隔週刊 落語百選 DVDコレクション 第4号

USA-P2008-11-18

 まずは菊之丞師、なんですが多分創刊号の「子ほめ」同様に前座噺を前座噺らしくする為に笑う為の間を詰めて演じられているんでしょうかね… この企画に対する判断と言うか配慮なんでしょうけども、その芸の細やかさと隙の無さが半端無いだけに非常に勿体無く思いましたなぁ… 極端な色づけや演出をしていないのに前半の店に尋ねて来るお客がちゃんと人物が違うようになっていたり、四回ある弥市さんの口上の部分でのそれぞれの時の心象が出ていたり、所作の細かさ(特に奥方!)といい、これでお客が笑う為の間をとってくれたらもっともっと笑えるであろうになぁ… と。これでも充分に余裕をもってのものなのが見えるだけに、長講一席、師ので欲しいですなぁ… 芸歴での縦社会、ってのが落語会の秩序なのは解るんですけどね。
 
 次が「子別れ」ってなっているので通しかと思ったんですが結局んトコロは「子は鎹」であります。「子別れ(下)」とか表記出来ないのは多分前半部分を収録するつもりが無いって事なんでしょうけれどもここらの表記は正確に願いたいものです。
 で、志ん輔師ですがその安定感は流石ですね… 私個人の好き嫌いで言えば以前聴いた桂ざこば師の方が好きなんですよ。筋立ての細かい部分で理が通っているものにしているからこそあのつっかえつっかえのざこば師で登場人物らの心のもどかしさまでも出ているように思えるのと多分、素直にこの噺の世界が好きなんだろうなぁ… って思える雰囲気と非常にマッチしているように私には思えるんですよ。でも、そういう個人的な好き嫌いは置いておいて楽しめるくらいにクリアでフラットで安定してる語り口と所作、って点では2号の雲助師の「芝浜」同様に、これが演者にとっての理想の形かどうかは兎も角として落語という芸能について雑味やダレの無いすっきりとした一席なんじゃないかな? っと思いましたよ。
 
 という事で、この号は「買っても損はないんじゃぁないんですかね?」っと。
なんか私的にオススメする号とオススメしない号が交互、ってなっちゃってるような気がしなくもないんですが、まだまだ4号ですしねぇ… あぁでも収録日と場所と収録順はせめて表記が欲しいですねぇ… 鶴光師のブログによれば2本撮りって事らしいんですけども、望むならば、ある程度通しで観ると寄席の一番組げな感じになる、って構成になってくれたら… ってのは贅沢ですねハイ。