『Midnight in Paris (2011)』 - Region A メモ。

US版Blu-rayジャケ。

 

 
 ・『Midnight in Paris [Blu-ray] (2011)』

 Region: A/1
 Studio: Sony Pictures Home Entertainment
 Theatrical Release Date: June 10, 2011
 Blu-ray Release Date: December 20, 2011
 Run Time: 94 minutes
 
 Aspect Ratio: 1.85:1
 Available Subtitles: English, French, Spanish
 Available Audio Tracks: English, French - DTS HD 3.0 Surround
 
Special Features
 ・Midnight In Cannes Featurette
 ・Theatrical Trailer
 ・Photo Gallery
 

 

【Official website】(英語) 
 
脚本家のGil(Owen Wilson)は婚約者とその両親と共にパリに着た。Gilにとってのパリは憧れの地であり、特に1920年代を黄金時代という思い入れもあったので今回の旅行は念願の小説の執筆の構想を練るにもうってつけと思っていたのだが婚約者にしろ彼女の両親にしろ全く価値観が合わない。おまけに現地で出会った彼女の友人らも俗物ですっかり気分を腐してしまったので一人で夜のパリの街を散策に出かけるも迷子になってしまう。途方に暮れていると鐘が鳴り、道の向こうからクラッシックカーがやって来る。随分と時代めいた衣裳の乗客に乗っていけと誘われて同乗して向かったのは…
 
 初めて観たウッディ・アレン監督作品が『カイロの紫のバラ (1985)』で、ビターだけども映画への情に満ちた作品で気に入ったんだけど追って観たウッディ・アレン作品はなんかこぅ肌に合わないっか鼻につく感じがどうにも嫌で、まぁあれは特別な、ウッディ・アレン本来の作品の系統ではなかったんだと思って観なくなったんですが、それでもこの予告編を観た時にはなんかこぅ惹かれるものがありまして… 本国でもロングランしているんだから日本でも公開があるだろう、なにせ舞台はパリだし『アメリ』ん時みたいな嘘予告してでもやるもんだろうと思っていたんですがそれもなし、ロングランしているからソフト化も大幅に遅れての2011年の末も末の発売になったんですけどそれでも日本での公開の予定も無いようだったんでオーダーしましたが… すっごく人にオススメする気にはなりませんが
オーウェン可愛いよオーウェン
 でオッケーな小品として楽しかったですよ、ってトコでしょうか。
 
【以下、ネタバレも含めてヒネクレ者の意見なので注意!】
 
 エンドロールが出た時、思わず妻が
「え、これでお終い?」
 と言ったけれども、つらっと観ていた分には正直勿体無いっか惜しい作品だと思ったんですよ。あれだけコール・ポーターだ、フィッツジェラルドヘミングウェイロートレックだのと実在人物を出しておいてのタイムスリップ物っかファンタジーとするなら小説ですけどジャック・フィニイの『夢の10セント銀貨』『ふりだしに戻る』『マリオンの壁』と比べたくなるし、それこそ『カイロの紫のバラ』との比較もしたくなるじゃぁないですか。しかし劇場版予告を観返してみて、どうもそういう映画ではないんだな、って私は思ったんですよ。
 多分、ウッディ・アレン監督には1920年代も含めてパリ、それ自体にはさして思い入れは無いんじゃないかと。
現代部分も風景的に非常に綺麗ではあるけれど詩情的な美しさはない、ある種通俗的なイメージとしてのパリって範疇でしかないのと同様に「自分にとって最高の作家!」とGilに言わせてるヘミングウェイも特に物語にもGilにも関わらないお話… そう、予告編をよく観てみると解るんですけどMarion Cotillard演じるAdrianaしか1920年代パリの人物って出て来ないんですよ… となると、監督の意図するトコロは当初此方が勝手に思っていたのとは全く違うんだろうなぁ… っと思ったんですよな。
 となると? と私が考えてみた結果としては
『憧れと現実』
 なのかなぁ… って思ったんですよ。憧れはあくまで憧れであって現実ではなく、如何に思い入れがあろうと知識があろうと結局同時代人ではない以上他人事であって、それを捨ててまで1920年代のパリにとする程にはGilは現実と現状に閉塞していないし問題も無い。たまたま、なんだろうけど『カイロの紫のバラ』でヒロインと別れて映画の世界に帰ったのは映画の登場人物のトムの方で、彼女を捨てて一人ハリウッドに戻ってしまうトム役の映画俳優の名前がギル(Gil)だったけれども、全く無関係ともちょっと思えないんですよね、私は。そういう憧れを現す場所としてパリはうってつけだったけど、だからこそ映像が詩情的である必要は無いし、Gilの成長物語でもないからその他の登場人物が彼に成長や影響を与える必要も無い。そういう物語の主役として、オーウェン・ウィルソンが必要だったんじゃぁないのかなぁ… っと。いやその、途中までナンであんな馬鹿女と婚約してんの?って疑問だったのもそうやって観ればラストも納得しちゃったんですけど、ああいう無邪気さも含めた軽薄なGilという役に本当にオーウェン・ウィルソンはハマっていて、そこから逆算してみればまぁそういう映画なんだろうなぁ… っと。すっかり歳をとったウッディ・アレンが余裕をもって描いた遠しでのビターな喜劇、だから万人に受けるとも思えないし女性受けもまず無理だとは思うんですけど、そういう部分も込みで楽しい小品だと思いましたよ、っと。特に男性、中年以降ならより感じるものもあるんじゃぁないんでしょうかね?
 
 
 ただ個人的にはギャグなんだろうけど、探偵に向かって多分マリー・アントワネットと思しき方が
「Guard!(衛兵!)」
 ってのだけはチョイと納得いかなかったんですが… フランス王家に嫁いだイギリス人、若しくは咄嗟の時に英語が出る国のお方っていましたっけ? 何方か御教授頂ければ幸い、であります、っか、その程度の学しか無い人間の戯言ですんで悪しからず、って事で。