『ラヴソング (甜蜜蜜/COMRADES, ALMOST A LOVE STORY (1996))』

 
86年春。天津から電車で香港にやってきたシウクワン(レオン・ライ)の夢はお金を貯め、故郷に残してきた恋人を呼び寄せて結婚する事。叔母の暮らす娼家に間借りしながら働くうち、次第に広東語も覚え、香港の生活にも慣れてきたそんなある日、香港に出来たばかりのマクドナルドに行った彼はアルバイトのレイキウ(マギー・チャン)と出会う… 
 

 

ラヴソング [DVD]

ラヴソング [DVD]

 
ピーター・チャン監督作品好きの妻の為にGW用に購入しておいたものの、どうも恋愛映画が苦手というか… 生産性が無いのは別に構わないんだけど大抵はコミュニケーションで相互理解と関係性を構築しとりあえずの確立&確認って時点でエンドってのか自己陶酔中毒だけってのしか見当たらないように思えて、どちらにせよ
「知らんがな。」
 しか無いんですよな… うん、あと、そもそも”恋愛映画”、という括りというかジャンル分け自体が乱暴っかガバガバだと思うの(白目)。というのはさておき、如何にピーター・チャン監督の出世作らしい本作も恋愛映画って事で気乗りしなかったんですが
「妻に、って買っておいて何時観るんだよ(オラァ!」
 と言われては… って事で観たんですけど
 
 コレ… 恋愛映画かぁ?
 
 人物との距離感といい、先日観た『中国合併人』と同じじゃねぇのコレ?  
 
中盤までが実に辛く、シウクワンの考え無しの見栄っか虚勢ッ張りも鬱陶しいしければレイキウの考えの足りない自己中っぷりも酷くて夫婦揃って苛立ってたんですが、シウクワンが故郷から彼女を呼び寄せた中盤から激動する時代と社会に翻弄される愚かしい者達のお話に明確にシフトし、愚かしいが故の展開になるに至って登場人物と時代との主従っか主客が綯い交ぜになっていってからが本番って感じで。お互いに時代の変化に翻弄されまくって尚、成長も用心もしない、ある意味傲慢な自己中のままで翻弄され続けてのラストは恋愛の多幸感や達成感なぞ無いもので、それはそれで面白い… と思えたのは、多分私がもぅ初老と呼ばれる年齢になっているからかもなぁ… と、思わないでもなく。なもんで、20代半ばから30代半ばくらいまでの人が観ればそれなりに面白く思えるんじゃぁないかなぁ… 逆に20代半ばまでは観る必要は無い映画じゃぁないのかなぁ… とか。
 
時代を描きつつも、本作は返還から2年後の香港映画であるが故に、天安門事件(1989年6月4日)が取りあげられていないのは微妙ぅな気もしないでもない。まぁ本編中、どう考えても時期的に天安門事件に対するアメリカの経済制裁で大混乱になる、ってのはあったけどそれくらいだもんなぁ… 一言だけど「天安門?」って台詞があった『中国』は、事件から25年、本作から14年後だから、という事なのかもね。
 
 
 
…って事で、以下はこのDVDソフトにいてのメモなので興味のある方だけ

 
・『ラヴソング (甜蜜蜜/COMRADES, ALMOST A LOVE STORY (1996)』
 劇場公開日: 1996年11月2日 (HK)
 DVD発売日: 2007年4月20日 
 時間:116分 
 リージョンコード: 2
 メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
 
 音声: オリジナル中国語(2.0モノラル)
 字幕:日本語
 アスペクト比ビスタサイズ レターボックス

  • 映像特典
    • 劇場予告編

 

 
DVDソフトとしては… 正直、辛い…
 
まず画質が。日本版リリースが2007年だかだけど、多分そのずっと前に出た香港版を元にしている為かノイズだからけの色褪せまみれのデカイ黒枠有り、音質も同様で全体的にボケた感じ、映像特典も予告編だけ、ってのは定価がワンコンならまだしも流石にちょっと辛いな、と。
 
多分、2013年『中国合伙人』2014年『親愛的』と大陸でヒット作が出てるピーター・チャン監督作品だし、既に2013年のヴェネチア国際映画祭でデジタルリマスター版が公開されてもいる… Youtubeから引っ張ってきた予告編はそのリマスター版で、この画質なら文句無いんですけどね… ので、そのウチに香港版だかでリマスター版が出るんじゃぁないかなぁ? それまでは購入は待ってもいいんじゃぁないのかなぁ… っとぉ。