スイトピア寄席 立川談春独演会

 

 

  • 宮戸川(上)
  • 元帳
    • 中入り
  • 人情八百屋

 
 私の棲むこんな田舎にも談春が!って事で5月28日にスイトピア事務局で購入をしたものの、岐阜での談春師ってぇと思い出すのが各務原市文化ホール『江戸前かかみの寄席』でして… 正直言えば期待が三分の一、不安が三分の二って心持でございましてなぁ… 田舎故に地方文化人気取りの天狗や名士気取りの馬鹿とかが師匠を前に一席ぶって、とか簡単に想像出来ますし、お客の質が良くなけりゃぁ分かり易く大袈裟で馬鹿馬鹿しいデフォルメとアドリブでってのは中電ホールで観ているし… お陰で以降、名古屋市内での談春師を観ようって気は無くなりましての… とか、折角自分の棲んでいるような田舎に来て頂けるってなっても諸手を上げて素直に喜べないんですが… 終わっての今回に限っては杞憂だったな、っと。
 
 全席完売当日券無しって事でしたが会場は文字通り満員、年齢層も様々でございました。隣りの席が落ち着きが無いだけでなく携帯や時計のアラーム鳴らす馬鹿夫婦だったのが至極残念ではありましたが… って私の恨み言はさておき、一度出囃子が鳴ったのにも関わらず幕が上がらずもう一度出囃子が鳴ってから出てきたのは談春師、
「弟子があんまり馬鹿だったからお前の席はねぇって言ったんですが」
 というような事を仰ってのマクラ、東京の節電を軸にしてのものは正直地方民っか田舎者にはいまいち伝わり辛いんじゃぁないかなぁ?って思ったんですが会場の反応もやや鈍く、そこから入られたのが「宮戸川」の上。ただ半七とお花よりは叔父さん夫婦の方に視点をぐっとあてたものだったのは客席の様子だったからなんですかね? って思いつつもサゲを終えてもそのままで、ちょっと間を置いてから入られたのが「元帳」。何と言うか今日は家庭っか夫婦推しかな? と思いつつも楽しく笑わせていただきました。
 
 で、中入りの後は白の着物に黒の羽織で短めのマクラで入られたのが「人情八百屋」。私は初めて聴いたので「唐茄子屋政談」のような?と思ってたんですが… 好みはそれぞれだと思います。妻の隣りの席の方は号泣なされていましたし、私の隣の馬鹿夫婦は足をバタつかせて携帯電話イジってたんで正直私自身の感想って言うとフラットになれないんですけども… 40代の私からすると、人生そういう事もあるって割り切りもあっての上でいい噺だとは思いました。善悪とか正邪とか是非って事で細かく言えば色々あるんだけども世の中ってのはそんな綺麗にスッパリいけるもんではない、ってのが腹っか腑にあるかどうかってトコで。ただマクラで繰り返しネタにされていた震災を経て、談春師が語っていこうと思った話として… と考えると色々と思えるだけのいい出来だったと思います。
 
 サゲを終えての礼の後、
「色々とご不満もございましょうがこれも初回、裏を返しての… 」
 と、わざわざ語られてからの追い出し太鼓と幕でございましたが、是非とも次回、そしてと続いていってもらいたいなと素直に思えました。地方故に色々と難しかったでございましょうが、地元贔屓なんて無い私からしても今回の談春師は観れてよかった楽しかったと素直に思えた会でしたよ、っと。