『Chai-Lai Dangerous Flowers (2006)』

DVDジャケット。

 
 超自然のパワーを秘めた”アンダマンの真珠”の在り処を知るミキを警護していた政府の秘密部隊Chai-Laiの5人だったが、悪の組織にミキが誘拐された! ミキと”アンダマンの真珠”を巡ってChai-Laiと悪の組織との戦いが始まる!
 
  …っというお話のタイ映画です。
06年新年に公開された娯楽作、タイでは有名な女優さんのアクションコメディ、webにある【公式サイト】を見るとナカナカに楽しそうな作品ですし、スタジオもmongkolfilmだから予算の点でも他の映画会社のものよりはかかっているだろうし… っと結構期待してオーダーした品だったんですが… まぁ結論から言うと「あきませんでした」。

  以前購入した『The Bullet Wives (2005)』が『マトリックス』『リベリオン』『Kill Bill Vol.1』が元ネタであるならば本作は『Charlie's Angels - Full Throttle (2003)』と『Kill Bill Vol.1』をネタ元としている事もストーリーの適当さもオッケーなんですが、個人的にお色気アクションなら
 A・バッチリ、ハッキリ、クッキリ、モロに、あっけらかんと見せる。
 B・思わず静止&スローで確認したくなるくらい見えていそうだけど実は見せてない。

 のどちらかに絞って考えないと結局中途半端なアクションにしかならん、って思ってるんで本作のようにDVDを静止させなくても普通にアンダーウェアがモロ見えや透け見えしまくりのは興醒めなんですよね。ハッキリとそういう情況である、というのならばまだ別の撮り方もあるのに、「バスタオルの下は裸」という情況の筈でそれをやっちゃぁアクションのネタ自体も中途半端なら撮り方も中途半端、結局やりたい事よりこの撮影の時間でやれる事って都合を優先させているだけに過ぎないのではないかと。
 女の子達はヘナチョコなんだけどヘナチョコなりに頑張って、一生懸命やっているんだからそれをもっとセクシーに魅せるか綺麗に見せるかは監督の手腕の筈なのに…

「女性に格闘、アクションをやらせる」って事に生きがいと言うか煩悩を持ってる人ならこうはならないんじゃぁないんでしょうかのぅ… なんのかんのと言って『Charlie's Angels - Full Throttle (2003)』って無茶苦茶なんだけども監督の煩悩っか妄想が最後まで徹底してるから楽しかったし、『The Bullet Wives (2005)』は本当に下手糞でどうしようも無いんですけどでも女性がガン=カタでの銃撃戦や格闘をするという事への情熱っか愛情がありましたし、『The Tiger Blade (2005)』でもちゃんと女性ならではの格闘シーンに仕立てていたし、タイ映画じゃないけど『Dhoom (2004)』とか、自分達が好きなモノや映画を自分達なりにやってみた作品と比べるに、大の男をぶちのめすのが肘と膝とミドルってムエタイなのはいいにしても画面にスピードが無いから爽快感が無いし、寄らないから迫力も無い。振りっか殺陣が男と一緒だから余計に説得力も無いし、乱戦になると埋没しちゃうんですよな。
 あと、アクションとコメディを1つの場面で分離させているのもどうかと。
冒頭の飛行機内での乱戦がいい例なんですが、手をフォークでブッサリ!血ドバーッ!ってやった後で「頭を掴もうと思ったら禿げで掴めない」ってネタをやり、その後でガラス瓶でブン殴って血まみれ、とか、御国柄なのかもしれませんがネタの入れ方がどうにもなぁ… 全体に野暮ったい上に血まみれとギャグが1つの場所での戦いに混ぜられたまま、ってのは私にはあきませんでしたなぁ…
 
 …と思ってしまった時、それまでのシーンで女の子達が誰も可愛く撮れていなかった事に気がついちゃったらもぅなんか駄目、あきませんわ。オシャレかどうかもまた御国柄ですけど可愛く撮れないでどうするの? っと。本編より特典のBehind The Scenesの方がよっぽど可愛いらしく撮れてるのには愕然としましたよ。タイでの美人の「型」なのかもしれませんがそれと同じ型のMusic Videoの方が洒落ていて可愛いってのも、ねぇ…
 
 Chai-Laiの長官役に『Ong-Bak (2003)』『Tom-Yum-Goon (2005)』のコメディパートを担当したペットターイ・ウォンカムラオが、ってのをはじめ、多分ミキは『Born To Fight (2004)』で村のムエタイ少女を演じた子でしょうし、『7 Street Fighters (2005)』で日本軍将校を演じた俳優さん、とか観ていて知った顔に再会するのは楽しかったんですよ。
 でも、
予算も手間もかかってはいるけど、結局監督らがやりたいっか好きではない事を御仕事としてこなしているだけって印象しかしなかったんですよね、この映画って。『The Bullet Wives』の連中の方がまだ好き好んで彼らなりのクールな映画を作ろうとしてた痕跡も結果も出てるのに比べると途中に挿入されるダンスシーン、Chai-Laoのファッション、そしてキャラの個性の無さ(折角5人の中に独りだけ怪力の女性がいるのに銃撃戦をやらせてるのはどうかと、とかね… 全員、似たようなスキルで得意分野が無い、とかね… )、とか、一目でお金も手間もかかっていて見栄えはする画面は解るんですが、そこに映画作りの情熱の無い作品ってのも解ってしまうんですよ。まして車やバイクに限らず、アクションへの思い入れも画面から全然感じられないんじゃぁどうしろと。そんな現場だから出演者の熱意っか態度もバラけてるのが観て解ってしまいますしねぇ… って作品、なんか観ていて寂しいですな… 頑張てった人達には何かいい事が、いいチャンスが得れるといいんですけど、ね…
 
 …って事で、
以下はこのDVDについての情報なので興味のある方だけ…
 

 
・『Chai-Lai Dangerous Flowers (2006)』 (PAL) - Region 3
 
Studio: mongkolfilm
Theatrical Release : 26 January 2006
Run Time: 97 min
 
Aspect Ratio: Anamophic Widescreen 1:85:1
 
Available Audio Tracks: Thai
(Dolby Digital 5.1 Surround)
 
Special Featuers:
・Filmmaker's Commentary
・Promotion Materials (3)
 ・Poster (9)
 ・Teaser & Trailer (3)
 ・TV. Spots ( :48)
・Behind The Scenes (14:40)
・Music Video (2)
・Deleted Scenes (14:40)
・Wallpaper (6)

 

 
 画質は並の上、ってトコロでしょうか。
綺麗は綺麗なんですが、場面によってカメラが違うのか画像処理の都合か知りませんが妙にザラついたりボンヤリしたりシャープになったりしますガ特別気になる程度って程のものとは思いませんでしたし発色も綺麗な方だと思うのでまぁ並の上、でいいんじゃぁないかと。
 
 音質も並の上、かな…
アフレコ部分の処理がイマイチな気はしますが、これは好みでしょうし、特にノイズも無いんだったらまぁこれでいいんじゃぁないんでしょうかと。
 
 特典は見たまんまで特筆すべきものはございませんし、何せ本編がアレですからわざわざタイからこのDVDを購入するくらいならばレンタルでVシネの似たような作品か、それこそ『Charlie's Angels - Full Throttle』ナドを観た方がずっと楽しいんじゃぁないんでしょうか。
 【公式サイト】の予告編とか、面白そうな作品だったんですけど、ねぇ… ふぅ。