隔週刊 落語百選 DVDコレクション 第2号

 創刊号がやや期待外れ… 特に「目黒のさんま」が… だったのであまり期待をしないようにと思っていたのですが、それでもこの両師となると… っと思っておりましたが。
 
 まず喬太郎師の「時そば」、御当人が「新作落語みたい」と言ってたように古典伝統芸能としての落語ではないんですが喬太郎師にしか出来ないであろう飛ばしたマクラからの本編は反則スレスレのものも込みで実に楽しかったです。「時そば」と言うと瀧川鯉昇師の師ならではの淡々と酷いのの方が好みですし、狂気と言う点ではポール・ジアマッティはいい役者なんだけどどんな役をしても眼が知的過ぎるのと一緒で多分春風亭昇太師等のそれに比べると、とか、まぁ色々と思わないでもないんですが少なくとも喬太郎師らしさに満ちた一席ではないかと。
 
 続いての雲助師の「芝浜」はマクラらしいマクラも無くスッと入られるもので、生での雲助師の高座を観た事が無い私にはこれが雲助師のやりたい・思っている「芝浜」かどうか?ってのは解りませんが、独演会等のコッテリしたものではない抑制されていてクドくないこういうサラっとした一席を寄席で観られたら気持ちいいだろうなぁ… と思うものでした。
 
 …という事で、この号は「買い。」でしょうて。
噺のテイストと演者のスタンスがキッチリと出ていてしかもそれぞれの演者のスタイルと演出力があってこそ、ってんですから。落語というと『日本の話芸』のように爺がモゴモゴつっかえ引っ掛かりながら何か陰気で辛気臭いのをグダグダ話すだけ、と思ってる人には
「あぁ、こういうのも落語なんだ。」
 と思ってもらえるんではないんでしょうかね?