『Love at First Bite (『ドラキュラ都へ行く 』(1979))』

DVDジャケ。

 
 時は現代(当時)。
ルーマニアトランシルバニアの夜の王として君臨していたドラキュラ伯爵(George Hamilton)はこのところアメリカのファッション雑誌モデルCindy(Susan Saint James)に一目惚れ(Love at first sight)。いつか会いたいものだと思っていたのだがある日、女子新体操チームの練習場を求めたルーマニア政府にあっけなく城を摂取され追い出されてしまう。行くあての無い伯爵だったが政府が城の代わりに用意するという高級ホテルを彼女に会う為にプラザホテルとし、従者のRenfield(Arte Johnson)と共にニューヨークへと向かうのだが…

 
 …という、今で言うならロマンティックコメディ映画でございます。
ドラキュラを題材にしたパロディ映画は数あれど、私の中ではずっとこの作品が1位にあったのは本作を劇場で観たからかも… と思っていたんですが、なにせこれ迄DVD化されていなかった本作故、TVでの岸田森の吹替えによる放映でしか観ていない状態だったもんで
「やはり思い出は思い出として美しいまま記憶に留めておく方が… 」
 っと、かつて『The Kentucky Fried Movie (1977)』等、【昔、観た時には面白かった筈なんだけどなぁ映画】のようにも思えていたんですけどやはり観れなかった作品だっただけに思い切ってDVDを購入、いざ再見してみますと… やっぱ面白かったんですわ、コレ。
 いやまぁセットはショボイしギャグはベタで温めだしで今時の若い人が観たらカッタルイのかもしれんのですが、常に超然とした伯爵がシレっとするボケをするかと思えば時折思いっきりベタなボケをする、というスタイルが元々私の好みなんで大爆笑はしないものの終始クスクスしっぱなしでございまして。
 まぁ古い映画でございますから台詞にしろセクシャル、バイオレンスは最近のロマンチックコメディと比べれば随分とマイルドっか控え目なんですが、それは当時でもわざとそうしてるんでね。何せ70年代のアメリカ映画ったらsexploitation真っ盛りだったワケで私も嫌な映画を一杯劇場で観たんですけども、そんな中であえてコメディタッチの御伽噺として製作し綺麗に終わらせた本作は今の時代でも充分に御伽噺としての輝きも魅力もあるんではないかと思うんですけどね… って、まぁこれは贔屓目ですけどね(笑)。
 だってCindy役のSusan Saint James)も伯爵が惚れるにしてはちょっとゴツいし、伯爵相手とは言えレストランで拳銃をブッ放したDr.Rosenberg(Richard Benjamin)の釈放が血液銀行からの盗難捜査の為とか脚本の荒さも解ってはいるんですよ。でもまぁ誰も不幸にならないってのは奇麗事であるのは十二分に承知していても、映画を観るそのひとときを奇麗事として何事も控え目にやってくれた本作、私は好きなんですよね…
 
 今なら伯爵にティモシー・ダルトン、敵対する頓珍漢なヴァン・ヘルシング教授の孫にローワン・アトキンソンってコテコテのイギリスコメディっぽいリメイクにしてもいいのになぁ… でも本作の主演George Hamiltonや監督のStan Dragoti、脚本のRobert Kaufmanといい本作以外コレという一本の無い方々ばっかり、ってのを思うと、昔からこういう地味目だけどまとまって洒落た小品って人気無いんですかねぇ…
 
 
 
 …って事はさておき、以下はこのDVDについての情報なので興味のある方だけ

 
・『Love at First Bite (1979)』 - Region 1
 
 Studio: MGM
 Theatrical Release Date: April 27, 1979
 DVD Release Date: July 12, 2005
 Run Time: 96 minutes
 
 Aspect Ratio: Widescreen - 1.85:1, Fullscreen
 Available Subtitles: English, Spanish, French
 Available Audio Tracks:
 English (Dolby Digital 2.0 Mono)
 
 DVD Features:
Theatrical Trailer

 

 
 所謂両面ディスクで片方にワイドスクリーン版を、片方にフルスクリーン版を収録してあります。確か劇場オリジナルはフルスクリーン版だったと記憶しているんですが昨今の家庭視聴事情もありますし、元々天地がそれ程使われてない作品なんでどちらも特に不都合なり違和感は感じませんでした。
 
 画質は… 公開年の事を思うと綺麗な方だとは思うんですが、欲を言えばもぅ少しシャープさが欲しかったかな? マスターに由来するノイズも見当たらないしこれはこれでいいとは思うんですが、夜のシーンが多い本作で結構闇や影の部分が潰れてるのも込みで… ってトコで。
 音質は問題無し。無理にサラウンド化されてもねぇ。
 
 ただこのDVD版、難点が1つございまして…
以前アメリカでリリースされたVHS版と同様に、伯爵とCindyがクラブで踊る時の音楽がAlicia Bridgesの「I Love Night Life」ではなく別の曲に差し替えになってるんですよ。
 多分権利関係でモメたからなんでしょうが、これが理由でこのDVDはアメリカでのファンの評価が若干悪いものとなっております。代わりの曲も別物とは言えそれなりの雰囲気はあるし悪くはないんですがこのダンスシーンでの伯爵とCindyの二人の心情、親密になる過程を
 
Ooooh I, I love the nightlife
I got to boogie
On the disco 'round, oh yea
Oh, I love the night life
I got to boogie on the disco 'round, oh yea
 
Please don't talk about love tonight
Please don't talk about sweet love
Please don't talk about being true
And all the trouble we've been through
Ah, please don't talk about all of the plans
We had for fixin' this broken romance
I want to go where the people dance
I want some action
I want to live
Action, I got so much to give
I want to give it
I want to get some too
 
Ooooh I, I love the nightlife
I got to boogie
On the disco 'round, oh yea
Oh, I love the night life
I got to boogie on the disco 'round, oh yea
 
Please don't talk about love tonight
Your sweet talking won't make it right
Love and lies just bring me down
When you've got women all over town
You can love them all and when you're through
Maybe that'll make, huh, a man out of you
I got to go where the people dance
I want some action
I want to live
 
Action
I got so much to give
I want to give it
I want to get some too
 
Oh I, I love the nightlife
I got to boogie
On the disco 'round, oh yea
Oh, I love the night life
I got to boogie on the disco 'round, oh yea
 
Oh, I love the night life
I got to boogie
On the disco 'round, oh yea
Oh, I love the night life
I got to boogie
On the disco 'round, oh yea
Oh, I love the night life
I got to boogie
On the disco 'round, oh yea...

 
 で現していただけに残念、ってのに加えて特典の「Theatrical Trailer」ではダンスシーンがこの曲のままで収録されているとね… 確かにバカ売れする商品ではないんでしょうしAlicia Bridgesにフッかけられたってのもあるんでしょうけど何とかしてもらいたかったなぁ… ってので二重に残念ですな。
 
 とは言え、
何せ現在観られるのはこの版しかございませんし。そりゃ岸田森の吹替え付き日本版が出ちゃったらソッチを購入するかと思いますけどそれも現時点では難しいでしょうし日本版だけ楽曲が劇場オリジナルに差し戻しになるなんて事はまず無いワケで… 普通の値段(定価$14.98)のワリに特典が少ないとか不満が無いワケじゃないんですよ。でも今はコレでしか観られないんですしね… まして、マイナーな出演者&製作者達のマイナーなコメディ作品でソフト化になる事自体が珍しいんですし… ってのを思うと私はコレでいいかな、ってトコですかね。