『Happy Feet(ハッピー フィート (2006) )』

 
 現在公開中の筈、ですんで粗筋等は

 
●日本版オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/happyfeet/
 
●オフィシャルサイト (英語)
http://www2.warnerbros.com/happyfeet/

 

 を読んでみてくださいまし。
自分の場合、ちょっと悩んだんですが「果たして劇場で観るべき映画なんだろうか?」と迷ったもんでUS版DVDでの視聴になったんですが…
 
 映像の密度が本当に凄いので劇場で観るべき価値はあるとは思うんですが、肝心のお話がどうにもノれないと言うか… 『ベイブ (1995)』くらいのスケールだと思ってたんですが風呂敷としてはかなり大きめになって、一応はまとめてみせたもののキチンと伏線どころかお話が回収、終結になってないんで個人的には物足りなかった映画でありました。まぁ凄い映像だと思うんですけども… って事で、以下にネタバレ込みでの雑感をダラダラと書くので興味のある方だけ
 
 Priceの『Kiss』で登場する主人公マンブルのお母さんの名前がノーマ・ジーンで、エルビスの『Heartbreak Hotel』で登場するお父さんの名前がメンフィス、って時点ではまぁ解り易いギャグだと思ったんだけど、結局ペンギンを擬人化しただけでなく人種まで持ち込む必要が果たしてあったのか? っとなると非常に微妙ぅな気がして… まぁ類型的っかギャグとしてはよくあるものなんだけど、長老や教師らのクイーンズ系とか類型的であるが故に解り易い反面、なんかずっと引っ掛かるんですよな。当然人種ギャグもアリになって、まぁそれはそれでお約束だから笑えるんだけど、
「でも、それじゃぁあえてペンギンにした意味ってどうよ?」
 って思う自分がいるんですよな。
一方で東洋系は見当たらないし、相変わらずシャチは悪役だし、っとこれまでの動物映画やドキュメンタリーの枠からは食み出て無い部分も含めて非常にオーソドックスでありまして『ファインディング・ニモ (2003)』のシニカルさを経験していると、ちょっと物足りない人物造形で… まぁ『シャーク・テイル (2005)』みたいなあんまり必然性も意味も薄い擬人化よりはいいかとは思うんですけど、物語で果たす役割から考えてみるになぁんか白人優位主義に見えなくもない点とか、やっぱり気になるんですよね。
 
 んでもって、
 
 お話、広げ過ぎ。
物語の規模が異端であるマンブル君のアイデンティティ物語だと思っていたんですが実際の本編ではよりデカくなって海洋資源の保護ってなるんで
「どうやってまとめるんだろう?」
 と思ったのをとりあえず何とかまとめる事は出来たけど根本的な解決にはなっていないラストでは素直にハピーエンドだとはとても思えないんですよな。乱獲防止って点で映画を観る人に出来る事が少ないってのもあるんですが、「人間が与えてやる事で得られる」ってのではカタルシスになるか? ったらそうはならんでしょうに。
 加えてそこまでの物語が伏線が回収しきれてなかったり、例えばマンブルと父の対立と和解やグロリアとの再婚? ナドナド、物語として結構重要だからもうちょっと尺をかけてお話にすべき点をちゃんと描いてないからご都合主義的で納得しかねる部分が少なくないんですよ。
 それに折角、ダンスもまた己の心にある喜びや悲しみ等の様々な感情の発露であるという設定にしても、マンブルだけが踊りが巧いワケではないって時点で説得力やカタルシスに結びつかない。確かにマンブルという存在によって南極周辺での漁獲行為の制限は達成されたのかもしれないけれど、それはマンブル個人によってではなく共に素晴らしいダンスをみせた他の皇帝ペンギン達に… そう、イワトビペンギンやゾウアザラシ等、他にも南極に生きる生物は他にも一杯いるのに… よって成されたんであって、元々踊ろうすればいつでも踊れたペンギン達によって、ってのでは画面は壮大なんだけど… ってなっちゃうんですよね。
 加えてラブレイスの命の危機になったゴミ問題やら、解決されてないサブエピソードの数々といい、あえて解決をしないにしても、だったらもうちょっと他に描きようが無かったの? って思うのが少なくないんですよね…
 
 視点がSF的である事の必然性もあんまり無いし、あまりにアメリカ的過ぎるイベントの数々はいいにしても、挿入歌による劇中ミュージカルシーンの映像の凄さに歌詞があんまり合ってないのも含めてちょっと観ていてノりきれない、個人的には「もひとつ」って出来でありました。
 いやもぅ映像の密度は本当に凄いしギリギリCGアニメでやる必然性もあると思いましたし、マンブル君らの中の人を担当したSavion Gloverは本当に凄いとは思ったんですが、やっぱり脚本(ホン)がなぁ… と。
 
 
 
 以下はこのDVDについての情報。
 

 
・『Happy Feet (Widescreen Edition) (2006)』 - Region 1
 
 Studio: Warner Home Video
 Theatrical Release Date: November 17, 2006
 DVD Release Date: March 27, 2007
 Run Time: 109 minutes
 
 Aspect Ratio: Widescreen - 2.40:1
 
 Available Audio Tracks: English, Spanish, French (Dolby Digital 5.1 EX)
 
 Available Subtitle:English, Spanish, French
 
 Special Features:
 ・Mumble Meets a Blue Whale
 ・A Happy Feet Moment
 ・Private dance lesson with Savion Glover
 ・music videos
  ・Gia's Hit Me Up
  ・Prince's The Song of the Heart
 ・Classic cartoon: I Love to Singa - 18 July 1936 (USA) ・
 ・Trailor
 ・DVD-ROM

 

 
 PCのドライブに入れるとWB専用プレイヤーのインストールをするかどうか聞いてきます。しなくても再生出来るんですがここはネタの為… っと導入してみますと、WBのサイトに行けるリンクボタン付のプレイヤーでの再生ってなるんですが、何故かずっと音楽が鳴り続ける仕様に変更されてしまいます(涙)。アンインストールしても消えてくれやしませんし、WMP経由じゃないんで一旦再起動するなり復元しないと無理目っぽいです。間違ってもインストールはしない方がいいでしょう。
 
 画質、音質は良好であります。綺麗な画面で綺麗な音、問題は全くありません。
 
 さて、特典ですが…
「Mumble Meets a Blue Whale」は、本編よりカットされたシナリオをちゃんとCGアニメ化したブツのようです。船を追いかけるマンブル君がクジラと出会う、ってモノですが… まぁコレはカットされて当然だったかな? っと。
「A Happy Feet Moment」は小ネタなんですが、本編を観る前なら笑えたモノでも本編視聴後は父親メンフィスのマンブル君への思いがあるだけに、あんまり素直に笑えないんですよね…
「Private dance lesson with Savion Glover」、特典のイチオシでしょう! マンブル君らの中の人であるSavion Gloverによるタップダンスの解説なんですが実技が本当に素晴らしい。この人がいたからこそこの映画が成り立っているんですが、いやもぅ凄いとしか言い様がありません。しかも、これは子供向けの解説なんでレベルを多少落としての喋りながらなんですが、それでも凄いのはよぉ解りました。
「music videos」はPVですね。どちらも本編の映像がふんだんに使われているものですので、可愛らしいマンブル君を堪能するにはいいかもしれません。
「Classic cartoon: I Love to Singa」はクラッシック一家のフクロウに生まれたジャズ好きの子フクロウによる短編アニメです。IMDbによれば1936年製のようで… 『March of the Penguins (2005)』にも昔のLooney Tunesを収録していましたが、WBはこういう点も強いですよね…
「Trailor」、何種類もある中からアミーゴス達のバージョンのみを収録。個人的にはマンブル君が海際で踊る初期のモノ(タイトルロゴのデザインが全然違う)等も収録して欲しかったですね…
 
 またこのDVDには「Sefoot WATCH」なるカードが同梱されていまして、コレが何かと言うと「稀少、減少傾向・状態にある海産物は食べず、養殖やとりあえず種の危機には遠い安定して得られる海産物を食べましょう」って為に、「Best Choice」「Good Alternatives」「Avoid」と項目別に魚の名前が書いてあるもの。本編前の予告集にも海洋資源保護を謳う広告が収録されておりますが… こういう試みもアリなんでしょうね… そう言えば方式サイトには海洋資源保護関連の情報やリンクもあった筈ですが日本版にはありませんでしたし、ね…