『うちのトコでは』
- 作者: もぐら
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2010/01/23
- メディア: 単行本
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作者様自ら「適当に史実を織り交ぜながらも都合の悪い情報はなかったことにするとか、話をまとめたりする上で、管理人の恣意的な解釈にしております」と言っているように、切り口だけでなくそのキャラ造形もまたちょっと違う印象で… 勝手な想像なんですが一杯あるキャラの為の要素を足し算ではなく引き算でやってんじゃぁないかなぁ… と思うんですけど、そうやって残った上での「個性」をキャラ絵やお話で、ではなくむしろ台詞と効果も含めた漫画で、ってのが他にもあれば教えてもらいたいのですが… ってのは兎も角として。
だからこそ、削って引いて尚残っているものやあえて残したものの意味ってのを私は考えてしまうんですよね。ウケで言うのであればひたすらにアコギにアザトく萌え系にするなりBL系に走るなりするのも商売としてはアリなんですけどあえてそうはせず、ホンワカとした優しいネタも多いもののそのベースとなっているものの歴史とか文化を決して軽んじる事もせず、本巻のラスト約3分の1を占める「夢の架け橋」、綺麗なお話としてまとめようとすればいくらでもあるのにあえて様々な感情っか想いを入れて整理し過ぎないようにしてると私は思うんですよね… 県毎の思惑とか錯綜も含めて、あのキャラでやっているから毒々しくはならないもののドロドロとしていますし間違いや行き違いも踏まえてのものは単に苦労美談賛美でもなく例えば徳島と淡路との台詞、がね…
徳島「神戸さん忙しすぎじゃぁ あれじゃ過労死するで」
淡路「大丈夫死なない うちら概念やから」
徳島「都道府県擬人化設定をネタにせられん」
淡路「また死んでもたいしたことない。国破れて山河あり(諸行無常)」
徳島「淡路 正しい思うたら何でも言うてええってのは間違いじゃて」
淡路「うちらが死ぬのは ヒトに捨てられたときだけ。」
ってね…
また阪神淡路大震災の緊急事態に奔走する様々な擬人化県キャラ達の中でただ一人だけ「大げさだ」とせせら笑う老人、誰かは言わずもがなでしょうがあそこにいる意味も必要もあるんですよね、作者様にとって。で、その姿勢ってのかなぁ… 心意気ってのが私は好ましく思えるんですよ。
勿論、作者としてキャラに愛着があるのは当然として、遊びこそすれ溺れない流れないってなトコも含めて個人的にはお気に入りでございます。いやホント、描き下ろしも多くて楽しかったですよ、っと。