『The Monster Squad(『ドラキュリアン』(1987))』

DVDジャケ。

 
 百年前、ルーマニアトランシルバニアは暗黒の時代だった。ヴァン・ヘルシング博士らはドラキュラ伯爵率いるモンスターの世界を一掃し、人類を永遠の悪から救おうと戦ったが…
 そして現代・1987年。
アメリカの小さな田舎町に住むSean(Andre Gower)はモンスター大好きっ子。仲間と妹らと屋根裏部屋でモンスター談義をしていたのだが、ある日お母さんがどこからか本を貰ってくる。ドイツ語のその本はSeanには読めないのだが
「確かヴァン・ヘルシングとか言う人の日記だって。確かゴジラを倒した人でしょ?」
 という母の言葉に大興奮するのだが、同じ頃彼の住む町にドラキュラ伯爵が現れた。
百年に一度この世に現れるという善と悪の世界のバランスをコントロールする護符「光る石」の出現とヘルシング教授の日記を得るべく、狼男、ミイラ男、半魚人、そしてフランケンシュタインの怪物等のかつての下僕達も呼び寄せて「光る石」の在り処を、フランケンシュタインの怪物には日記の強奪とその所有者の抹殺を命じる。
 近所に一人で住むドイツ人のお爺さんを訪ね本を読んでもらう事にするSeanらだったのだが、そこには「光る石」の善と悪のバランスを定める日がまさに明日に迫っているのを知る。
「何故かこの本がこんな町の、僕らの手元に来たって事はきっと護符「光る石」だってこの町にあるんだよ!」
 っと興奮するSeanらが家に戻るとそこには…

 
リーサル・ウェポン (1987) 』『ラスト・アクション・ヒーロー (1993)』のシェーン・ブラック脚本、特撮担当にベテランのスタン・ウィンストン、ってのに比べると監督のフレッド・デッカーは『クリープス (1986)』に『ロボコップ3 (1992)』ってのに加えて『ドラキュリアン』なる珍妙な邦題に大抵の人は敬遠しちゃうんでしょうし実際自分もそうだったんですが知り合いから
ジュブナイルのアクション映画としてよく出来てるんだってば!」
 と言われて半信半疑で観たんですがこれがもぅよくまとまっている作品で驚いたもんですが、なにせこれまたマイナーで日本では今日もVHSしかリリースされてない現状で。おまけにレンタルしたビデオ店は潰れてしまって以来観てなかったんですが、子供向けに直接的なシーンは極力押さえつつも見せる部分ではシッカリ見せるメリハリ、ありがちっちゃぁあちがちなんだけどキャラ立ちした登場人物達、そして絶妙なテンポとそこはかとないユーモアといい、何となく心に残っていた作品だったんですが公開20周年記念としてリリースされたんでオーダーしてそれこそ20年近くぶりに観てみたんですがやっぱコレは面白い作品でしたわ。
 子供達が出来る事と出来ない事をちゃんと立てていて、出来ない事の為に用意された人物らもちゃんと個性づけがされて物語の早い段階で登場させているから後でそれが生きてくる構成の良さといい、劇中で名前が呼ばれる登場人物にはちゃんと見せ場があるって無駄の無さといい、御都合主義やお約束なのは解ってはいても素直に楽しめれて。多少、大人としては尺が足りないような気がしなくもないんですがその分テンポよく観られるんでしょうし、子供向けっかファイミリー向けだからと手を抜かない作り、子供が主人公だからと甘い事ばかりではなく子供だからこその苦さもあり、それで迎えるハッピーエンドにはもぅ文句とか言うだけ野暮ですわいな。そういう完成度故に公開から20年後こうしてDVDがリリースされるだけのファンがついていたんでしょうしな…
 
 ま、確かに監督も含めて本編出演者らもその後コレという作品が無いのも事実で英語版Wikipediaの『The Monster Squad』の項のTriviaを読んでやっとこさ本作で狼男を演じた人が『Fright Night Part II (1988)』でも狼男を演じてて後に『Napoleon Dynamite (2004)』のリコ叔父さんを演じたJon Gries氏、ってのはツボでしたがこれだってまぁマイナーな楽しみではありますしな。ひょっとすると特撮担当のスタン・ウィンストンが今も一番活躍してるんじゃないか?って思うくらいですが、そういう点でもよくまとまってはいても地味な作品だと思うんで購入してまで観て!とは申しませんが、粗筋を見て興味を覚えた方ならばレンタルしてみても悪くないんじゃないかな?と思いますよ。確かにバイオレンスやエロはございませんが、冒険活劇としてよくまとまった小品だと思いますよ〜。
 
 
 
 …って事で以下はこのDVDについての情報なので興味のある方だけ

 
・『The Monster Squad (Two-Disc 20th Anniversary Edition) (1987)』 - Region 1
 
 Studio: Lionsgate
 Theatrical Release Date: 14 August, 1987
 DVD Release Date: July 24, 2007
 Run Time: 82 minutes
 
 Aspect Ratio: Widescreen − 2.35:1
 Available Audio Tracks: English − Dolby Digital 5.1, 2.0
 Available Subtitles: English, Spanish
 
 Special Features:
 ・Disc 1
  ・Audio Commentary: Fred Dekker & "Squad Members" Andre Gower(Sean), Ryan Lambert(Rudy), Ashley Bank(Phoebe)
  ・Audio Commentary: Fred Dekker & Bradford May (Direct of Photography)
 
・Disc 2
  ・Monster Squade Forever (1:27:53)
  ・A Conversation with Frankenstein (5:33)
  ・Deleted Scenes (8:18)
  ・Animated Storybord Sequence (1:40)
  ・Still Gallery (5:13)
  ・Original Theatrical Trailer (1:55)
  ・TV Spot ( :32)
  ・Aloso Availabe From Lionsgate (4:42)

 

 
 紙製のアウターケースから取り出した本体ケースの中には当時の劇場版ポスターの縮小版があり、裏には監督Fred Dekkerによるこの映画と20周年記念盤についてのメッセージが添えられています。
 
 画質は… 良好でしょう。もちっと発色と鮮明さが欲しい気もしなくもありませんが無理にクリアーにしてもしょうがないですしね。特にノイズも見当たりませんし20年前の作品のDVDの画質としては良好ではないかと。
 音質も問題ありません。欲を言えばアレンジの5.0版は低音部がもうちょいと欲しい気もしますがこれも全体のバランスを考えれば良好でしょうて。
 
 音声解説は2種類。
監督とモンスター討伐隊(Monster Squad)の中からAndre Gower(Sean), Ryan Lambert(Rudy), Ashley Bank(Phoebe)との思い出話がポツポツと語られるものと、監督と撮影監督とのノンビリした鼎談、なんですがどちらにも字幕が無いのがちょっと残念ですかな。
 
 で、2枚目の特典ディスクですが…
「Monster Squade Forever」はこの作品について当時の素材や現在の様子の素材を交えながら関係者が語るというもので監督のFred Dekker、Sean役Andre Gower、Rudy役のRyan Lambert、Phoebe役のAshely Bank、に加えてDracula役のDuncan Regehr、Frankenstein役のTom Noonanらが語るというものでなかなかに豪勢っか見応えのあるものとなっております。ただ本編でオイシイ役どころだったデブ君Horaceを演じたBrent Chalemは97年にお亡くなりになっていたのはちょっと寂しかったですな…
「A Conversation with Frankenstein」は多分、当時のTVでの宣伝用素材でフランケンシュタインの怪物のメイクのまんまのTom Noonanがインタビューに答えるというもの。
「Deleted Scenes」は数十秒単位の細かいものが連続再生されます。画質、音質は本編よりかなり落ちるのは仕方ないにしてもSeanの両親の喧嘩とかワリとどうでもいいのが殆どな上にこの程度のカット素材はもっとあるような気がするんですが… っと、やや中途半端か。
「Animated Storybord Sequence」はミイラ男撃退シーンの絵コンテを本編音声と共に再生、ってのも… 全部は無理にしても何故にこのシーンだけ?って疑問が残るんですけども。
「Still Gallery」は劇中のショット、ロビーカード、各国版ソフト等のジャケを音楽にのせて連続再生するというタイプです。残念ながら日本版は無かったような…
「Original Theatrical Trailer」「TV Spot」は「Deleted Scenes」に比べれば充分綺麗な状態で収録されています。
「Aloso Availabe From Lionsgate」は特に何か関連商品ってのでもない、Lionsgate社製作の子供向けアニメDVDソフトの予告が4本程収録されていますが… 『IRONMAN』くらいしか知りませなんだ。流石にいくらLionsgate社だからと言って『Saw』とかの予告をブチ込む事は無理でしょうからこれはこれで仕方ないかな、っと。
 
 定価$19.98という値段のソフトとしてはいい商品なんじゃないんでしょうか。確かに欲を言えば特典はもうちょっと欲しい気もしなくもありませんがこのDVDオリジナルで約90分のドキュメンタリー「Monster Squade Forever」もありますし、待っていたファンの方なら買い!でいいんではないかな?っと。