『捜査官X (武俠 (2011) )』

オリジナルポスター。

 

 
ドニー・イェンが出演していて原題は『武俠』、となるとこの日本版予告編の如何にも金城武演じる捜査官が主人公のミステリーっぽいドラマというのはまず有り得ない、多分過去を捨てて隠遁する侠客のお話なんだろうなぁ… と思いつつ妻とロックシティに観に行ったらばその想像通り(笑)でございまして、確かに日本では武俠物というのはあんまり馴染みが無いんですけどこういう客をミスリードっか騙すような宣伝展開は今時の御時世ではあんまり良い事ではないんじゃぁないかなぁ… 実際、私ら入れて6人しか観客がいませんでしたが、宣伝不足というよりもネガティヴなクチコミの結果なんじゃぁないのかなぁ… と思わないでもなく。
 
ただ本作、観終えてこぅスッキリとしなかったのが結局ドニー・イェンのアクションシーンと捜査官部分とかほぼ分離していて1本の映画としてはは非常にまとまりが良くないんですよね。インチキな日本版予告編のようにさながら『魁!!男塾』のようなミステリー系に徹するか、逆に
 

 
このオリジナル予告編のようにドニー・イェンの武俠物に徹してくれれば良かったとは思うのですよ。監督がアクションシーンをドニーさんに全部任せたらしいんですけども、おそらくは監督にはストーリーの大枠はあっても多分映像部分でのイメージはカッチリ無かったんではないかと。だからアクションシーンとしての組立てと結果までの過程の部分が全く違う味わいになっちゃってるんではないかと。それと舞台となる雲南省の小さな村の撮影は詩的であるのと比べると作劇部分は非常にカットが多くチャカチャカとした漫画調になってるのもまとまりに欠いた印象でしたのぅ… せめて捜査官の推理シーンだけとか限定してあるなら、とか思うんですけど、ここいらは最近の中国、香港映画を観ていないんですけどもどうなんでしょ?
 
1917年という時代設定、捜査官の過去、その他投げっぱなしになってる部分はそんなに気にはならない、っか、武俠物らしいとも言えると思うんですけど、それと作品内でのトーンっかバランスの悪さはやっぱり私は別物ではないかと。面白く最後まで観ましたけれども、インタビューで監督が
「アクションシーンは何度も取り組んではいるけど上手くいかなくて、『ウォーロード/男たちの誓い(投名状 (2008))』の時にはコメディだとまで言われた」
 って苦笑してましたが、この人の本分としてはやはり映像での静の語りであって、それを活かすにはもうちょっと本編の尺とアクションシーンの意味というか必然性があるべきではなかったかと私は思いましたね… 出演者が頑張ってた分、余計に… っとぉ。