『Aankhen (2002)』

 
 長年銀行に勤めるVijay(Amitabh Bachchan)は優秀な人ではあったが、真面目で仕事に対する姿勢には特に厳しいが故に時としてトラブルを起こす人物として経営陣の間でも彼に対する評価は真っ二つに分かれていたそんなある日、新規店舗への本店移転計画も迫っている事もあって気が立っていたVijayは両替に来た老人からネコババをしようとした行員を見つけ激昂、血達磨になるまで殴り蹴りつけた事でVijayをよく思っていなかった経営陣のトップにクビを言い渡されてしまう。
「確かに自分もやり過ぎたとは思うものの、それもこれも銀行を思えばこそ。長年、まるで息子を育てる父の様に銀行を見守り繁栄に尽くしてきたというのに… それを最近の経営陣の中には軽んじている。あいつらを何とかして見返してやりたい… 」
 と復讐心に燃えるVijayは自らの手による銀行襲撃を思いつくが、何度シミュレートしてみても長年自身が警備の指揮・システム構築にも関わってきた為に結果は単独での成功は有り得ないというものに。と言って誰かを雇うというのも発覚のリスクに繋がるし、自身にそのツテも無い…
 
 しかし、復讐を諦めきれないVijayは街を歩いている時、たまたま通りかかった盲人の養護学校での組み体操の練習を見て閃く。
「盲人は眼が見えない事で聴覚等普通の人間よりも優れている。しかも誰も盲人が銀行強盗だとは思わない。おまけに彼らは眼が見えないから私の顔を知られる事も無い… 確かに実現の為のハードルは高い。しかし… 」
 
 かくしてVijayは養護施設の訓練を担当していたNeha(Sushmita Sen)の唯一の家族の弟を誘拐し、自ら選抜した3人の盲人、Vishwas(Akshay Kumar)、Arjun(Arjun Rampal)、Ilias(Paresh Rawal)を訓練させる事にする。
 年齢も、生まれ育った環境も、眼が見えなくなった理由も、そして参加する事にした動機も違う3人だったが訓練を経る事で実績と友情を育んでゆき…

 
 2002年度年間興行成績第4位、というヒット映画。
題名の「Aankhen」、字幕では「the eyes」となってますがヒンディ語で「盲点」って意味らしいのですが、「物を見る眼」としてもナカナカに意味深なタイトルになるなぁ… っと結構楽しめた映画でございました。
 自らに目標達成の為に面倒な設定、ハードルを立て、それを「game」として楽しむという酔狂さと一つの事に集中するあまりに激昂したり冷血にもなるサイコげなVijayを演じたAmitabh Bachchan、インドでは有名な俳優な方のようなんですがそんな事よりも兎に角背が高く(190cm以上?)体型も芝居も厚みがあって、彼がドンといるだけで威圧感と緊張感が出ていていい感じ。
 3人の盲人役それぞれの演技がなかなかに巧くてちゃんと盲人に見えるのも映像としてのリアリティがあって良かったですぞな。ホラ、よくあるでしょ? 盲人役なのに音や動きに眼や顔が動いてるのって。実際には音に対して耳の向きを調整する為に首を動かす事はあっても眼や顔を動かすってのはあんまり無いんですけど… あと聴覚での距離感はあっても視覚での物に対しての距離感が無い、とか、細かい事なんですがこういうトコロでサボったりいい加減になってると途端にお話が嘘臭くなるし嫌なもんになっちゃうじゃぁないですか。でも、この映画はそうはならんのですよ… まぁ確かに訓練の1つには
「コレ、高さは別物っかここまでの高さは必要じゃぁないだろ… 」
 ってのはありますが、そこまでのみっちり描く訓練シーンでそんなに違和感を感じないようになっている、ってのも込みで脚本と演出で見せてくれるタイプの映画なんですよな…
 
 そりゃまぁ実際に襲撃する銀行と全く同じ寸法と配置になってる訓練施設を作る金と時間があるんだったら
「その金で大人数を雇って襲わせた方がよっぽど楽で確実なんじゃぁ… 」
 って思わないでもないんですが、Vijayとしては流血等も無く最小限で最大の効果を与える「game」として燃えてしまってる、ってのに説得力をそれなりに持たせられた時点でもぅ後は展開に身を任せてハラハラドキドキすればいいって娯楽作品に仕上がっていて、デティールでの嘘を極力嘘っぽい作品に見せないようにしてしまった… それも決して大掛かりな方法ではなく… って点で無理が無いワリに小さく纏まりもせず、ゆったりと準備を重ねる前半からの二転三転していってのラストは個人的には楽しめましたよ。
 
 ただ…
インド映画と言えばミュージカルシーンも重要なんですが、本作のは入り方が唐突&終わってからの繋ぎも雑&曲としてイマイチ&映画としてあまり意味も必然性も無い&華にも欠ける
「これなら別にいらねぇや… 」
 って出来なのが残念でありました。なんか無理からインド映画では御約束だから入れました、って感じで心情描写や情況描写になりきってないんじゃぁなぁ…
 あと、美術とかがもうちょっと… って点で先日紹介した『Bunty aur Bubli (2005)』程褒める気にはなれませんが… インド映画っ〜と家族と恋愛のお話で男はクルタで女性はサリーばかり、って印象があるかもしれませんし実際少なくないようですが、まぁ日本だって公開される映画の殆どは恋愛映画ですからそない違うものでもなく、本作のように恋愛の要素ゼロ、知ってないと理解出来ないインドならではの風習や作法も特に無し、って犯罪映画もある程度のクオリティーでの製作が成されていて、少なくとも観てる間は楽しめた作品… そうですなぁ… 丁度中くらいの厚さのノベスル一冊を読み終えたかのような満足感を得られた作品… ってのと出会えたってのも込みで面白かったですよ〜 っと。
 
 
 
 って事で、
以下はこのDVDについての情報なんで興味と御時間のある方だけ
 

 
・『Aankhen (2002)』 - ALL Regions
 
 Studio: VIDEO SOUND
 Theatrical Release Date:
 DVD Release Date:
 Run Time: 167 minutes (165 min?)
 
 Aspect Ratio: Widescreen
 Available Subtitles: English
 Available Audio Tracks:
 Hindi (Dolby Digital 5.1)
 
 DVD Features: Song select

 

 
 え〜… このVIDEO SOUND版以外に『Aankhen (2002)』のDVDがあるのかどうかは知りませんが、私がAmazon.comのMarketPlaceで入手したブツ、正規品か海賊版かどうかの判断がついておりません。実はジャケに

 
A CONSUMER ALERT!
Do not be chreated! Counterfeit DVDs and CDs
being sold as originals!!!
 

 とあってディスク1が本編、ディスク2がオーディオCDのサンウンドトラック、そしてディスク3がBest of Khansってなっているのですが来た物は本編のみ、なんですがバラ売りしただけの事かもしれませんし… なんいせ一緒にオーダーした『Banty aur Bubli』はオフィシャル正規版でしたし… って事で一応、VIDEO SOUND正規版だとして話を進めますと、
 
 画質はイマイチです。
色褪せ気味、ノイズの多さは『Hadh Kardi Apne (2000)』『Jeans (1998)』程度なんですがそれよりも全体的に画像がボケ気味。加えてかなりの頻繁で画面端に出現するデコードかエンコードミスのようなノイズやブロックノイズといい、あまり出来がいいものとも思えません。
 音質もイマイチ。
画質に比べれば随分とマシで酷いノイズはありませんがややシャープさに欠けますな…
 字幕は… こんなものかなぁ? って事で。
それ程読むのに苦労はしなかったものの、やはり英語が解る人にはかえって混乱しそうな表現が多かったように思えますが、本作の場合は英語での台詞の場面もチラホラと、結構ポイントな場面ででもあったので機械翻訳でもそんなには困らなかったかなぁ… って思ったもんで。
 
 DVDソフトとしてはチャプター画面が無いのが辛い!
一応チャプターは切ってあるんでマシですが、しかし長いんですからせめてチャプター画面くらいは欲しかったですわ。
 
 … って事でソフトとしてはあんまりオススメ出来るようなシロモノではございませんが、レンタル出来る環境で一気に観れる時間的余裕があるのならばチョイスするのも悪くないかと思いますよ〜 って、そんな環境の人が、この記事を読める人の中で一体どれだけいるのかよぉ解りませんが、んな事は知ったこっちゃぁござんせん。もし購入等を検討していてネットの検索で辿り着いた方のお役に立てれば、何がしかの参考になれば、それだけで充分でございます、ハイ。