『ザ・マジックアワー (2008)』

USA-P2008-06-28

 
 結婚記念日って事で妻と観に行った三谷幸喜監督作品第4弾、ではありましたが… 『ラヂオの時間 (1997)』『みんなのいえ (2001)』『THE有頂天ホテル (2006)』と同じく【三谷幸喜が映画でやりたかった事】で溢れてはいるけれどもしかしそれは【映画でしか出来ない事】ではない、ってのも同じなんですけど、映画製作に慣れていないからこそ映画であろうとした画がありそれらはスクリーンで観るべき必然性があったのと比べ、わざわざスクリーンで観るべき画が無い上に画ではなく台詞で語らせてしまった事があまりにも多いから余計に細かい矛盾点や論理的におかしい部分が露骨に出てしまっていて正直言えばガッカリした、というのが私ら夫婦の本音でしょうか。
 
 三谷氏の好みなんだろうなぁ… ってのは一番よく出ているとは思うんですよ。ホント、三谷監督が好きな映画… 大スタジオ時代のメジャー製作の… はよく分かるんですけど、引用がまんま過ぎるんで「それを日本人でやる事」って部分が笑いに繋がらないんですよ。守加護(すかご)というセットが5倍あるか、かつての日活の無国籍映画にあった日本的なベタさとバタ臭さで押し通したのならばまた話は違っていたかもしれませんが、もともとそれらは三谷氏の好むものではないから望むべくもなし。
 加えてキャスティングは悪くないし演技も悪くないんだけどもこれまでの映画のみならずTVや舞台での三谷作品であった(物語での役所での)オイシイ部分が誰も無いからもうひとつキャラが生きてこないし、これは三谷氏の弱点なんですが女性、特に今回のような『悪女』が描けないんじゃぁ誰も引き立たないじゃぁないですか。
 更に題材としてはこれまでと同じプロフェッショナル… 今回は映画屋… なんだけど、彼らがプロとしての見せ場や立ちが無いから凄くボケた印象で、正直言えば脚本の練りこみ不足か製作期間不足かは知りませんけどあまり誉められた出来ではないな、っと。
 
 普段コメディに関しては割合と甘い評価をしている私ではありますが、普段コメディを観ているからこそ感心しない、ルーズと言うか雑な出来が味にもなっていない上にスクリーンでこそ観るべき画も無く、【映画でしか出来ない事】も無い映画に関しては
「残念でした。」
 って感想しかありませんな… これがTV地上波での視聴ならばこないな不満は言いません。
時間経過のおかしなのも間に入るCMで誤魔化されるでしょうし、ストーリーの整合性だの伏線だのといった事より単発的に小さいネタで笑うというのは今のTVによく合っているでしょうしね。だからこそ私らには劇場でお金を払って一本の映画として通しで観る物じゃぁないって事です。
 
 
 三谷氏はパンフレットで
 

 
 ここまで完璧なキャスティングで、映画が面白くならなければ、それはもぅ監督の責任です。

 

 
 っと書かれていますが… 狙いや題材、素材は決して悪くなかったと思います。ひとえに脚本と監督のせいだと思います。残念。