『あなたがいてこそ (MARYADA RAMANNA (2010))』

 

『あなたがいてこそ』公式サイト(日本語)
 
久々に行った地元のGEOでゴッソリとインド映画が無くなっていたのに危機感を感じてレンタルした作品で、
事前の知識としてカーヴェリ川長治氏のブログ記事で『荒武者キートン (Our Hospitality (1923))』が元ネタ、というくらい。機会があれば個人輸入するつもりだったがその機会が無いまま日本で公開されて… ってくらいで、正直言うと私はあまり好みではない南インド映画でしかも未知の人達ばかりという作品に対してあまり期待値は無かったものの、いや面白かった! 予告編を観た時はもっとはっちゃけてる映画かと思ってたけど全然違う!いい意味で裏切られたわ〜 南インド映画の長々とした台詞のギャグシーン等の散らかりが苦手な妻でさえ最後まで観てしまったくらいにシンプルな「家から出ると殺される」というネタを軸に無駄が無く綺麗にまとめた作品で、それでいて観ている側の予想をひょいっと裏切ってスカしてみせるアイディアの入れ方といい娯楽作品としてとても良くまとまっている作品でしたよ。
 
特に主人公が問題の屋敷に到着するまでに設定や情況やらをすごく丁寧に映像で見せておいてからの、って展開はインド映画に限らず劇中、終盤になってからグチャグチャと説明(言い訳)を後出しする作品が少なくないだけにより作品に集中出来ますし、音楽にせよ出演者達も必要以上にキャラ立てやエピソード立てをしない匙加減はなかなかやれるもんじゃぁないと思いましたね…
 
うん、私はバスター・キートンが好きなんですけど実は元ネタの『荒武者キートン』はクライマックスが凄い… 今と違ってCGが使えない、全部実際に行うって凄味… はあるんですが、そこに至るまでが長い上にラストがとって付け過ぎる感じがしてそんなに好みではないんですが、それと比べるとインターミッションまでで追い込んでからのクライマックスまでのペース配分が実にいい塩梅になってる分、此方の方が好みだと思うくらいで。特に現実時間で一番長く且つ脱出の可能性としては決して低くない筈の夜をたった1ネタで済ませてしまってからの、ってのはねぇ…
 
正直、”語り部”ではないけど喋る”相棒”に関しては疑問でしたし、主人公が28歳って役の設定にはどうしても見えませんでした(笑)が、それはそれとして、主人公の活躍がスーパーマンではないけれども、ってのを最後まで通し切っての本作は観終えて楽しい気分になれる素敵な娯楽作品でしたよ〜 ええ、気軽に素直に楽しめる娯楽作品としてインド映画が好きな方は勿論、インド映画を未見の方にも(個人的にはラジニ映画よか)オススメしますよ〜
 

あなたがいてこそ [DVD]

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何故Blu-rayが無いんじゃー! インドではちゃんと出てるじゃんYo!