『Chandni Chowk to China (『チャンドニー・チョーク・トゥー・チャイナ』(2009)』

DVDジャケ。

 
 粗筋等は【日本公式サイト】をご参照をば。
 
 一応今月末に日本でも公開されるんだけどもどうも地元では上映しないっぽい?のと別にアクシャイ・クマールにもディーピカも特に御贔屓ではないのでとりあえずUS版DVDで、と予約していたのが先週発売になって今日届いたのでザッと観たんですけど…
 
 何でこんな映画、日本で上映するの?
 
 まぁお話と言うかプロットの組み立てやテンポはまとまっている方ではないかと思うのですが、肝心のカンフーシーンがもぅ駄目。『カンフーハッスル』でもチャウ・シンチーの熱意も意図も解っても駄目だった私からすると動きのモッサリさと安定感と伸びの無さ、基本的に殺陣は順番待ちってのがもぅタルいし、そこをエフェクトとワイヤーと合成で誤魔化そうとするんだけどもなまじ彼氏の背が高くて手足が長い分だけ余計に駄目なのが目立つという… 特に私、今年は『Ong-Bak 2』を観てるじゃぁないですか。アレでガチに当てるというリアリティの説得力の為にリアルをぶっ通す無茶を観てるともぅねぇ… 武田鉄矢のハンガーヌンチャクの方が映画的に説得力ある、ってのは何とかならんかったのかと。もぅその時点で映画としては失敗じゃぁないですか。ケレンと馬鹿さで『少林サッカー』『カンフーハッスル』に及ばない、『ドラゴンタイガーゲート』のように芯にドニー・イェンのような本物がいるからこその凄みも無い、ジャッキーのように愚直さや愛嬌があるでなし。ましてジェット・リーのような本物でも無い、トニー・ジャーのような真摯さも無し。インド人にもカンフー映画への憧れがあるのは今まで観てきた作品の中で散見してきましたから解らないんじゃぁないんですけど、だったらもっとやりようがあったんじゃぁないかと。多分、観てないけど『カンフーパンダ』の方がよっぽどカンフー映画としても、エンターテイメント映画としても出来が上でしょうて。『DOA』のデヴォン青木や『チャーリーズエンジェルズ』のキャメロン・ディアズの方がもっと上手く見えるし『七人のおたく』のウッチャンの動きの方がカッコイイ、と映画の蓄積があればあるだけ本作は辛くなります。決して運動が得意とも見えないキアヌ・リーブズをカッコ良く見せた『マトリクス』の何と偉大な事か。ウェズリースナイプスやセガールチャック・ノリスのような滴り落ちる自己愛も無い。出来ないのなら、無いのなら、何をどう見せるのかが映画の筈なんだけどなぁ…
 
 それにインド映画ならではの筈のミュージカルシーンが兎に角ツマラナイ。PV系にするのはいいにしても人数も足りないし楽曲も単調の上に短い、ではねぇ… と、ぶっちゃけコレ、何でわざわざ公開するのか本当に解らんのですよ。これより面白いインド映画なんていくらでもありますよ、マジで。なのに何で、よりによってコレなの? そりゃぁインドでも他の国でも興行成績が悪いですよ… 素材そのものは悪くない筈なのに、調理法を完全に間違えてますもの。『ベストキッド』の一作目とか、やりようはいくらでもあった筈なのになぁ… なぁんで、よりによってこの映画、なんでしょう?
 
 悪の親玉がHojo(北条)って日本人(みたいな名前)だから?
 
 で、その日本人(?)が中国人の教えを受けたインド人の与太郎にボコられるから?
 
 インド映画というジャンルを日本で流行させない為に下らない上にツマラナイ物というイメージに貶める為?
 
 
 悪いけど、コレは無いわ… 本当なら日本でもインド映画の公開が続くように応援したかったけど、コレじゃぁホント、悪いイメージしか残らんですよマジで。インド映画界を下に見て満足したい人にはいいかもしれんけど、好きな人にとっては本編中の映画ネタ以外は凄く辛いんじゃぁないかなぁ… 少なくとも私はなんかとても悲しくなった。『Roadside Romeo』も酷い映画だったけどまだアレは3DCGアニメ製作の理解と技術不足だからしゃぁないって言えなくもないんだけど、実写でコレではあきませんって… 2時間40分ちょっとかけてもまぁ仕方ない?ってくらいに脚本と編集はそこそこなのが余計に辛いっす…
 
 DVDも酷い代物でねぇ… 売れなかった映画なんてこんなものってくらいに適当っか。インド映画なのにSong Menuが無いのはまぁ仕方無いとしてもチャプターメニューすら無い、特典は没カットがいくつかだけで予告編も音声解説も無し。これで$19.99なんてボッタクリもいいとこだよ… って事で、私としてはこの映画本編もソフトもオススメは絶対にしませんね。
 
 繰り返しますが、これより面白いインド映画なんていくらでもあります。まだレビュー書けてないけど、今年観た作品に限っても『Dostana』『Rab Ne Bana Di Jodi』『Billu Barber』『Bachna Ae Haseeno』『Bhoothnath』はどれも面白かった。『Main Hoon Na』、『Paheli』、『Aankhen』、『Dhoom』、そして『Bunty Aur Babli』と、大好きな映画だって色々あるからこそ、こんな物は公開して欲しくなかったなぁ… あぁ… これでまたインド映画への偏見と蔑視が強まりそうで嫌だなぁ…