『Paprika (2006)』

US版Blu-rayジャケ。

 
遺書とでも言うべき最後のブログ記事*1を読んで、そういやぁ今敏監督作品で観てないのってコレだったなぁ… って事でAmazon.comでオーダー、筒井の原作は未読の状態でなるべく情報も入れないようにして妻と観賞しましたが…
 
今敏監督作品を私が好きな順で並べるのならば『妄想代理人 (2004)』のOPがダントツ
 

 
で、後はどれも同じ程度って私がなるのは監督が理知的であり過ぎるからこその破綻も狂気も理知で抑えて極力画面で説明しちゃうからで、それが特に本作の場合は【夢の世界】という舞台、題材を今まで以上に理知的に描いて説明してしまってるから確かに解らないトコは殆ど無いしその徹底さそれ自体は凄いけれどもじゃぁ作品として面白いか?ったら別の話で。人物の性格とか性癖等もキャラクターデザインも込みで描写してるのも凄いけどそれが作品内で活きてるか? キャラクターとして立ってるか?ったらそうでもなし。繰り返された誇大妄想のパレードのシーン等、映像としての魅力が感じられない上に【蝶】等の記号とその使い方がパターン的過ぎてヒネクレ者の私はてっきりそれもミスリードっか伏線だろうと思ってたんだけど本当にまんまだったんでガッカリした、とか、その説明の過剰さこそがこの監督の持ち味なんだろうけど、しかし過剰に説明している分、例えば夢は必ずしも潜在意識も含む欲望や抑圧からの解放ってだけでもなくね?とか、終盤の大衆の夢と現実が混然一体となった『世界』の舞台が精緻な都市である必然性も無いし、変異する事象や行動が画一化されるのも変な話じゃね?とか、説明に対する矛盾や疑問が出て来るんですよ。それら全部ひっくるめて監督にとっての、っか
 

 
だから別に構わないんだけど、だったら映像的にガツンと魅せてくれないと私はノれないなぁ… と。監督の趣味じゃないのと収拾つかないからやんなかったからなんだろうけど、じゃぁアニメでなければならない意味や意義も無いんじゃね? そりゃ実写にはアニメよりもかかる予算のケタは違うだろうけど、アニメである必然性は正直、私にはあまり感じられませんでしたね…
 
 あと、個人的にどうしても駄目っか納得がいかなかったのが
「作品に原作者と監督って神様っか創造者を二人出してくるのはいいけど、たった一回だけど物語上のオイシイとこでバッチリ活躍しちゃう」
 ってので、それをやっちゃったら作(劇)中人物がいくら危機に陥ろうが活躍されてもなぁ… っと。
ラストの映画館の看板ネタはまだ無邪気なお遊びだとは思う… 個人的にはどうかと思わないでもなかったけど… が、あの二人の神様に関しては納得いかなかったなぁ…
 
 
 …ってので、私らにはイマイチでありました。
多分、上手く原作小説をまとめたんでしょう、台詞でなく画で見せてくれるのもあってテンポも非常に良くて退屈はしなかったんですが理知的に整理し説明され続ける分だけ展開だけでなく映像も先読み出来て尚違えず予想の範疇にあったというのはそれだけ監督の計算と演出が行き届いていたって事で実に凄い事だとは思うんですが、前述しましたようにそれが面白いか?ったら… ね。
 
ソフトについての情報は【BLU-RAY REVIEW(英文)】さんトコの【Paprika】んトコを御参照下さいませ。我が家でフルHDのTVとPlaystation3での再生でしたがチョイと前のソフトのせいかややシャープさに欠ける印象も無くもなかったんですが綺麗な方だと思えましたし。OP&EDのスタッフロールが日本語だったから所謂海外版仕様ではなく多分オリジナルそのままで何せ送料込みでも日本版の半額以下ですから興味がある方は個人輸入で観てもいいんじゃないんでしょうかね?っと。