『カンフー・ジャングル (一個人的武林 (2014))』

USA-P2015-11-14

 
警察の武術教官でありながら一門の名を挙げるために私的試合で殺人を犯し服役中のハーハウ・モウ(ドニー・イェン)。武術界チャンピオンの連続殺人事件をきっかけに、ロク警部(チャーリー・ヤン)への捜査協力と引き換えに仮釈放となり犯人を追う。ハーハウはこの犯罪の目的は恨みではなく、これからも事件は続くと断言。彼の予言通り、武術界のチャンピオンたちが自分の得意とする武術で相次いで殺害されていく。犯人の目的は?そしてハーハウとの関係は? (公式サイトより引用)
 

 
 妻に誘われ大垣コロナシネマワールドで鑑賞。
 
先に愚痴ったけど、とりあえず配給のギャガはポスターが無駄にゴチャついてたりとか、もぅちょっと面白そうな予告編にするべきだし、公式サイトのトップに

 ってを書くとかしないで欲しい。昔の東宝東和みたいに「さぁ今回はどんな感じで騙してくれるのかな?」って信頼関係があるワケじゃないんだから、所詮アジア映画、香港映画だからと馬鹿にする態度は辞めてもらいたいんだけどね… と、予告編もポスターもオリジナル香港版を貼るくらいの嫌味のしたくなるくらいに
 
 面白かったよコレ!
 
観に行く前はここんとこ『畫皮 (画皮 あやかしの恋)』『三国志英傑伝 関羽 (KAN-WOO/関羽 三国志英傑伝)』『西遊記之大鬧天宮 (モンキー・マジック 孫悟空誕生)』『冰封俠 重生之門 (アイスマン)』といった微妙ぅなコスプレ物ではないようだけど、現代物ってもタイ映画やインドネシア映画のアクションに対抗意識が向き過ぎて個人的にはノれなかった『導火綫 (導火線 FLASH POINT)』『特殊身份 (スペシャルID)』みたいなのだったら辛いなぁ… インド映画界のサルマンみたく脱いで汗と血でヌラヌラのどアップなj「映画ジャンル:ドニー・イェン」ってのは娯楽として面白いのは確かだけど、個人的には『黄飛鴻之二:男兒當自強 (ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱)』や『殺破狼 (SPL/狼よ静かに死ね)』のドニーさんが好きなんだけどなぁ… と思っていたんですよ、そしたら本作、物凄くバランスのとれた、悪い意味での香港映画らしい恐妻ネタとかのギャグパート無しで武に生きるものと武に狂った者との物語でスッキリとシンプルに、テンポよくまとめたもので… そりゃまぁツッコミどころとかアレ?って思う部分は無くはないんですけど、観ている間そっちに気が向く余裕やダレ場を与えないもので、カンフシーンもバリエーションやネタが豊富な上に、近年のドニー映画で入れてた総合(MMA)っぽいムーブやらを組み込む事で格闘の場面としての繋がりやテンポが悪くなっていたのも一切なく、スタイリッシュにもなり過ぎない功夫映画2014年版リアレンジといった趣きで映像として楽しい!
 
そして出演者が良い! 武に狂う者として凶暴な野良犬のようなフォンを演じた王寶強(ワン・バオチャン)、『人再囧途之泰囧 (Lost In Thailand (2012))』(感想)のちょっと変だけど気のいい若者宝とは全然違って真っ直ぐに狂っている様を語らず見せてくれたけど、それ以外にもモブにまで大量に配した香港映画界の重鎮達… ジェット・リーサモ・ハン、ブルース、リャン等が出演者として出てないのが残念なくらい… の数々での画面の豪華さはフルコースってよりは卓一杯に並べられた満漢全席といった感じで「あれ?この人って… 」とか思うばっかりなんだけど、それらの重鎮はあくまでもモブで脇であって、あくまでも物語の軸のドニーさんとワンに踏み込ませず絡ませ過ぎないあたりも観ていてとても気持ち良いんですよ。
 
無駄にボーカルの入ったものをエンドロールでさえ使わない楽曲のシンプルさ、香港をはじめとした各地のロケーションの面白さを素直に奇を衒わないで撮ったカメラ、そして主演のドニーさんを前に出させ過ぎないでまとめたトーンで大きく広げ過ぎず散らかさないストーリー、と娯楽としての映画の楽しさは私が昔、待ちに待ってってんじゃなくて特に何をというワケでもないけれど習慣としてなんとなく映画を観に行ってた頃に、例えば『48時間』とか『リーサル・ウェポン』とかと出会えた時のような楽しさと満足感を得れた作品でしたよ。うん、思わず帰ってから妻と映画談義に何時間も費やしてしまうくらいに、娯楽として映画館で映画を観るって楽しさを思い出してくれるような、ノスタルジーやレトロ感ではなくちゃんと現代の映画としての精度も持った気持ちの良い作品でしたよ。
 
そりゃまぁ個人的な欲を言えば武術と共に生きた者同士の相克というか分水量みたいのをもうちょっと、とかありますよ? いくら警察協力をしてるからって仮釈放の人間がホイホイと大陸に渡れるの? っか刑務所で手紙も面会も記録も検閲も無しっておかしかね?とかツッコミどころがあっても入れさせないダレない編集の上手さでえ満足です。これから公開される劇場もありますし、レンタルになったらば是非に、気軽に楽しめる一品だと思いましたよ〜