表現。

 
 友人よりDDTのビデオを貰って、
「あぁインディでは、特に東京では人気の団体なんだよなぁ… 」
 っと思いつつ再生してみて、冒頭のスキットに頭きて一瞬寄越した友人
に怒りの電話をしようかと思ったくらいに素人臭いわ貧乏臭いわ馴れ合い
ムードぷんぷんで… って気分をとりあえず落ち着かせてから試合中心に
観てみる事にしたんだけど… 私には駄目だわ、こういうのって。
 
「あぁ、小劇団だよねコレ。悪い意味での。」
 っと妻も言っていたが、会場で観る分にはまぁ楽しめるものかとは思う
けど、このビデオでの後楽園ホールよりももうちょっと小さい会場でなら
… っと、言いたくなるくらいに間合いや1つ1つのムーブ自体が小さい
し、全体的に華に欠ける上に精度もいまひとつ、とあっては楽しめないん
ですよ私には。
 勿論、精度は時として相手との信頼感が見え過ぎるものになるから一概
には言えないんだけど、フォームのへしゃげたドロップキックや最前列の
客にしか解らないような表情とかはレスラー個人の考えるべき事で、それ
すらもいい加減っか甘いんじゃぁなぁ…
 
 あと、観客に手拍子とか求めるのも「お約束」なんだろうけど、うざい
っかみっともないとしか思えないし。
 
 確かに日本的な泥臭さって言うのかな… 大衆演劇っか、そういう味を
否定はしないんだけど私は好きじゃぁない。「場」で表現を変えていって
の結果ならまだしも、どうもそうは観れないんだよな… っと特に思った
のがTAKAみちのくディック東郷が物凄く巧く見えてしまう点で。
 いや、二人とも巧いレスラーだと思っていますが、その私が「物凄く」
巧く見えるって時点でそりゃ駄目でしょ? って事。
 
 観客論はある分だけ、新日本の若手とかよりは随分マシだと思うんです
けどショウって観客論だけで成立するもんじゃぁないでしょう? 確かに
プロレスというショウは、1つの芝居を準備し、1ヶ月なりの期間上演し
続けるものではないから仕方ない、ってのは解っているんだけど、DDT
全般で言えるのは
「何が出来る? ってトコから出発してるから帰結、帰納する地点が低い」
 としか見えないんですよね…
「今日は何をしてやろう?」
 ってのには見えなかったんですよな。
 
 ストーリーありきのように言われるWWEだが実は凄くシビアでライブ
だからその場で時間に合わせなくてはならないし、観客の反応によっては
ブック通りでも表現は変える必要だってあるし。それが出来た上に、更に
カリスマを要求される事を思うと、どうもなぁ… ノレませんな… っと。
 
 ただ、選手のオナニーに付き合わされるだけではない、とは言えますし
体のシェイプさ加減とか選手のやる気など、好感を持てる部分は少なくな
いんですけど、それはそれ。「お約束」だって度を過ぎれば閉塞したもの
にしか見えないし、精度が甘いのは私にはマイナスにしかならんし、それ
を越えてまで
「これは生で、現地で観たい!」
 っと思うような観客の熱気も無い団体じゃぁなぁ… っと。
っか、こんなビデオで会場に行きたくなる人っているんだろうか? まだ、
舞台の豪奢さの分だけハッスルが、精度やソフトへの意識って点でドラゴ
ンゲートが、日本人向けのパッケージとしてノアや全日本が、ってならん
のかね? あえてDDT! ってなるのか、コレで? 映像ソフト的には
決して稚拙ではないと思うんだが、その分見えるものがなぁ… っとな。
 
 本人達がそれで満足してるんだろうから別にどうでもいいんだけどでも、
表現者として上を目指しているとは見えない、閉塞したライブなんて観る
気にはなれねぇなぁ私は… パクリ、リバイバル、パロディをやるのに必
要なセンスもアイディアもあるとは思うが肝心の演者がアレでは、ねぇ…