『ラブレター/誰かが私に恋してる? (THE LOVE LETTER (1999))』メモ。

 
ニューイングランドの穏やかな海沿いの町ロブロリー。そこに届いた一通の手紙が、突然騒ぎを巻き起こす。熱い思いを綴ったセクシーなその手紙は、署名のないラブレター。人から人へと手紙が渡ると、小さな町の住人はそれまでとは違う新鮮な興味をもって互いを見るようになる。これは誰に宛てたものなのか、そして誰が送ったものなのか。手紙の差出人を突き止めたいヘレンは、全くタイプの異なる二人の男性――昔なじみの友人ジョージと現在意中の青年ジョニーを巻き込み、差出人を捜し始める。だが思いがけないことに、このミステリアスなラブレターには町全体を変えてしまうような驚くべき秘密が隠されていた……。(メーカー商品ページより転載
 

 

 
うん、何も書く事が思い付かない…
 
予告編を観た時はもっと街中を引っかき回すようなドタバタコメディだと思っていたんですが、本編はとてもとても小さなお話。一応時代設定が現代(当時)になっているのに途中で気がつくくらいにそのお話はデティールがさして重要ではない寓話で、女性なら十代、男性なら二十代中盤くらい迄に観れば何かしらの意味はあるのかもしんないんだけど中年っか初老の私ら夫婦から観ると
「うん… まぁ、こういう事もあるよね… 」
 というもので… っかね、主人公含めて登場人物の誰一人として相手の事を思いやるって事をしない、情景が情況説明なのか心理描写か判然とさせない部分も相変わらずだけどお話としてメッセージやテーマが無くて、”世界”が全く変化をせず、変化も成長もしない、ってな作品を評しようとすると、こういう感想にしかならんと言うか…
 
有色人種がいないって点も込みで、もぅ読んでから大分経過しててウロ覚えなんだけど所謂60年代のアメリカ文学の短編って感じ。でもアーウィン・ショウフィッツジェラルドのような苦さや切なさがあるでなし、サリンジャーのような閉塞性とか時代性も無い、雰囲気としてはフラナリー・オコナーと言いたいけどあそこまで黒くないしなぁ… でも、お話的にはフランス映画に山程ありそうだけどフランス映画のような粘度や湿度は無いから結局アメリカ映画としか言い様が無いんだけど… と、書くとネガティヴな評価に思われるかもしれないんですけど、決して退屈したりツマナライ作品じゃぁないと思ってはいるんです。
 
マーシーズンの田舎町での、って全体的に小さなお話を無理に拡げず淡々と淀まず急かず騒がず進んでゆくのは編集の良さもあるんでしょうけど、無駄を廃して引かない監督の腕、だと思うんですよね… ただまぁ、今回本作をDVDで、妻とダラダラっとお酒を飲みつつ観たんでそう思えたんであって、劇場で観たんだったらチョイと不足感を感じてただろうなぁ… とも思いましたが、観終えた後に何も残らない、淡泊で軽い作品ってのもそれはそれで良し、って事ではないかと。
 
 で、まぁ思ったんですけどね。コレ、今、日本で観る意味っか必要ってあんま無いと思う。
勿論、ピーター・チャン監督のファンとかなら押さえておいても悪くはないし、退屈するというのでもなく、デティールが重要でもないから観るのを止めるべきとは思いませんけど、あえて時間とお金をかけて今、ってするべき部分は無いんですよ。っか多分、今の日本人が観ておく”べき”理由は無いんじゃぁないのかと。振り返ってみれば98-99年という時代のアメリカで製作費20万ドルで80万ドルの興行収入を得たってのは決してFlopではなかった作品、という点から考えるに、ジャック・フィニィの短編の如く一見現代を舞台にしていつつもこの作品は基本、ノスタルジィなんだと思います。ドラッグも無い。暴力も無い。殺人もない。宗教を冒涜もしなければ、所謂有色人種もいない。大きな騒動も無く、そして日々は続いてゆく… 当時既にそれはもぅリアルではない、ノスタルジィな寓話だったのかもしれませんが… とか、思ってしまえるくらいに公開から10年以上経過している現在、相対っか位相としての映画としての手掛かりっか取っ掛かりは私には見出せなかったな、っと。
  
あ、あと釣り師役で出演してる筈のジャック・ブラックは見つけられませんでしたワ。
 
 
 
…って事で、以下はこのDVDソフトにいてのメモなので興味のある方だけ

 
・『ラブ・レター (THE LOVE LETTER (1999))』
 劇場公開日: May 21, 1999 (USA)
 DVD発売日: 2004年5月26日 
 時間:87分
 リージョンコード: 2
 メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
 
 音声: 英語、日本語 5.1chサラウンド
 字幕:日本語, 英語

  • 映像特典 (2)
    • 未公開シ−ン
    • 劇場予告編

 

 
画質、音質についてはもぅリリースから10年以上前のソフトがベースなんで特に… ノイズがあるでなし、まぁ、こんなもんじゃぁないかと。贅沢を言えばちょっと映像、全体的に青みがかってる感じがしなくもないですが…
 
特典についても同様。ただ、1999年の全米興行収入137位*1の日本未公開作品のソフトにも関わらず、販売メーカーが変わっているのにどちらの映像特典にもちゃんと日本語字幕が付いてるのはエライ!
 

*1:参照:Box Office Mojo