい、っか基本は知ってて当然ってな無茶さがあるのに、そんな落語の中から生で聴く事がまず無いであろう噺も含めてパロディにしちゃってるからまず落語を知らない人には面白さのポイントがよく掴めないだろうに、更にそこにモンティ・パイソンだ何だと色々な要素をブチ込みまくってんだから落語通の人にもよく解らないであろうモノになったのがズラ〜っと並んでるんですもの。
 
 唐沢商会の初期だから絵の面白さよりもネームの煩わしさが先に立つのが難点ではありますし、解り易さを時事ネタに頼った部分が初出から10年経過してしまった現在ではよく解らなくなってる部分もあって私もよぉ解らんのでオススメはとても出来ませんな… いやもぅ変なマンガだとは思うんですが、まだ『原子水母 (幻冬舎文庫)』の方が、これより後の作品集だけあって同じような事をやってるんですけどもうちょっとこなれててまだ読みやすいんじゃぁないんでしょうかね。