『DOA: Dead or Alive (Hong Kong Version) (2006)』 - Region 3

 
 科学者ヴィクター・ドノヴァンが主催する格闘トーナメント“デッド・オア・アライブ(DOA)”。世界中から集められた猛者達の頂点に立てば賞金は1000万ドル。出場者は会場となる孤島に集められ、装着したブレスレットの合図があり次第、場所・時間を問わず生死を懸けた戦いを繰り広げる…
 
 ゲームの映画化で凄く良かった、ってのは記憶に無い私でございます。
一頃、よく作られてはいたもんですが印象に残ってる作品と言えば『トゥームレイダー』『バイオハザード』のそれぞれ1作目くらいですかね… って私からすると本作、それよりはやや落ちるものの【映画】としても【ゲームの映画化】としてもそんなには悪くはない作品ではないかな?って気がしなくもないんですよ。
 
 まず【映画】としては…
ツッコミ所が多過ぎる以前にストーリーも破綻しまくりなのを地上波二時間サスペンス劇場並の御都合主義で繋げていくんですけど、その繋ぐテンポの速さと所々での映像の綺麗さで見せてしまう、って事が出来てるだけでも大したもんじゃぁないでしょうか。特に竹薮でのカスミvs,アヤネのトコなんて色使いといいまぁ『グリーン・ディスティニー』なんですけど香港映画畑に比べて特に武術経験があるワケでもないハリウッド畑の出演者らでも観れるものにするだけのカット割り&テンポ、構図を上手く編集で繋いでるんですよね。
 全体的に緩急の間が短めにとってあって戦う場所のバリエーションも様々で展開も早い、となれば重くなく観終えた後に何も残らない気楽な娯楽としての映画として悪くない商品ではないかと。
 その分、作家性とか作品性ってのは無いんですが、そういうのばかりが、だけが映画ではありませんしね。
 
 続いて【ゲームの映画化】としては…
確かに登場人物それぞれの格闘スタイルが違う筈なのにフォームが一緒とかゲームでのムーブが無いとか似てるのは精々バイマンだけじゃんザックなんかヒデェよ酷過ぎるよ(涙目)とか、言いたい事は結構あるんですけど、無意味なセクシーシーン&ショットと中盤で延々やってるビーチバレーといい、わざわざこの映画を観に来るであろう観客が求める元ネタの再現って点でのこの割り切り方こそあのゲームらしさそのものではないかなぁ… っと。
 まぁ放課後電磁波クラブみたいな水着とか以前に『トゥームレイダー』のアンジェリーナ・ジョリー女史を見習って女性出演者全員に入れ乳くらいさせるべきかとは思うんですけど(笑)、まぁゲームのまんまじゃぁ畸形と大差無いですからあんなんで良かったんじゃぁないんでしょうか。
 それとキャスティングの妙なハマり方、ですか。
カスミ役のデヴォン・青木、ちょっとソバカスが気になりますけど無表情さはポリゴンキャラっぽいですし。ティナ役のジェイミー・プレスリーと父バース役のケビン・ナッシュは元キャラに似てはいないんだけどそれぞれ明るく屈託の無いキャラってのに上手くハマってそれはそれで悪くないし。
 
 そういう点で期待さえしなきゃぁ悪くない映画だとは思いましたが、間違っても本作をいい映画と言う気はござんせんな。
 
 っかね、
本来異種格闘技戦だったDOAの筈なんだけど皆ほぼフォームが一緒くただわ何か無理矢理なカップル展開とか大ネタっかキモのドノバンの計画が「世界中の格闘家からデータ収集をして弱点を表示するサングラスを生産」って時点でもぅ脱力。いやさぁ… それに対応・反応出来るだけの身体能力と技術がある時点で相当のツワモノの筈なんですがドノヴァン役のジュリア・ロバーツ兄がとてもそうは見えないって時点でねぇ… まして取って付けた組織の財宝探しのついでの大仏爆破といい、なんか適当ぶっこくにも程があるぞこの野郎(笑)、ってな具合にストーリーとしては滅茶苦茶もいいトコ。マンガ的ったらマンガに失礼なくらいいい加減で、と言って映画版『チャーリーズ・エンジェル』程にはブッ飛んでもいないしお洒落でもコメディ部分が面白いのでもなし、ってのではねぇ… まぁタイ映画の『Chai-Lai Dangerous Flowers (2006)』等の『チャーリーズ・エンジェル』のヒットを受けて粗製濫造された便乗・パクリ系の中ではテンポもアクションも出来はいいんですけどねぇ… っと、ウダウダ書かせないくらいに何か一つ、この映画ならではの個性があったのならば良かったんですけどそこまでの個性や情念は無い、ぶっちゃけソフトコアの『グラマーエンジェル危機一髪』とかの実に木曜洋画劇場ちっくな作品で、それを思うとおっぱいに生きおっぱいに死んだラス・メイヤー監督は偉大だなぁ… っと思うですよ。
 
 まぁリュック・ベッソン、ジャン・クロード・ヴァンダムやウェズリー・スナイプス、スティーブン・セガールとかの映画を観る時と同じように、真面目にってんじゃなくてもぅダラ〜っとお酒を飲みながら仲間とツッコミ入れまくるというのが正しい鑑賞法ではないでしょうかね。
 
 
 
 って事で、
以下はこのDVDについての情報なので興味のある方だけ

 
・『DOA: Dead or Alive (Hong Kong Version) (2006)』 - Region 3

 DVD Release Date: March 21, 2007
 Theatrical Release Date: 21 September 2006
 Publisher : Edko Films Ltd. (HK)
 Run Time: 86 minutes
 
 Aspect Ratio: 16:9 Widescreen
 
 Available Audio Tracks:
 English - DTS ES, Dolby Digtial EX
 
 Available Subtitle: Traditional Chinese
 
 Special Features:
 ・Making Of (22:13)
 ・Deleted Scenes
 ・Theatrical Trailer (2:06)
 ・Cast And Crew Filmographies
 ・Photo Gallery (10)

 

 
 これまた紙製のアウターケース入り。流行なんでしょうか?
画質は流石に去年の映画だけあって悪くはありませんが美麗と言うにはちょっと足りない… 全体的にザラついている上に細部がやや甘く発色はそれなり、ってなんですが昔の香港映画のDVDに比べたら全然マシです。ただ先日紹介した『Dragon Tiger Gate (DTS Regular Version) (Hong Kong Version) (2006)』と比べるとやや品質としては落ちるかなぁ… っと。音質も同様でクリアーですし悪くはありませんがもうちょっと… って気はしなくもありません。
 面白いと思ったのが、どう見たって中国で製作された本作であろうに中国語吹き替えが無いってトコでしょうか。一応字幕で中文は収録されていますが本編音声はず〜っと英語。あっても不思議ではないと思うんですが… ま、その方が「らしい」って判断だったのかもしれませんね。
 
 特典はそこそこ揃っておりまして「Making Of」は原作のゲーム画像も交えての20分以上もあるもの、「Deleted Scenes」は尺の都合で切っただけでティナとバースのビール飲み競争とかが収録されていて。「Theatrical Trailer」は香港劇場版予告編? それとも国際版予告編?かはちょっと判然としません。「Cast And Crew Filmographies」は主要5人(ケイン・コスギも含む)と監督らの略歴が英語と中文で収録されているというもの。全部で10枚、劇中のしかない「Photo Gallery」はぶっちゃけいらんとは思いましたが…
 
 原作のゲームに魂を捧げてるようなヘビーユーザー以外ならコレは暇潰しには悪くないんじゃぁないんでしょうか。期待さえしなければ楽しめる娯楽作品ですんでレンタルでの数合わせとかには悪くないブツかと思いますよ〜