麒麟について感じた事のメモ。

 
 まぁ特にオチも無いし今更な話ばかりだと思うんで興味とお時間のあられる方だけ
 
 喜劇王ならキートンモンティ・パイソンならジョン&グレアムとエリック、SNLならチェビー、というのが私の嗜好、ってのを自己分析してみるに
「演者としての技術が高い上で、その演者ならではの個性・フォームがある。」
「シレっとしたボケ。」
「湿度が低い。」
「言葉遊びの要素がある。」
 かなぁ… だから今の若手のお笑いで好きなのが
麒麟
アンタッチャブル
トータルテンボス
 ってなっているんですが、こういう点でも所謂お笑い好きの人達とのズレってあるんだろうなぁ… と思ったりもして。例えば『笑い飯』や『千鳥』等、意図は解るし技術もあるのは解るんだけどもまず滑舌が良くないのが駄目なのに加えて彼らしか出来ない物だとはどうしても思えないってのでどうにも。ムーディ勝山の場合はSNLでビル・マーレイがやってた『ラウンジ歌手ニック』を観てるとネタの隙っか詰めの甘さや緩さが駄目だし、っと構成や狙いやフォーマットに既視感のあるものももひとつ。まぁそういう点では『エンタの神様』なんてホンット鬼門だもんなぁ… って私を
「夫は贅沢者だからねぇ…」
 と妻は言うが、それって本当に贅沢なんだろうか? どちらかって言うとズレなんじゃぁないかと思うんだけどなぁ…
 
 先に挙げた若手3組にしても全肯定はしていなくて、例えば『麒麟』なら川島君の滑舌(ダーッっと行く時に結構言葉が潰れる事が少なくない)と田村君の集中力や緊張感のペース配分等の技術面での向上(『横丁へよ〜こちょ!』で特に顕著なんだけど進行は見ていても情況を見ていない感じがする、ややムラッ気あり?ってのがどうも…)を期待してはいるけど、でもそういうのも込みでの期待ってのは決して贅沢だと言われるようなものではないと思うんだけどなぁ… っと思っていたんですが、この日、なんばグランド花月の金曜レイトショーで初めて生で麒麟を観た事で、なんかこぅ、考える部分がありまして… 
 
 今回、前から三列目という非常にいい席で左側… 田村君の側だったんで余計にそう見えたのかもしれませんが、田村君が客席の反応は見ているがあまり客、小屋内の客席の温度差・ムラにあまり意識は無いように見えたのに対して川島君は客席は見ているんだけどあまり客の反応そのもの、それ自体が主には見えない、っという印象を受けましての。
 特にこのレイトショーの回、何故か一番最初の登場でまだ席につこうとしていないお客さんやらをイジったりするんですが、舞台側に集中させようとするんだけどそれもあくまでも自分達の「場」を演じる為のもので技術的でありネタに対する時と比べると「ある程度そういう形になればいい」って感じで割とルーズっか緩いんですね。「俺達に集中しろ! 見ろ!」ってんじゃぁなくて、「自分達がネタをやってもいいくらいの雰囲気、場にしましょうかね」って感じ。
 
 で、
 
 今回は「休日のバイク」「だるまさんが転んだ」「プロ野球」で、特に最後の「プロ野球」は同じ日の夜放送された『たけしの誰でもピカソ』でも演じたものなんですけど、それと比べると間の取り方とかほぼ一緒。小さい川島君のボケネタの有無はあるんだけど、タイミングやテンションのつけ方が見事なくらいにほぼ一緒。TVでの客層とライブの客層は全く違うのに。で、それでも面白いし笑ってしまうんですが、田村君をコントロールする為なのか川島君は本島によく田村君を見ているし、田村君はタイミング等の事もあるからか本島に川島君をよく見てるんですよね、お客じゃなくて。別に観客を無視、軽視しているワケじゃないんだけど、あまりそれに重きを置いているようには見えない。手を抜いているんじゃぁなくて、彼らにとって演じる事の方に重きがあり、その結果としての反応も大事ではあるが… ってトコでしょうか。だからこそ自分達の舞台に対しての真摯さと真剣さはあるんだけど、それを客に強要しないってなっているのが個人的には好印象でしたな… それは自分達のスタイルへの責任感と自信があるからこそ、ですもの。 
 
 この後で西川のりお・上方よしお、ダイアン、中田カウス・ボタンと所謂漫才という形式、フォーマットにのっとったものであり、しかもオーソドックスであるが故にやれる事を見た上で比べると彼ら麒麟というコンビでしか出来ない非常に演劇的、舞台的で多分、麒麟としては本当はコメディ、コント、スケッチ的なものが彼らにとっての姿で、漫才は便宜的にそのやりたい事をお客さんに解り易くする為のフォーマット、翻訳なんじゃぁないかなぁ? って思ったんですが… ファンの方だと既知の、周知の事実なんでしょうが、そういう見方をしてなかったもんで凄くこの生での体験ってのは刺激的で面白かったんですよね…
「あぁ、こういう形式もあるんだ… 」
 って。
 
 お約束やキャラに頼らないスタイルもあってネタづくりは非常に難しいと思うが、だから経年劣化をしにくいものになっているのではなかろうかとは思うが、出来れば「今」の漫才だけのDVDも出してはくれませんかいのぅ… あまり趣味ではないのかもしれんとも思うんだけどなかなか若い娘さん達が多そうなライブは行き難いですしのぅ…
 
 っと、思い出し書きなのでまとまらないままに終了。