『Dhoom (2004)』

 
 都市部に現れるバイクの盗賊団、巧妙な計画と鮮やかな手際、そしていざとなれば300kmオーバーの速度を出せる外国製のバイクに警察も打つ手が無かった。警視Jai(Abhishek Bachchan)は部下にバイク乗りを重点的に調べさせていたが、そこで浮かんで来たのがストリートレーサーでもありバイク屋のオーナーでもあるAli(Uday Chopra)。バイクの腕もあり改造もこなし、そして警察蔑視ってのもあったのでとりあえず逮捕をするものの、その取り調べの最中にも盗賊団は出没。Aliはメンバーではなかった事が解るとJaiはAliに過去のナンバープレート偽造等の違法行為を不問にするかわりにバイク盗賊団の捜査に協力させる事にする。
 
 盗賊団を指揮するのはKabir(John Abraham)。無駄な流血や衝突を避け、スマートに獲物を奪う事こそ大事だとする彼らは普段はピザショップのアルバイトとして身を隠し、且つ日々街の道路の状態を調査していた。
 
 JaiとKabir、警視と盗賊団、追う者と追われる者という対極の位置にありながらも、互いの仕事のやり方に通じるものを感じながらも対決に向かう…

 
 2004年度インド国内での年間興行成績第4位、というアクション映画でございます。観る前はバイクがアクションのメインって事で『トルク(Torque (2004))』と盗賊団との対決って事で近年の作品では『TAXi(TAXI (1997))』ってののミックスかと思っていたんですが、それはお話的にはさして間違ってないものの映像的にはチェイスシーンでユーロビートをかけるのはアニメ版『頭文字D』を、そしてアクションやショット、カット等は『マッハ!!!!!!!!(Ong-Bak (2003))』を彷彿させる娯楽アクション映画でございました。
 っか、一番影響を受けたのは多分『マッハ!!!!!!!!(Ong-Bak (2003))』でしょうな… スラムから悪人に追われつつ逃走するシーンとか、クライマックスのトレーラーでの殴り合い、って解り易い部分だけでなくデジタルズームとかの演出部分とか、観ていてピンときたですよ。これがあながち的外れに思えないのはエンディング兼メインテーマ曲の「DHOOM DHOOM」を歌ってるのがTata Young(日本ではタタ・ヤンが一般的?)ってタイのポップシンガーだから、ってのは根拠薄いっすかね?
 とは言え、Kabirが操るのはスズキの隼だったり、恋愛や家族とのゴタゴタも特に無く、田舎も広大な風景のショットも無く、ミュージカルシーンすらさしてお話的に必要の無い仕上がりといい、英語での台詞が結構多かったり、っと若手の製作者が自分達がカッコイイ!ってシビれた映画のシーンや要素を目一杯詰め込んで煮込んで作ったかのような本作は本編123分ってのも込みでインド映画らしくない映画ですんでかなり気楽に観れるんじゃぁないんでしょうかコレ。
 
 この映画がインドで全地域・全年齢的に受けたとはとても思えません。役者は皆巧いこたぁ巧いけれども生活感の乏しい絵空事のお話ですし、快活でファッショナブルではあっても所謂ハッピーエンドでも無い点も込みで年間興行成績4位というのはあくまでも若者らの支持あってのもの、ではないかとで思うのですよ。
 でも、今のインドの若者らがカッコイイと思えるモノだけを集めて、あえて家族とかが無い、あくまで絵空事・お話として楽しめるように作ったこの映画って伝統的インド映画好きの人には物足りない、薄っぺらなハリウッドの真似事にしか感じないんでしょうけど、そういう昔からよくある恋愛や家族の映画にはインドの若者だって飽きてるんじゃぁないんでしょうかね… とか小難しい事は置いておいて、エンターテイメント好きの私にはその姿勢と出来にもぅカラッと面白い作品でしたよ。
 
 そりゃまぁ予算的にはハリウッドには敵わないし、アクション… 特に格闘なんかだとタイにゃぁ敵わない、けど、無理に同じレベルにしようとしないで、それでいて安易にパクったりするだけにしないで今、自分達が出来る事をちゃんと考えて実現させていく事で素敵な娯楽作品になったと思うんですよ。そして、インド映画というフォーマットっか御約束にあまり拘らなかったからこそ、娯楽作品好きの特にアクション映画好きだったらもぅ様々なチェイスあり、銃撃もあり、泥臭くも湿っぽくもなく、ガンガンと劇中のバイクよろしくテンポ良く展開するこの映画はどこの国の人でも楽しめる受けの広い作品になってるんじゃぁないのかなぁ… っと思うんですけどね…
 
 
 
 って事で以下はこのDVDについての情報なので興味のある方だけ

 
・『Dhoom (2004)』 - ALL Regions
 
 Studio: MARIA DVD
 DVD Release Date: 2004 August
 Run Time: 123 minutes
 
 Aspect Ratio: 16 x 9 Anamorphic (2.35:1 Aspect Ratio)
 Available Subtitles: English
 Available Audio Tracks:
 Hindi (Dolby Digital 5.1 Surround)
 
 DVD Features:
 ・Alternate End ( :59)
 ・DHOOM DHOOM (O.S.T Video) Tata Young (3:27)
 ・DHOOM THE MAKING (23:12)
 ・THATRICAL TRAILOR (1:21)
 ・T.V PROMOS (2:50)
 ・FORTHCOMING ATRACTION (2:31)

 

 
 え〜実はコレ、Amazon.comのMarketPlaceにてオーダーしたんですが、当然発送がアメリカからってなってるんでYash Raj Filmsオフィシャルのブツが来るかと思っていたんですが、何とバングラディッシュから届きました(涙)。ダッカからですってよ奥さん。MarketPlaceにはVA in USってあったのにBngladeshからなんて思いもよらなかったですし、NEWの筈なのにシーリングとか無いわ、再生すりゃぁコピーや複製頒布等に対する警告文表示も無いブツだわ… 一応Yash Raj Film社のロゴは出るけれどさぁ… ってブツでした。これがバングラディッシュでの正規版かバングラディッシュ製の海賊版だかは判別出来ない版でのものなのでYash Raj Filmsオフィシャル版購入をご検討なされている方はご参考程度に思って下さい。
 
 画質・音質は良好ではないかと思います。
先日記事にした『Banty aur Babli』に比べると気持ち落ちるような気もしなくもないのですが、これはUS版オリジナルよりも日本版が汚いのと同じようなものかもしれませんしね。あえて言えば登場人物ナド、他の映画で観ている時の事を思うとアスペクト比が微妙におかしいような気もしなくもないんですが、これもマスターの問題かもしれませんし… って事で特にノイズも見当たらないし普通に綺麗な部類に入るんじゃぁないかと。
 
 特典はYash Raj Filmsオフィシャル版と同じようです。
「FORTHCOMING ATRACTION」ってしてあるのが結局『VEER-ZAARA』予告編一本だけなのも、何故か前口上がRani Mukerjiなのかよく解らないのを除けば後は字面どおりのものばかりで過不足感は無いかと思います。っか、これだけコンパクトってよりタイトにソリッドにチューンした映画の場合はあんまり特典が多くても興醒めかな… ってな気もしましたな。
 
 あぁしかし、
 やっぱりYash Raj Filmsオフィシャル版の方が綺麗なんだろうなぁ多分…
でも、オフィシャルでは何故かこの『Dhoom』もアメリカ以外には発送してくれねぇんだよなぁ…