隔週刊 落語百選 DVDコレクション 第12号

USA-P2009-03-17

 初めて見る正雀師のは正直もひとつ。マクラでの鹿芝居話とかまでは良かったのですが噺の方がどうも時間を気になさっているのかやや駆け足気味でもうちょっと落ち着いてやられても良かったんではないかと。例えば俥屋んトコは声色を使ってるんだけども何の演目か解らないものだった次の巡礼のは声色無しでザーッっと、ってしてみせたの理由はよく解りませんでしたし番頭も何げなに芝居好きらしいんだけども噺全体で見れば中途半端だったり、とか、あんまりノれませんでしたね… 七段目の部分も声色とか型の部分がもひとつ。思い入れはあるんでしょうけども、もうちょっと凝ってもらいたかったなぁ… と。
 
 権太楼師の「笠碁」、いやぁ笑いましたね… これだけ笑ったのは2号の喬太郎師の「時そば」以来じゃないかしらん?ってくらいですが、マクラを長めにとってからの噺の方は多分師にとっての好みなんでしょうがカットが多いんですよ。事前の取り決めの下りも無いし、煙草入れを忘れてきたってのも無し。その分、お互いに暇を持て余した男同士のしょうもない意地の張り合いの可笑しさに絞ってのもので、まぁ笑った笑った。そりゃまぁこれを古典か?ったら違うと思いますよ。伝承するのは難しい、権太楼師だけのものではないかな… とは思いますし、時代が江戸ではなく明治にしてるのもどうかな?と思う箇所もいくつかはあったんですけども、これだけ笑わされたら、ねぇ… 馬生師の方が伝統芸能としても正しいんでしょう。でも、これだけ中途半端なのがシリーズで続くと伝統芸能か個人かに振り切った方がいいように思えてきてしまってるんですよね、困った事に。出来ればもっと落語を知らない人にももっと楽しめたりサラっと笑えるラインが欲しいんですけど、ね…