運命。

 
 Amazon.comで購入した『The Best Arbuckle/Keaton Collection』って
ソフトのレビューにとも思ったんだけど、使い辛いのでコチラで使用。
 
 もしRoscoe 'Fatty' Arbuckleが1921年バージニア・ラップ嬢への強姦
殺人疑惑という冤罪をかけられなかったら、その後の喜劇界はどうなってい
たのだろう… っと、バスター・キートンの、おそらく現存するフィルムの中
で初出演作である『The Butcher Boy (1917)』を観ながら思ってしまう。
 アールバックによって才能を認められたキートン、この映画でも実に軽や
かに画面を動く様は後の監督・脚本・主演作を彷彿とさせるのだが、あくまで
もこの作品での監督・脚本・主演はアールバック氏である為、彼が出来る事
の何割かで済ませているような印象がありましてな。
 実は出演2作目の『The Rough House (1917)』の時点でアールバックとの
共同監督をしているキートンだが次に監督をするのは3年後、出演作第15
作目の『One Week (文化生活一週間 (1920))』までの間、色々と学んでいた
とは思うものの、もしあの事件が無ければ… 意外と、チャップリンやロイド
の歴史位置もだいぶ変わっていたんじゃぁないのかな、っと思うんですよね。
 
 んで。
 
 歴史という点で言えば、二の線なのに… ってギャップで笑わせたロイド、
不条理&シュールな世界の中でのドタバタに撤したキートン、そして物語志向
チャップリン、っと三大喜劇王と呼ばれる人達はそれぞれの持ち味に分かれ
ていった点からすれば身軽で器用なデブとしてのアルバートが一体どういう
境地なり作品なりを遺していけたか? ってのは微妙だとは思うし、三大喜劇
王と呼ばれた人でさえ、サイレントからトーキーへの移行で… ってのがある
事を思えば、夢想にしても綺麗なものになるとは思えない。
 が、それを差し置いても、
「勿体無いよなぁ…」
 って思うくらいに、軽やかに、汗臭くも辛気臭くもないドタバタを演じてる
アールバック氏が楽しかったんですよね…
 

・資料URL
『マジソンズ博覧会』内、【悲惨な世界】
「でぶ君の転落 - ロスコー・アールバック強姦殺人事件」