『カンフーハッスル』雑感。

 
 楽しく、そんなにダレ場も無く、観れたしラスト付近でのエピソードは
「そんなに照れ臭いんだったらやらんときゃいいだろ!(笑)」
 っと、まぁ観終えて悪い気分には全然ならなかった、楽し陽気な作品である
のは間違い無いんですが、じゃぁコレをDVDで買う? ったらまた別の話。
周星馳が基本的に真面目で、内向的げな照れ屋さんで、ってのはどの作品にも
言える事ではあってこの作品ならでは、ってのでないし。こと『カンフーハッ
スル』は彼の中の、かつて彼が親しみ、憧れたカンフー映画に対して真っ当で
ある分、結局技をギャグ的に表現するしかなかったのは彼なりの良心だとして
も、ちょっとトータルとしての出来は辛いなぁ… っと。
 自分が救世主とならずにいた方がこの作品の出来はもうちょと良くなったと
思うし、もしそうしたくなかったのならOPの鰐皮会のエピソードとアイスクリ
ーム屋は全部カットして修行シーンなりにしていた方が良かったんじゃぁない
かなぁ… っと。そりゃまぁ達人はクンフー功夫=鍛錬)しない映画もある
が、そうでなければもちっとラストに説得力あるエピソードを入れる、とか。
 
 だって、どう見ても彼が、あの発動するエピソード前に出てきた達人達より
も強いとは、武術的にも見えないし、映画的にも観れないんですが…
 
 訓練はしたろうし、体は作ったのは解るんだけど、キアヌとかのカンフーと
一緒で、結局腰が動くから上体全体もブレて動作の1つ1つが流れないで止め
になっちゃうんだけど、その止めのポーズや型が上体だけでの表現になってる
から、とても次の動作や相手に対応出来る、繋がるような点ではなくまさしく
「止め」にしかなってないんよね。加えて中国武術も基本的に一対一での状況
を想定してはいない、一対多数を想定してのものの筈なんだけど、如来神拳?
だっけ? あの動きは一対一でも対多数でもない、っか武術には見えないんで
すよ… 蹴りにしろ手技にしても、打つ事は戻す事とイコールであるんだけど
それが打つだけで止まるからスピードやフォームがやっぱりおかしくなるとか
理に適わないし合理的でもない、無駄が多いんですよ。
 役柄的にもイカした火雲邪神のブルース・リャンとの短い絡みだけでも武術
が体にある彼とトレーニング、エクセサイズとしてのクンフー周星馳とは動
きの質もフォームもスピードも違うのがよく解りましたしのぅ…
「いや、あれは違う武術同士だし」
 っての以前で、それを越える説得力がストーリーで出せなかった時点でCG
の効果もあまり意味が無いよなぁ… って厳しいですかね。
 勿論、彼の嗜好、ベクトルを理解しきっているワケではありませんが、本編
のエピソードの配置や特殊効果の分量のバランスの悪さやらもあって、
「ちょっと惜しい作品だったな… 面白かったんだけど」
 ってトコでしょうかね。
 
  って事で、観終えた後でジェット・リーじゃなくてリー・リン・チェイの
少林寺』とか『ワンス・アポンナ・タイム・イン・チャイナ』シリーズとか、
ブルース・リーとかジャッキー・チェンとかの格闘シーンだけを個人的に集め
編集したビデオとか観直して夫婦友に燃え燃え。草冠じゃないよ。火よ、火。