『Bajrang: The He-Man (Jai Chiranjeeva (2005))』

Eagle社版DVDジャケ。

 
 たまには大衆娯楽に徹底した映画を何も考えずにボサ〜っと観てみたい、って事でタミル映画やテルグ映画も時々観たくなるんだけども比較的入手し易いボリウッドっかヒンディ語映画と比べるとナカナカに入手が難しいもので… と思ってたらInduna.comでヒンディ語吹き替え版なれどあって値段も安かったんで数合わせにと購入をしたんですが…
 
 
 最新型狙撃銃のデモンストレーションとしてたまたまその場にいただけという理由で射殺された娘の復讐の為に怒れる刑事Satyanarayana Murthy(Chiranjeevi)はアメリカに乗り込んで美女とダンス! 悪党相手に大暴れ!

 
 … まぁ、もうちょっと本筋は色々あるんですけども大まかにはこんなトコで、と粗筋紹介時点でナゲヤリ気味になるくらいに、とても2005年の映画とは思えない作品でして… 例えるなら6、70年代の香港映画って感じ? と『Muthu (1995)』の頃でも思ったものですが、それから10年経ったってのはCG合成によるエフェクトとブレッドタイムの導入くらいでお話の出来としてはもぅ適当っかその場の思いつきで撮ってんじゃねぇのコレ?と言いたくなるくらいにヤンチャが過ぎると申しますか…
 
 一例として、本編最初のミュージカルシーンの『Jai Jai Ganesha』を観てもらうとして…
 

 
 コレは多分テルグ語オリジナルと思うんですけども… ってのはさておき、要は「ガーネシャ様マジパネェ!」って讃える歌なんですけど別にこの前にもこの後にもガネーシャ神は何も関係無いんですよ。何せ映画の題名にもなってて主人公の正義の力の源と御加護を与えてるのはハヌマーンなんですから… って、唐突にそう言ってハヌマーンの神像がバーン!とアップってヤッツケっかどんな後出し?げなのなんかホンの一例ですもん。勿論このシーンにも唐突に入って終わったらイキナリ別シーンになってますし。
 キチンと撮影計画も準備もしていなかったのはこの最初のミュージカルシーンが一番カット割りが細かくてエフェクトを使ってて踊る人数も振りのパターンも多いという見栄えがするもので、後になるに従ってどんどんショボくなる、ってのではねぇ… 確かに掴みは大事ですけど、そこだけってのもねぇ…
 
 また娯楽としての映画の為か、暴力・歌・ロマンス・コメディ・悲劇・そして歌のシーンがあまり脈絡とかトーンとかテンポとか考えずに羅列されていってる感じで、例えて言うならファミリー向け回転寿司屋、ベルトの上にはこちらの気分とか体調とか関係なく寿司やスイーツや飲み物や椀物やらが回ってるでしょ? で、回転寿司屋なら一巡もするし欲しい物があれば注文も出来るけどこれは映画だからそうはいかないし、その上出て来る物がどんどんショボくなってく、ってのではなぁ… と。
 無理矢理でイキナリなハッピーエンドといい、まぁその土地での娯楽でアレコレ考えずただ場面シーン単位で笑ったり見とれたり怒ったり悲しんだりして、ってするのがいいのかもしれませんが私はちょっとなぁ… と。
 
 都市に対する蔑視や嫌悪、肌の色が白い程悪人、太っているのは裕福の証、とか興味深い点もあったんですけども、まぁこんだけ乱暴っか適当なのは流石に辛かったですわ。何て言うんですかねぇ… これがまだ「意あって力及ばず」とか「意あれど力明後日」「力だけ」なら突っ込みつつも楽しむって事が出来たかとは思うんですが、このショボくなり方も含めて何か全体的に情熱が薄いっ〜か何をやりたかったとも何を見せたかったのかも何を伝えたかったのかも無い、主演にテルグ映画界のメガスターChiranjeeviを用意してプロットやフォーマットで撮って編集して一本上がり、って印象なんで突っ込みを入れる気にもなれんのですよね… 娯楽として兎に角刹那的っか、出鱈目なのはやっぱりちょっと辛いんですよ。こういう乱暴さっか粗雑さを哂うのは簡単なんですが、製作者側がそういうものだというある種の諦念っか割り切りをしてる物に突っ込み入れたり哂うのも個人的には趣味じゃねぇんですよ。そういうものとして製作され消費される素材なんだし… それを日本人がどうこう言っても、ね? っと。
 
 
 
 以下はこのDVDについての情報なので興味のある人だけ

 
・『Bajrang: The He-Man (2006)』- All Region
Original Title: Jai Chiranjeeva
Release date(s): December 21, 2005
Runtime: 150 minutes
Studio: Eagle

Audio Language: Hindi
Subtitle: English

No Of Disks: 1
 

 
 さてDVDソフトとしましては… ん〜… 微妙ぅ。
音質は吹き替え版だからそれなりなのは仕方ないにしても画質はボリウッドに慣れているとかなり辛いです。っかケースが紙製のアウターケース仕様と凝ってるワリに届いたディスクが未開封の新品なのに思いっ切り汚れと傷だらけでスゲェビビリましたよ。一応汚れを全部綺麗にしたら何とか再生しましたがそういう点からしてもあんまり映画作品として大事にされていないのか、する気が無いのかよぉ解りませんが、song menu以外特典無しとかも含めてあんまりオススメはしかねますなぁ… っか、やっぱ本編がアレでは、ねぇ…