『桜蘭高校ホスト部』感想。

 
 最初は双葉で煽りに使われていた画像で、
「へぇ〜 今時のアニメらしく綺麗な絵だねぇ… 」
 とは思ったものの、調べてみて出てきた題名から何だよBL系かとスッパリ忘れていたんですが、アニマックスの秋からの放送でスタート、って事になって
「やっぱり私は白泉社育ちだし」
 って妻が観る事にしたのに付き合う形で、さして興味も期待も無く一緒に第一回目を観たのだが、
 
 これが滅法面白いッ!
 
 綺麗な作画をメリハリを効かせて動かす為にダレずに進むテンポの良さ、尋常でなく。必ずしも【巧い】とは言い難いもののアニメのキャラに見事にハマって浮つかない声優陣。ストーリーの面白さ。ケレンだけではない演出の素晴らしさ! … 特に音響での演出が実に良く、観直してみると情況や心理の描写を音でも表現しているその細やかさといったら… 久しくアニメを観る楽しみを感じてリピートを観れば初回では気が付かなかった、観終わっているから気付くさりげない伏線や演出に感心…
 
 っと、以来ひょっとすると妻以上に大ハマリをしてしまった『桜蘭高校ホスト部』。
原作も読んでるくらいなんですが… 流石にLaLaの購入とかは出来ませんが(笑)、でも全プレのオリジナルドラマCDも聴いてみたいなぁ(苦笑)… どちらも好ましく思ってしまってどうしましょう。
 
 流石に私、男なんでよく解らん部分もあります。
 アニメのOPが終わった時、妻が溜息をついてから
「あぁ、アニメで少女マンガがやれる時代になったんだ… 」
 っと感心&ウットリしておりましたが、私はそれを単にキャラを描く線の細さと色使いって絵だけの事かと思ってたくらいですし。その後、アレコレと感想を話している時にその差異っかズレに気が付いて妻に説明してもらったんですが、やっぱり男である私にはシックリこない部分というのはあります。
 
 んが、そんなのはどうでもいいのであります。
 
 スラップスティックがネトついてちゃイカンのですよ。
シレっと、サラっと、時にベタにやっていてもウエット過ぎるコメディって私は駄目なんですよ。ホスト部の面々が基本的に自分自身に自覚的で、だからこそとれる他者との距離感覚の塩梅がもぅねぇ… 堪らんのですよ。それを綺麗な絵と、素晴らしい音で、巧みな演出でまとめられたらもぅあぁた。
 一回の放送がそれこそアッと言う間、合間のCMがもどかしく、次のエピソードが楽しみって思えるアニメなんて久しくなかったなぁ… っと。
 
 勿論、好みの事ですんでもっとお耽美系が好きとかノリが性に合わない人もいますでしょうが、ただタイトルで敬遠、観ず嫌いは本当に勿体無いですよ…
 
 
 
 …って事で、
とりあえずエピソードの感想をこれから毎週ポチポチと書いてく事にします。
何故かって? そりゃぁいつかDVDで全話揃えて観直す日の為に、この時の自分の感想を残しておいて比較したいからでありますがな… もしお時間がある方で、この拙文ででも興味を持たれたのならばチェックしてみて、そして作品で楽しんでいただければ幸い、であります…
 
 

 
・1話 今日から君はホストだ (2006/10/27) … 「松」
 50pもの原作第1話を実にテンポアップしてまとめてみせた回。
主人公ハルヒを含めた7人もの人物紹介、下手をすると説明的な台詞だらけになるところを実に巧く見せてくれますが、オチが解った上で観返してみると背後等でちゃんとキャラがその時の情況らしい動きをしているのがよく解って実に楽しいです。やや背景の出来にバラつきを感じなくもなかったのは残念でしたが…
 しっかし、例えば原作であったサービスカットをあえてしなかった一方で「たしかお礼は3割だったな」等をやらない、ってのも含めて女性向きってのに媚びない、逃げない、アニメとして男性にも女性にも楽しんでもらおうとするスタッフの意気を私は感じましたね… 
 
・2話 高校生ホストのお仕事 (2006/11/3) … 「松」
 これまたボリュームのあった原作、しかもクリスマスを巧くアレンジしつつ更にアニメ版での変更も含めて、非常によく出来た回なのではないのでしょうか。音の演出の巧みさに気がついた回でもあります。
 カットされたエピソードやギャグの数々は残念ではあるんですが、入れれば尺だけでなくテンポも悪くなったんではないかなぁ… っと思うのですが。
 
・3話 身体検査に御用心 (2006/11/10) … 「松」
 これも原作をちょっとイジってあるんですがそれ故により好きになった話でした。
ハルヒです…」
 は勿体つけられたら白けるんですが原作同様バーッといっちゃったんでもぅ笑って笑って。
それでいて環の台詞をあの位置にズラした事でより人柄が出たんじゃぁないんですかね… まぁ原作とは桃太郎侍をもじった台詞の違いがありますが、地上波では仕方無い部分もあるかなぁ… って事で。
 
・4話 女子マネージャー襲来 (2006/11/17) … 「松」
 この回も「間」はとってあっても例えば「攻め?」の部分で光&馨の後ろで鏡夜が微笑してたりと画面に「隙」が無いわ、音響での演出が凄く良い。あぁしかし、原作にあった
「ほぉ〜ら、お母さんにはナイショだぞぉ〜」
 は欲しかった(笑) いやもぅ贅沢なんですけどね。
 
・5話 双子ケンカする (2006/11/24) … 「松」
 笑わせてハラハラさせておいて最後にグッとこさせられてしまいましたよ。
個人的に原作で欲しかった「間」が… 食堂でのハニー先輩や終盤の双子笑顔とか… があって原作をよりシェイプアップしつつも削り過ぎないその匙加減は流石。いやその、原作の最後のページもいいんで難しいんですけどね…
 
・6話 小学生ホストはやんちゃ系 (2006/12/1) … 「梅」
 個人的にはちょっとガッカリした回。
作画のレベルが落ちてるだけでなく枚数もちょっと少なめ。そこを音でカバーしてもらいたかったが、肝心のピアノのシーンがちょっとなぁ… っと。まぁ毎週放送してたらこういう回もあるのは仕方無いにせよ、ここまで素晴らしいクオリティできていたのも込みでちょっと残念、でしたね。いやまぁよくまとめたとは思うんですが、今回は音の演出が重要な回でちょっと落ちたなぁ… っと思ったもんで、ね。
 
・7話 ジャングルプールSOS (2006/12/8) … 「竹」
 原作より絵的に解りやすくなった部分もあるし説明を増やしてくれた部分もあるが、アニメとして観るによくまとまってはいるがハジけるトコまではいかなかった、かな。それでも2回観てますが(笑)。
 ハニー先輩の行方不明まで飛ばしたのと比べるとちょっとその後が弱かったかなぁ… いやね、自分でも贅沢だとは思うんですが、あと一山欲しかったかな… っと。
 
・8話 太陽と海とホスト部 (2006/12/15) … 「竹」
 猫澤先輩絡みをバッサリとカットしたのは尺の都合上仕方無いにしても、鏡夜の
「御名答」
「メリット、ねぇ… (くすくすくす)」
 が無いのはなぁ… 個人的には環の
「大トロはおいちいでちゅね〜」
 とかハルヒ
「あぁこれはだいぶ快適ですねぇ」
 も欲しかったなぁ… とか、原作でも好きな話だっただけに初見はちょっと肩透かしな印象を受けたんですが、冷静にアニメとして観ればよく出来てるんじゃぁないかと思い直したりもして。
 ただ原作と比べてみるに、あえてマンガでは大袈裟・大ゴマにはしなかった部分をアニメでは強調、アップにしてるその判断は個人的にはちょっと疑問に感じなくもないんですけどね… ハルヒの怖い物探しんトコとか「ぎゅっ」の部分とかもちっとサラっとやってたらクライマックスはもっと盛り上がっていたんじゃぁないかと思うんですけどね…
 
9話 ロベリア女学院の挑戦 (2006/12/22) … 「竹」
 素直に笑って笑って終わった回だけど、解りやすさの為のイジリ部分が原作ファンには微妙なトコかなぁ… っと思ったりもして。まぁ原作とアニメではホスト部の存在とその面々の立ち位置がズレているから仕方無いし、下手に一緒にしようとして共倒れになるような事になる例も少なくないのを思えば一つの選択肢として正しいと思うのですが、今回の場合はバナナの皮の演出といいアクセント、間としては理解出来ても演出として必要であるという意図が私にはよく解らない部分も少なくなかったのも含めて面白かったけれど微妙、ってトコですかね…
 
10話 藤岡家の日常 (2007/01/05) … 「竹」
 CMまでの前半が非常に上手くまとめていてこのままいけたならば「松」だったのだが、いかんせん原作で3話あったボリュームをまとめる為に全体的に間のとりかたが短めで駆け足になってしまっていた分、ドタバタの面白さはあれども… ってトコロでしょうか。いやもぅダイジェストとしては非常によく出来ていると思いますし、前後編にするだけの話か? ったらそうは思わないんでこれしかやりようが無かったとは思うのですが… やはり「間」による「溜め」が殆ど無いのが勿体無かったな、っと。
 
11話 おにいちゃまは王子様(2007/01/12)… 「竹」の上。
 面白かった。面白かったのだがッ!
原作とはエピソード順も違うし猫澤先輩エピソードも少なくなったりカットされた部分もある中で本当に上手くまとめて楽しく、「心の眼発動中」とかの馬鹿馬鹿しさ(星矢ですか環さんは!(笑))とかも凄く笑えたんでアニメとしては「松」… っと言いたいんだけど、ちょっと説明し過ぎかなぁ… っと。台詞じゃなくて心情とかを画面で絵で、って部分の話でね。伏線の張り方と回収の見事さに比べると、ベルゼネフやラストの霧美ちゃんのトコとかは無くてあのマントを掴んでるカットから肖像画へ、ってくらいが私には好みでしたもんで… でも原作を本当に上手くアニメにしたと思いますしアニメ版での変更部分… 特に肖像画。原作では最初から描いてあった… もやり過ぎないバランスで好きなんですが、だからこそ… でも単に「竹」とは言えないくらいに楽しかったんで「竹」の上、って事で。
 
12話 ハニー先輩の甘くない三日間(2007/01/19)…「松」「竹」の上。
 原作が年に一度のバレンタインディ、っというのを上手く使ったものだっただけに季節がまるっきり違うし既に森先輩のお誕生日の5月5日を過ぎてもいるからさてどうする? っと思っていたら、主題をズラしつつも笑えるお話にキッチリと仕立て上げてきたんだからもぅこれはこれで良しではないでしょうか。
 っか、本当にホスト部は音響の演出が素晴らしい!
れんげ姫の立ち位置があの効果でよく伝わる上にギャグにもなってるわ、サントラの入り方と締め方も素晴らしい。それを更に美麗な画面とカット(省略がまたいいんだわこれが…)やテンポの緩急が加わって、実に楽しい作品になっているんですもの。これが地上波で毎週放送されてたなんて!
 
13話 不思議の国のハルヒ(2007/01/26)…「松」
 動かすトコロでダイナミックに動かし、止める部分でキッチリ止める。そこに効果音とスコアが絶妙のタイミングで入り、曲のトーンと間に台詞が入る素晴らしさ! 丁度中盤という事でこれまでのエピソードに出てきた人達を上手く配置し、『ホスト部』らしさに溢れつつも『アリス』からは離れない脚本といい、これはもぅお見事!
 いやしかしこのアニメは音響演出が本当に素晴らしい! 特に今回は「女王」だけ微妙にエコーのかけかたが変えてある事で現しているものが切ないですわ…
 
14話 噂のホスト部を取材せよ(2007/02/02)…「松」
 文句なし。静と動とのメリハリ、声優の素晴らしさ、無駄の無い上にバランスのとれた脚本、そして音響演出の素晴らしさ! 原作と比較してもハルヒを除く部員達に前半と後半でちゃんと見せ場を作ってあるわ、意味深な薔薇の配置(笑)といい、これぞ原作付アニメとして最高のクオリティ! そしてアニメとしてちゃんと面白い! この両立が成される事なんて滅多に無いと思うだけにいや本当にこのアニメは凄いなぁ… 堪らんですよ本当に。
 
15話 軽井沢さわやかバトル(2007/02/09)…「松」
 ちゃんとした前後編の前編としてはもぅ抜群なんじゃぁないんでしょうか。複線を再構築しての展開、それぞれのキャラの立たせ方と見せ方のバランス、そしてあのEDの引き方は前編としてだけでなく本当に巧いですよね… 美鈴っちの扱い方は面白いんだけどやり過ぎな気がしなくもないのと、ちょっとペンションがデカ過ぎる印象はあるんですが、本当にちゃんと考えて考えた上に無駄を削って磨き上げられた作品だと思うんですよね『ホスト部』のアニメって。
 
16話 ハルヒと光の初デート大作戦(2007/02/16)…「竹」の上。
 8話『太陽と海とホスト部』、10話『藤岡家の日常』で原作の前後編の話を上手く1話にまとめたとは思うものの、カットされた部分については残念な気持ちがどうしても残るのとやはり詰め込み気味になって「間」がもうちょっと欲しくなる… ってのがあったんであまり期待をしないで観たんですが… CMまでの前半パートはもぅお見事。人物の動かし方が非常にスムーズでハルヒの勘違いで… ってエピソードがあってからメンバーが、ってのや前回の話での伏線がここで次第に活きてきて良かったんだけど、やはりこのエピソードの見せ場ったらどう考えても教会でのシーンの筈で、「なに? 庶民はやっぱ狭いトコが好きなワケ?」って照れ隠しも含んだ憎まれ口も、ヘッドホンをかけさせてからのあの台詞の「間」とかはやっぱり足りないかなぁ… とは思うものの、個人的にはこれまでの複数原作話の回の中では一番よくまとまっていたと思うのは光と馨に上手く絞って再構成したからではないかと。ただ、惜しいっか勿体無い、あとちょっとって思う気持ちもあるんですけど、ね。
 
17話 鏡夜の不本意な休日(2007/02/23)…「竹」
 お話的にストレートに鏡夜とハルヒとの対話部分をまとめた方がスッキリして良かったんじゃぁないのかなぁ… だって全員集合した後で、ってしたら凄く不自然な気がするんですけども。原作ではそうしてたし、「面白い解釈だ」って台詞を変える必要があったのかと。アニメでの鏡夜とのこれまでの立ち位置から変える必要があったのは解るんだけど今回の場合はちょっと微妙かなぁ… っと思ったりもして。
 まぁ通しで観終えた時にまた印象も変わるのやもしれませんし、
「あ、アントワネット!(笑)」
 ってのも笑えたし、原作での「指輪」んトコの不自然な点を巧く処理したトコとかアニメとして観れば決して悪くはないんですが、ただこれまでの出来と比べると再編の仕方がちょっと疑問に思えましたもんで。っもちっとヒネらずにストレートにやっても良かった回じゃないのかなぁ…
 
18話 チカ君のハニー打倒宣言(2007/03/02)…「竹」
 決して悪くはないしクオリティは高いと思うがコメディに寄り過ぎてしまったのがちょっと残念、か。ただこのシリーズ通しで言えば一休み、一息入れる頃合でそれに見合ったお話に仕立て直したってトコは凄いとは思うのですが… 確かに原作は前後編だけど2話使ってまでする話ではないんでその判断はいいんですが、大量破壊兵器云々といい、ちょっとアニメ版でのデティールの増え方がもひとつ。
 とは言え、ラストでいい話にしないでハニー先輩の笑顔で、ってやられたのにはもぅバカ負けしちゃいましたけど、ね(笑)。
 
19話 ロベリア女学院の逆襲(2007/03/09)…「竹」
 ドタバタのコメディとして面白い回で、それでいてヅカ部とホスト部が似てるトコを7話とダブらせる事で示してみたり、8話では他者に頑な面もあったハルヒがこの回では、ってトコも含めてシリーズを観る楽しみもあったしで、その構成の妙は本当に凄いなぁ… っと。それでいて原作より酷いハルヒの大根っぷりの描写だけでなくアニメとしてのメリハリも緩急もついているんですもんな…
 ただここで欲になっちゃうんですが、もぅ1つ、何か、どこかでグッとくる場面が欲しかった(笑)。冒頭のタコさん群舞を超えるモノがも1つあったらなぁ… って、いやもぅこれは贅沢なんですけども、ね。
 
20話 双子があけた扉(2007/03/16)…「竹」の上。
 アニメ版ホスト部のエピソードとしてよく出来た回だとは思うものの、お手伝いさんとのエピソードがもぅ少し、台詞が無くても馨のモノローグの背景ででも楽しげな風景のカット1つでもあったら良かったと思うんだが…
 いやしかし、月夜に曇った空が環とのシーンでやっと晴れるというのから太陽を象徴とした演出に繋げるトコといい、ホスト部は本当に細かい演出が美味い。あと馨役の藤田圭宣氏の演技の巧さを演出の的確さで更に繊細なものにしているのもねぇ… 1つのシーンのモノローグであっても微妙な感情や心境の変化や揺らぎが出ていて、結局、同じ声優であってもスタッフによってこうも違うものかと。
 馬車のカットや今回は最後にタイトルが出るのといい多分、次の回とのセットになるであろう事は予想出来るが、1つの回としてもよく出来ていた回ではないかと。
 
21話 いつかカボチャになる日まで(2007/03/23)…「松」。
 アニメ版ホスト部としてはもぅ完璧な出来なんではないかと。
オーソドックスな演出とトリッキー、ケレンに満ちた演出を上手く使い分けてさんざっぱら笑わせてくれたのに最後のシーンで巧みにシリーズとしての繋ぎと今回の話としてのオチになっていて凄いなぁ… っと感心しまくりでした。前話で出てきた馬車が上手く使われていたのもそうですがここまでのエピソードでの繋がりをそこかしこに織り込みつつ。原作は8巻のをベースに3巻等からも組み込んで、それでいてちゃんとホスト部全員が出てるトコも上手いなぁ… っと思うんですが。
 ですが。
原作好きの人からすればカットされた部分への不満もあるんでしょうがやはり馨君のトーンは凄く好みが分かれるとは思います。実際妻もまさにその点を残念がっておりましたが、もぅこれは仕方無い事ではないかと。私もアニメのセンチな感じもいいんですが原作のどこか軽さのある感じもいいと思うんですよ。でも、それはあくまで比較した上で甲乙付け難いというだけの事で、アニメの1エピソードとしても、シリーズという一本の大河で見ても素晴らしい出来の回ではないかなぁ… と。
 
22話 モリ先輩に弟子入り志願(2007/03/30)…「竹」の上。
 シンプルに笑えたんですけど、演出が相変わらず素晴らしかったんですけど、お話として無理が無いんですけど、特にハニー先輩の「化け猫。」ってのをあんなトーンでやりますか!(笑)と笑ったんですけど、まとまり過ぎている半面、もぅ少しあちこちが足りない、と思ってしまったもんで… あまりモリ先輩の活躍シーンやキメ場面が無かったり、カサノバ君の舎弟や動物との交流部分、ナドナド
「じゃぁどこ切ってどこに詰め込むのさ?」
 と言われると凄く大変なのはもぅ解るんですが、だけどまとまっているが故に喰い足りない部分ってのがどうしてもこの回の場合は気になって… ホント、カサノバ君の状況や心情を現す演出、特に音楽の使い方なんて最高なんですけどねぇ… まぁ前後編って事で、って部分もあるのも、原作が2話だったのをああまとめたのは本当に凄いとも思うんですけども、ね(←あぁ贅沢者)。
 
23話 環の無自覚な憂鬱(2007/04/06)…「松」
 20話から情況が進んでいたのがここで一段落ってトコになる決まり方がもぅお見事。14話と意図的にダブらせた部分だけでなく、木の上にてそれを見るハニー&モリ先輩の配置でのやりとりといい、シリーズとしてやってきた事の、通しで観てきた者にとっては嬉しいし楽しいし、相変わらず音響演出が素晴らしい! あぁ、もぅこれであと3話と思うと切なくなるが… しかし、最初っから全26話と決まっていたからこそ出来た作品とクオリティなんですよなぁ…
 
24話 そして鏡夜は出会った(2007/04/13)…「松」
 エピソード単体としても凄い密度、繊細でありつつもダイナミックな音響演出、そして鏡夜のクローゼット等の比喩といい素晴らしい回なのだが、ここまできた流れを一回ちゃんと整理した上で更に次回、次々回のオリジナル前後編に繋げる為の配置をこの位置でやったシリーズ構成の巧みさといい本当に素晴らしい。
 8時半、9時、11時という3回出る時計塔の比喩がちょっと私には想像がつかないのが残念ではあるが、それを除けば切ない話を愛情に満ちて描き切ったスタッフの素晴らしさにはもぅ感動モノでしたわ!
  
25話 ホスト部解散宣言(2007/04/20)…「松」
 まさに総決算、これまでのシリーズを最後を締める為の前編として実に隙の無い構成。基本は原作の桜蘭祭当日の、なんですがそれにさりげないゲストキャラの登場、アニメ版の主軸・核となっていた擬似家族の危機、っとアニメ版オリジナルの盛り込む要素が多いのに隙が無さ過ぎて嫌味なくらいなんだけど、そうならないのはここまでの完成度の高さがあればこそ。音響演出も相変わらず繊細で時に大胆な匙加減、按配でこれが後編でどう完結をするのか楽しみでもあり切なくもある回でありましたわ…
  
26話 これが俺たちの桜蘭祭(2007/04/27)…「竹」の上。
 ちょっとやろうとした事に対して尺が短かった… かな。それでも、それぞれが逃避として作り上げる自分達の為の居場所としてのホスト部、だからこその擬似家族だったのをそれぞれに改めて見つめ直す事によって家や親などではなく、自分達が楽しい、素敵だと思えるからこそ集うという立ち位置への変化をあえて第一話と演出をダブらせる事でより明確にしてみせたのはもぅお見事… 特にラストで第一話の冒頭で環が座っていた椅子にハルヒが座っているというのはもぅねぇ… このシリーズの最後を締めくくるアニメ版として最良の出来であったと思います。
 ただ、私は贅沢者なんで、この回での光&薫の見せ場がちょっと弱かったのや、あえて環の台詞を聞かせてしまった事等がもひとつ、原作が今も連載中である事など色々な事情があるのは解るんですがもうちょっと何とかして欲しかった。それは私の好みでありますけども、しかし… 最良ではなく最上のものが観たかったなぁ… この最終回で出した結果はいいんですが、その結果をよりよく魅せる方法はまだあったんじゃぁないかなぁ… って事でチト辛目で。
 
 
 
 とても楽しかった半年間でした。
何よりもアニメでの音響演出の素晴らしさや画面の隙について本当に目から鱗が落ちる半年間でありました。
 
「自分が思う理想の王子様なんかこの世にはいやしない。だから自分が王子様になる。たとえ少女だからこそ王子様になれないという世の中であっても、だからこそ誰かを救い、守る”王子様”になりたい。」
 とウテナが戦ったのはまさに90年代という時代でありました。自分の弱さや情けなさやみっともなさを堪えたり痩せ我慢する事を褒める必要は無いにしてもそれを嘲笑し、他人の迷惑を顧みずにただただぶち撒け居直る事を男の子がエヴァで覚え、言い訳にし、そういうものだと消費する様に溢れてしまった中… エヴァがロボットアニメとして良く出来たミクスチャーであったにも関わらず… 、あえてそう高らかにそう告げたウテナから10年の後、こういう作品と出会えた事は感慨深かったです。しかもコレ、とびっきりのコメディだったんだよ! 本当に、楽しかった!!