『KANO (2014)』

台湾版Blu-ray外観。

 

内容はもぅこの予告編で十分と思うけど、まだ足りないって人はあらすじ等は【日本版オフィシャルサイト】を読んでもらうとして…
 
特報が出た時から興味はあって、場合によっては現地の劇場で… とも思ってたけどその2014年は眼のトラブルで振り回されているウチに公開が終了、一応年明けに日本でも『KANO 〜1931 海の向こうの甲子園〜』って邦題で全国公開となったのですが地元では『バンクーバーの朝日』『アゲイン』は公開しても本作はスルー、丁度台湾でソフトも出ているし眼の方もとりあえず一安心?って事でオーダーした品でございました。
 
で、感想なんですが… 一言で現すならば「気持ちのいい映画」、でしょう。
 
映像特典で監督らが「人間は未来を見つめる生き物ですが、過去を忘れてはいけない。何故なら現在は過去から続いているものなのだから」と言っていたように、本作を野球映画とか青春映画とかのジャンルっか思い込みで観ると人物描写も試合シーンもかなりアッサリしている本作に肩透かしの印象を受けるでしょう。実際、私も最初の頃は
「まぁフィクションを混ぜているとはいえ史実が元だからかな?」
 と思ったものですが、永瀬氏演じる近藤監督とチームにあえて寄らないし入り込ませないようにしているのに注意して観ていってのクライマックス、それ自体も実にあっさりしたもので… その後の史実での嘉義農林学校野球部と部員らの略歴が出てのエンドロールかと思いきや… 『中国合伙人』はそうでしたしね… 更に続いてのエンディングで、私の印象はあんまりズレてなかったのかな?と思いましてな。
 
地元の名士や日本人新聞記者らがかなり差別的且つ軽薄に描かれているのを含めて日本統治時代が素晴らしかったと言いたい訳じゃぁない。努力する事や最後まで諦めない事が素晴らしい!とだけ無責任に煽るものでもなく、むしろ逆に目標や結果に対して努力する事や最後まで諦めない事は大前提、当たり前の事だとさえしていて。それらを踏まえた上で、野球や水路開発等の”過去”のエピソードに監督らが何を託しているのか?を考えながら観ないと御話とその構造としては非常にシンプルなだけに単純な親日万歳映画みたいにとられるかもしれないよなぁ… とか。
 
 でも監督らは多分、そういうのも想定済みだと思う。
欲を言うのならば機材が、お金が、人が、時間が、と色々あった筈だけど、劇中の嘉義農林学校野球部のように、出来る事、やれる事に真摯に、一生懸命向き合って、手間暇を惜しまないで準備し、用意し、撮影し、編集したのではないかと思う。それが観ていて伝わってくるから、とても気持ち良かったんですよ、私には。

監督らの”過去”、”意図(メッセージ”については台湾人の間でも議論は分かれているけれど、それを見る日本人の私にはまた違う感想も印象もあるが、それはそれでいいんじゃないかと私は思う。メイキングを観ていて本編では使われなかったシーンが結構散見出来てたけどそれと同様に、どれだけ描いてみたところでキリが無いから足りないし、どれだけ言葉でも示してみたって理解や受ける印象が等しく同じになるのでもなし。だけど知ってもらわなかったらキッカケにも手掛かりにもならない。その上で、ってのまでは求めていないんじゃないかなぁ… と思い至ったのはエンディングで、台湾へ帰還する船上で、

 
監督… 帰ったら大勢で迎えてくれるのか ガッカリした人達を見るのか… どっちでしょうね
 

 と問うた呉に対しての近藤監督の返答、でして。その台詞は本作の監督らの矜持の言葉でもあり、希望だったのではないかな、っと。なもんで、本編のテンポの良さとか時代考証の拘り具合が、とか、あれこれと並べるのではなく、見終えた後味の気持ち良かったが、私の心と記憶に素直に残った作品でしたよ、っと。
 
 
 
さて、以下はこのBlu-rayソフトについての情報なんで興味のある方だけ… 

 
・『KANO 雙碟版』(DTS-HD)(Blu-ray)
 
Thatrical Release dates: February 27, 2014
Release dates: December 25, 2014
Running time: 185 minutes
Region: A
 

  • 【映像特典】
    • 本編ディスク
      • 監督らによるオーディオコメンタリー(繁体字の字幕あり)

 

  • 特典ディスク
    • BEHIND THE SCENE (1:17:12)
      • 尋找台灣的美好年代
      • 不放棄的嘉農隊
      • 不放棄挑戦(上)
      • 不放棄挑戦(下)
      • 永荑正敏 (鐵血教練 近藤兵太郎)
      • 大澤隆夫 (嘉南大?之父 八田與一)
      • 温柔的力量 (坂井真紀、喬喬、孫睿、葉星辰)
      • 青木健 (北國之雪 錠者博美)
      • 吉岡そんれい (木瓜老師 濱田次箕)
      • 嘉農球員介紹
      • 曹佑寧 (麒麟子 吳明捷)
      • 原住民球員(鐘硯誠、謝竣祜、謝竣晟、張弘邑)
      • 日本球員 (大倉裕真、飯田のえる、山室光太朗)
    • 【KANO正式預告】 (1:01)
    • 【直球對決】KANO電影幕後紀實 (1:30:08)
    • 【KANO】開鏡影片 (10:30)
    • 勇者的浪漫 - 風になって - 電影主題曲的誕生 (10:46)
    • 【KANO】監製與導演 (6:20)
    • 嘉義首映-萬人遊行 (6:30)
    • 重建甲子園 (6:04)
    • 唱那首歌吧《小鳥先生》(2:01)

 

 
 さて、日本版

 はどこまで頑張ってくれるかな?って事でザックリと。
 
台湾ではブックレット等も付属した限量雙碟禮盒版(Box Set)もあるようです*1が今回はBlu-rayディスク2枚のみの雙碟版で。
 
画質、音質については全く問題ございません。どちらも非常に綺麗でありますが、クリアー過ぎて合成やCDの荒まで出てしまうのは御愛嬌って事で。
 
音声について、本品やショップ等で「日語/國語/台語」って表記されてますがそれぞれの言語版音声が収録されているのではなく、本編の台詞が日語、國語(中国語)、台語(台湾原住民語)が混在している、というものなので注意すべし。っても、全体の8割以上が日本語ですし、残りも英語字幕でまぁ何とかなるんじゃぁないかと思いますけども。
 
特典については… 本編ディスクの監督らによる音声解説だけでも結構な量ですが、特典ディスクのボリュームったらば! 多少の内容のダブリはありますがもぅコッテリと詰め込みまくってて全部観るのが大変です。 難点としては「トップも含めたメニュー画面で一定時間以内に操作決定しないと自動再生」「特典ディスクの映像特典、それぞれ最初と最後に共通のアイキャッチ映像が入るのが(短いけど全く同じなので)ウザイ。」ぐらいで、このソフトだけの不満というものでもないんで、トータルでみればお買い得な商品ではないかと思いますよ〜 んでもって、このオリジナル版に収録されている物には全て字幕が付いているんですから日本版も頑張ってや〜