我が身について、思う。とりとめもなく、オチもなく。

 
先日、リニューアルオープンとなった近所のイオンモール大垣にて。冷やかしに行ってみたらば新規出店した服屋の何店かに妻が興味を持ったので私はとりあえずフードコートで待つ事にしたんだけども、流石にただ席を占有するのもアレなのでこれまた新規出店したフードコートで何がしかの軽食を買ってさて座ろうとしたのだが時間帯が悪く微妙ぅに混んでいる状態で。食器にトレイの返却をするからあんまり離れた場所もなぁ… と見ると、丁度近くに空席を見つける。よく見れば端に老夫婦がいたが6席分空いている状態だったので
「この端、宜しいですか?」
 と尋ねたらば爺はフンと鼻を鳴らして手を三度叩いた後、蝿を追うように私に向かって手を払った。一瞬、あまりの無礼さに意識が真っ白となった後で、手にしている熱々の物をその顔面に叩きつけたくなったけれども何時妻が現れるやも知れないのを思って
「躾のなってねぇ爺だなぁ… それが人に対する態度か」
 と面と向かって意ってみたらば鼻白んでみせたがそれだけだったので我慢して遠くの、遠くの空きの場所まで行く事にした。もし何か言い返してきたのならば… と期待はしたのだが、まぁ得てしてそういう輩はそんな事はとても出来る筈も無く。ただまぁ、やっとこさ座って食べたそれは不味いとしか言い様の無い代物だっただけに余計に気分は悪くなったのには理不尽さというか、ツイてないなぁ… でもまぁ、妻まで不愉快にならないだけ良かったのかなぁ… とか、ボンヤリと考えてしまって。
 
障害者である我が身について、毎日毎日毎日毎日、キモイだのバケモノだのオバケだのなんだの、聞こえよがしはデフォだし指指して嘲笑されるってのもほぼ日常の中にあって今更悲しいとか切ないという気持ちも湧かないけれども、別にそれが当たり前の事であっても悔しいとか腹が立つとか殺意に似た害意悪意を持たないという訳でもなく。ただまぁ、その思考というか想像力のあまりの薄さ… 今の五体満足な自分なままでいつまでもいられる… には意地の悪い気持ちは抱くけれども。
 
例えば私は将来、自分が衰えた時の事を見越して普段から横断歩道の信号は、距離とか時間とか車の量とか関係無く必ず守るようにしている。何事も時間の余裕を持つようにしているから、わざわざ信号無視しなきゃぁならないのは避けたい、ってのもあるんだけども、いつだったか小学生の集団がわらわらと信号無視をしての横断をした後で、残って待ってる連中に向かって
「待ってるとそこのオバケみたいになるんだぞ!」
 と喚かれた時には、さてどうしたものかと怒るより前に困ってしまった。似たような事は子供連れの母親だかにも言われた事があるんだけども、別にルールなり法律を遵守しろとは思ってない。破りたければ自己責任で破ればいい。私は、私の理由で結果的に遵守しているだけの話でしかない。が、そのルールを守る事に対して、ペナルティとして私が引き合いにされた場合、どうすりゃぁいいのかと。確かに私の障害は子供の頃に親に隠れてやった花火遊びが元での火傷でそれ自体についてはペナルティだよ、私に限って。でもそれはこの場では何の関係も無い。逆の場合の、電車やバスなどの公共の場で、手前ぇが躾がなってないからって手軽に
「いい子にしてないとあんな風になるよ!」
 ってやる馬鹿親は問答無用で吊せるんだが、そうではない時に、障害者である己の身について考えてしまう。まぁ障害者として手帳も持ってるんですが、顔や手等、外から見える部分がケロイドの丸焼けになってる以外は身長182センチ、体重85キロ前後で介助不要、自給自足のスタンドアローンだから余計に異形っか健常者ではない様が目立つし、車椅子なりといった解り易い蔑みや上から目線ポイントも無いからこそ、ってのもあるんだけども。ま、大抵は私の方が上から見下ろしてる事になってるし、この体格のお陰で理不尽とか憤りとか憎しみとかを罵詈雑言なりと暴力なりで叩き付け踏み躙ってやる事が出来たからこそ狂う事もなく自ら命を絶つ事も無く生きてこられたし、世の中の全ての人間が想像力の乏しい、貧しい人間ばかりではないからこそ妻や友や師がいるわけで… っても、自らの身を誇る気には、立場が如何にあろうと、情況がどうであろうがなれないし、やらない。それこそ、「健全な精神は健全な肉体に宿れかし」であって。障害者という社会的身分で職を得ているからといって仕事まで恵んでもらうのではないのと同じように、職業としての障害ではない以上、私の執るべき道なりはある筈なんじゃぁないかとは思うのだが… とか。まぁ、答えなんか出ないが、他人はどうであれ、少なくとも私は相手を限定しない不特定多数のオープンの場で自ら進み出て逆差別ネタをするのは今の私がする事ではない、とは言い切れるけれども。
 
 んで、今日。
 
会社の用事で書類を持っての社外周りの途中の事。多分、小学校3,4年生くらいの制服姿で頭には黄色の学校帽を被った女の子二人がなんだかオロオロとしている。午前10時半のオフィス街で、同年代の子や同じような制服の子は周辺っか見渡せる限りいない。さて、どうしたんだろうねぇ… と思っていると、通りがかりのオバサンに女の子は駆け寄って
「○○公園ってどっちにいったらいいんですか?」
 と尋ねて。明らかに迷惑げなオバサンはサッと周囲を見て、ほんの少し離れた場所でこの様子を見ていた私に気がつくとニヤァと笑って
「ワタシはよぉワカランから、あの人に聞いてみようね!」
 と寄ってきやがんの。まぁ、私も地元ではないが会社を中心にして半径数キロ程度の地理なら解るし、○○公園の場所も知っている。しかし、押し付けて逃げる気マンマンのニヤケ顔のオバサンはまぁいい。明らかに
「えぇ、あんな人に聞くの?」
 とも、
「うわ、なんか怖い」
 ともとれる、要は期待とか助けがとかってのが無い顔をしてる二人の女の子に対して自分は何処まで、どう接すればいいのかと思ってしまう。会社の同僚のM君みたいなナイスガイ、なんて言わない。部長とか課長でもいいが、普通の外見の、健常者のサラリーマンだったらば、目的地まで案内してあげる事も別に、特に問題でも何でもないだろう。でも、私の場合は? 結婚以来、殆ど無くなったが職質経験は決して少なくない私が制服姿の小学生の女の子二人を連れて歩く? 似たような事態は何度もあるが、途中で地理が解ったのか黙っていなくなった連中もいたし、見かけた警邏中の警官にお願いしようとしたらやはりいなくなってた事だってある。あぁ、そりゃぁまぁ、バケモノになんか頼りたかぁないだろう。でっかいし、怖いだろうし。そういう気持ちも解る。倫理的に考えて、中学生くらいなら用意もしないで見知らぬ土地に来て、自分勝手で迷子になった馬鹿なんか知らんと言ってもいいが、小学校中学年くらいの二人組を、日本でも有数の犯罪数と交通マナーの劣悪な名古屋市内のど真ん中でほったらかしにするというのも流石に社会人としての疑問もある。会社の人間は、私が嘘は絶対に吐かないのを知っているし、事情を話せば多少の帰社の遅れは問題にならないと思う。交番までの距離よりも目的地が見える地点までの方が近い。だが… この私が、そう、目の前の迷子が怯えと嫌悪と不安が混じった顔で見ている子供に、どうやって、どのくらいの助けをしてやればいいのか。感謝とか欲しい訳じゃない。むしろ、いらない。ただ、シンプルに助けられるものの、何処までをどう自分がしても、疑心暗鬼になる事なく正しくそれを向こうが受け取り認めるのか。
 
結局、スマホで地図を表示させても混乱しそうなので、一番シンプルで最短距離で行けるルートを教える事にした。案の定、おばさんはいなくなってた。一応は、頭は下げて去っていった子らが私が教えたルート通りに行くのを見えなくなってから仕事に戻ったのだが… まぁ、ベストだったとは思っていない。でも、例えばあの子らが間違った方に行こうとして、走っていって声をかけた私を見て悲鳴を挙げないという保証は無い。これも過去の経験なんだが、たまさか道で鞄を拾ったので、通り道沿いにある交番に寄って届けてる時に、まさに落とし主が現れるというマンガみたいな事があったが、警官から
「こちらの方が今、届けてくれたんですよ」
 と言われた落とし主は私の顔を見て、落し物が見つかった喜びから一転したその表情を私は時々思い出す。
「なんなら中身、今ここで確認して下さい。後でどうこうってのも気分が悪いので。」
 と言ったらば素直に引っくり返した後で愛想笑いに変わったけれども、そんなこんなの様々諸々の記憶をてんでばらばらに繋がりながら引き出されつつもし私がごくごく普通の顔というか外見だったらどうだったんだろう、と。身だしなみは一応は気にしていて、毎晩シャワーを浴び、毎朝髭をちゃんと剃るし髪もとかす。クリーニングに出しているYシャツを着てネクタイには時々アイロンがけもしているし靴も磨いている。背広も紳士服量販店の吊るしの安物で特別なものではない。雰囲気は、当人だからよぉ解らんが、少なくとも渡しより小汚いナリをしたリーマンはいくらでもいるけれども、毎日毎日毎日毎日、家の外に出れば… と、なるのは仕方無いけどね、名古屋程度の味噌くせぇイナカとかじゃ。東京や大阪みたいにjなれったって、地が卑しくて貧しいイナカには無理だけども、だからといって私までイナカモノにならねばならない理屈は無いワケで、まぁ、どうすれば、どこまですりゃぁ良かったんだろねぇ… と、絶対の答えなんか出ないのは前提にしていても尚モヤモヤと考えてしまっていて。書いてみれば少しは整理、まではいかなくとも多少の分類なりはできるかとは思ったんだが… なんかこぅ、あんまりいい記憶が日本国内で日本人相手だと無さ過ぎて萎えるさぁねぇ… それが私の生き方だからこそ、私の日常、なんだろうけども。
  
まぁ、
 
この外見のお陰で慰めとか根拠の無い上から目線での施しもあるのは事実だけど、それで食ってるワケじゃないし。っか、まぁ食えないよ三級程度じゃ。、コネも特に無いし。なら、障害で食えない以上は、って思ってい続けたいんですよ、私は。とりあえずは無事に着けたかなぁ、あの子ら…