「手放しでは喜べない。」(映画雑記)

 
 世界中で既にD上映済みでDVD化されていたものの、日本語吹替えまで製作
されていながらスルーだった『Hot Fuzz』の日本での劇場公開が決まって…
一応私も署名運動に参加しましてな、その成果を受けて、って事なのだが、
ぶっちゃけ諸手を挙げて喜ぶ気になれないのは既にDVDで観賞しているから、
ってのよりも、
「こうした運動が映画会社の宣伝の為に起こされたのではないのか?」
 とか
「結局、地方での公開ってあるの?」
 とか、まぁ色々思うワケでして…
 
 大衆を味方に出来なかった社会運動の末路は全共闘で嫌って程知っている
上に、その全共闘世代のクズどものせいで今の日本がどんな姿になってしま
ったのかを考えれば、これもまた勝利ではあるものの… チェ・ゲバラしか
り、運動の過程に於いて、小さな戦局っか戦場単位での勝利だけに喜ぶ事は
大事ではあるがしかし… ありもしない戦果を喧伝するようになる事になる
ようにもなるやもしれず… それこそ右も左も関係無く、運動の内部だけで
の評価に一喜一憂してもなぁ… とかね。
 
 私は半分亡命してるようなもんだけども、少なくとも映画会社の紐付きの
人間の情報はあまり信用せず、なるべく自分の情報収集での選択をし、自分
が面白いと思う物を、ブツを発信していく事しか出来ない。
 確かに微力ではある。あんまり効果があるとは言えない。
もっと多くの人に届くような文章にしたいと思いつつも、そうはなれない己
に忸怩たる気分が常にある。だけどニヒリズムに陥りたくはない。世界には
色々な映画があり、様々な楽しさを提供してくれているのを知っているんだ
から、楽しませてもらった分、誰かに… 検索で辿り着いた誰か、にでも、
返していければなぁ… っと思う。
 
 声高に勝利を叫ぶのは誰でもいい。
 
 だけど私は、声高に叫ぶ者にはなれないし、なりたくもない。
 
 局面、戦況単位では、世の中は、社会は、変わらないのだし。