BSふれあいステージ・お好み寄席『長講一席・三遊亭楽太郎』

 
 昔何度か観てあまり好みではなかった氏ではあるものの、ひょっとすると今なら… って期待もあって。長講って事でさてどんな噺を?と思っていると『お化け長屋』で、私は以前に一度だけ他の人が端折った版を聴いたのと資料で読んだだけだったので楽しみだったのですが、これがねぇ…
 
 Wikipedia「お化け屋敷」によるとリレー形式で行われる事が多い噺だそうなんですが、どうも『らくごくら』等で大ネタを聴く機会も多い私ら夫婦からすると、林家染二氏の『地獄八景亡者戯』の1時間15分は特に長いとしても、繁昌亭で生で観れた談春氏の『包丁』『三軒長屋』、先日放送された桂福団治氏による『百年目』等と比べると格別に長いとも思えないんですが、長い噺だからか間を物凄く詰めて演じられるんで忙しないわ、会場が乾燥しまくってるのか何か解りませんが物凄くつっかえたりモタついたりされるんでますます間が悪くなるわ、上下の切り方も甘めでメリハリに欠けるしでどうにもこうにも。
 カットされたのかもしれんのですが、二番目に長屋に現れる男が最初の人に頼まれて仕返しにやってきたんだけど実は気が弱いってトコがバッサリと無いんで財布が消えてる理由がよく解らないものになっていたり、後半その男が長屋に本当に引っ越して来てからの部分が前半に比べるとえらく短くバランスもあまり良くないような…
 以前、聴いた時も資料で読んだ時も脅かす役は男の職人仲間だったと記憶しているのですが、今回は長屋のご町内の方々になっていてまるで『不動坊火焔』みたいになってから親方んトコロへ帰っていってのサゲ、というのは誰の版かは解らないんですが、まぁそういうデティール部分はまだいいとしても、正直言ってあまりいい出来とは思えませんでしたわ。
 
 どうも楽太郎氏の喋りというのがあまり江戸言葉に聴こえない… それこそ小遊三氏のような解り易いべらんめぇ口調の方がこの噺に合ってると思うんですが… ってのもさる事ながら、モタついて間が悪くなったのを埋めようとして更にモタついて間がより悪くなるという感じのままに進められても… 現場で生で観たのならまた違う感想なのかもしれませんが、コレを観て氏を生で観たいとはとても思えませんでしたわ。好き嫌いじゃなくて、これから聴いてゆこうという気には到底なれませんでした、っと。