『Muthu (1995)』(メモ)

US版DVDジャケ。

 
ムトゥ 踊るマハラジャ』という邦題で1998年に日本でも公開された本作、日本でもインド映画がマサラムービーと呼ばれるキッカケになった作品ではあります。私もビデオで観たんですけどわざとベタベタに泥臭く御都合主義万歳の大衆娯楽映画として作ってあるのは解るものの楽曲以外は特に印象に残る事もなく… 繋ぎが思いっきり乱暴でしたもんねぇ… っという事でインド映画自体を避けるようになった一本でございましてな。
 最早大衆娯楽ではなくなった歌舞伎に対する大衆演劇が決して芸としてどうこうと言う気が無いように、娯楽としての映画の為に辻褄やらテーマだテーゼだメッセージだの技法だのをして高尚だどうだと言う気が無い私からすればあの徹底しての娯楽化は好意すら抱くのでありますが、しかし「娯楽としての映画」というのは別にインドしか作ってないワケでもないし、様々な物語要素を詰め込んでいくのを消化も融合もしないままに唐突に展開していくというのはちょっと好みではなかったんですよ… 確かにカンフーや当時の流行り物を取り入れる貪欲さや劇中曲等好きな部分はあり、実際友人から貰ったサントラは時折聴いてるんですけどもまぁ映画としては好みではないなぁ… っと。
 
 で、
 
 それから8年後にたまたま数合わせで、何の予備知識も無しで購入した『Elaan』でインド映画の面白さに驚きいくつか観る様になると私にとっての最初のインド映画である本作が気になるワケですよ。
「もしかしたらインド映画の見方っ〜かフォーマットをよく知らないままだったからこその印象だったんじゃないの?」
 とか。
でも日本版DVDの価格は高いしなぁ… っと思ってた時にナニゲナにAmazon.comで普通の値段で売られていたんで購入したんですが、
 
 ヒンディ語版な上にカット版じゃん(涙)。
 
 …って事で、このソフトはあんまりオススメ出来ませんわ。
以前購入したEROS社の『Jeans (1998)』もオリジナルがタミル語なのにヒンディ語版だったんでガッカリしましたが、まだミュージカルシーンが緩くメロディ主体だったんでそれ程は気にならなかったのと比べるとなまじサントラをずっと聴いていただけに本編での口と台詞とのズレだけでなくミュージカルシーンでの「声」という音のズレが、なまじリズムが立っている曲ばかりなんで観ていて気になってしゃぁないんですよ…
 それに加えて元の映画でもカット版?っと思ったくらいに乱暴っか腕白な繋ぎ方が10分以上のカットって事で更に乱暴なものになってまして、なんか… これはちょっと痛いのを買ってしまったなぁ… っと。
 
 やっぱ日本版、買うしか無いのかなぁ…
 
 
 
 …って事で以下はこのDVDの情報なので興味のある人だけ

 
・『Muthu (1995)』 - Region All
 
 Studio: Eros / B4U
 Theatrical Release Date: October 23, 1995 (Tamil)
 DVD Release Date:
 Run Time: 153 min

 Aspect Ratio: Widescreen
 Available Subtitles: English
 Available Audio Tracks: Dolby Digital 5.1 - Hindi

 Coming Attractions:
 ・ Forthcoming films in cinema (17:31)
 ・ Film running successfully in cinema (13:40)
 ・ Films available on DVD (7:57)
 ・ B4U WORLD (4)

 

 
 画質は流石に古い映画なんであんまり良くありません。元のフィルムに由来するであろうノイズや色調のおかしなシーンに加えて全体的に発色もデティールも最近のヒンヂィ語のインド映画のソフトに比べると落ちる印象で。
 音質も一応Dolby Digital 5.1 Surroundとの表記がジャケにはありますが吹替え版らしい奥行きの無いぺったりとした音に感じましたなぁ…
 特典は自社と自社製品の紹介だけでフィルモグラフィーやオリジナル劇場予告編等本編関連は一切無し、という潔さで、まぁ日本でかつて『ムトゥ』で観た人にはDVDソフトとしてもオススメは出来ない代物だなぁ… っと思いますわ。
 
 DVD容積には余裕があるんだからオリジナルのタミル語音声を収録しても良さそうに思うのですが、本作が公開された95年のインド国内における映画興行成績の上位25位以内に『Muthu』は入っていない、ってトコから考えるに商売上の割り切りなんでしょうかね? それはそれで寂しい気もするんですけども…