芸。

 
 丁度自分が何度目かの落語に興味を持った頃に製作の話題があって興味があった映画『しゃべれども しゃべれども』(公式HP)。ただ監督が『学校の怪談 (1995)』以外、正直言って… 

  • アイディアはいいけど何もかも中途半端な『マリアの胃袋 (1990) 』、
  • 説明を描写じゃなくて台詞でやっちゃってゲンナリした『ターン (2000)』、
  • 原作をこういう形でも映像化出来る、って点ではアリとは思うが… って『OUT (2002)』、
  • どうしたって深作版と比べるしアプローチって点でも… って『魔界転生 (2003)』、
  • これまた脚本が酷過ぎの『レディ・ジョーカー (2004)』、

 って印象しかない平山秀幸監督作品、って事もあったのと、先日妻が買ってきたコミック版の

しゃべれどもしゃべれども (ジェッツコミックス)

しゃべれどもしゃべれども (ジェッツコミックス)

 
 が、読み易いんだけどその分人物描写が薄いし、いくら一門会って内輪にしたって先輩の真打より後に後輩の二つ目がやってトリが師匠? とか着物とかデティールに若干疑問もあったしラスト前のクライマックスの処理が個人的にはもひとつ2007年05月20日に訂正します、
 
よくもまぁあのとっ散らかった原作を再構成して、かつビジュアルで伝えるものにした事か。原作を読んで解りました。反省してます、ハイ。デティールがおかしかったり物足りなかったのは間違いなく原作のせいで、その原作に比べたら十二分に見て納得出来るものになってましたし、クライマックスの処理ももぅお見事でした。魅力的ですし、楽しかったですし、考えてみればこのマンガ版はすぅっと入れましたもの。勝田文様は偉大です。
 
「まぁDVDでか、地上波での時での視聴でもいいかねぇ… 」
 っと思ってたんですよな。
ぶっちゃけ『タイガー&ドラゴン』の長瀬君らにしろ、『林家三平ものがたり』での山口君にしろ、ビジュアルとしては決して悪くないにも関わらず、それでもやはり噺の場面では板についていない分【お話としての嘘】としても抵抗感を感じていたんですよな。
 
 で、
 

 
「落語家の日常を見事に描いている」 
「プロよりけいこしてる。すごいけいこ量だと思う」
「何度か泣いてしまった。国分さんが15歳くらいのとき、初めて一緒に仕事させていただいたんですが、こんなにうまくしゃべれるようになるとは」

 
 デイリースポーツ - 桂三枝が“落語家・太一”に太鼓判より
 

 
 ってのも芸事に対する三枝師匠の伝聞からすると体のいい誉め殺しかと思ってたんですが『ザ!鉄腕!DASH!!』で一瞬だけ流れた国分君の噺のシーンに思わず見入ってしまって、丁度ムービープラスで特番をやるってのを知ったのでその特番を観たんですが…
 
 アレですね、三枝師匠のお言葉、若手への嫌味・当て付けなんですね。
 
 TOKIOでのデビューが94年、ってのを前座デビューと一緒にするのもアレなんですが。
 
 しかし、稽古をつけた柳家三三氏曰く、撮影前の一ヶ月に数回だけだそうで、その一回の稽古が2〜3時間で宿題アリったって見習の人よりは短いんじゃぁないんでしょうか。ちゃんと稽古をつけてもらえるのが見習いから、ってのにしたってもうちょっと長いでしょうに、それでもちゃんと噺家としての雰囲気や所作が身から浮いていないように見えるってのはどういう事なのか… 考えてみれば芸能人社交ダンス部の最初でも練習時は本当に冴えなかったのがいざ本番になると集中力とまさに芸能人としての雰囲気、華で耳目を集めてしまうものになっていたもんですが、芸を掴むという事においてはそこらのモドキよりも優れているからこその【芸能人】なのかなぁ… っと興味を持ち直したので

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

しゃべれどもしゃべれども (新潮文庫)

 をオーダー。
まぁ映画の方は劇場で観るべき絵かどうかは微妙なトコだし、『異人たちとの夏』で原作の山田太一の小説が東京に対する思慕・詩情であったものを映画版で大林宣彦は親子の物語にして別の味になったのと同じようなのかもしれんしねぇ… まぁ、原作を読んでみてから、でもいいかなぁ… とな。
 
 長々とした私の感想はさておき、CS視聴環境でムービープラスが観られる方は

 
16(水) 深夜3:15
17(木) 夕方6:15
18(金) 朝8:00
21(月) 夕方5:30
22(火) 午前11:15
24(木) 夕方5:15
25(金) 朝8:00

 

 っとリピート放送がありますので是非… 
レポーターとか番組自体の出来はロクなもんじゃぁないんですが、記者会見の模様とか素材はいいんで… っとオススメしますよ〜。
 
 
 
【以下、ムービープラスに対する罵詈雑言の余談】
 今回ムービープラスのページを見て、「平山秀監督」という誤字発見。正しくは「平山秀」ですが… 一事が万事、って言うつもりもねぇんですけどね、しかし映画情報番組で明らかにロクに映画を観てるとは思えないコメント乱発の中井美穂を司会にしてたり、変なコント立てにした分、余計に中身が薄くなる「シネマ★タクシー」といい、このチャンネルの番組のやってる事ってなんかズレてるとしか思えないんですけども。っか失礼じゃないかと。
 私んトコのように地元CATVでセットになってるってトコでライト層向け、って事なのかもしんねぇけど映画好きって人には確実に物足りない映画が大半な上に独自製作の番組が低俗だわ情報としても遅いわ浅いわ薄いわ… ってなので私はE!以外はまず観ない、全く観ない月もあるんですよね、ココ。
 今回の「密着!『しゃべれども しゃべれども』by プラス・プレス」って特番にしたってリポーターの喋りが稚拙なのはまぁ我慢の範囲内なんだけど、そんなのが出演者と同列の扱いのショットやらが出てくるのなんか噴飯モノですよ。戸田奈津子の通訳が出来が悪い上に主役然としてみっともないのと同じで、キチンと素材を構成して同じモノを見せないようにするとか配慮しようと思えばいくらでも良くなる筈なのにそうはならない。配給会社から渡された素材はもうちょっとあった筈だろうし、足りないのならば交渉をして借りるなり新たに作ればいいだけ
なのにそうもしていないイージーさといい、何かここの製作の人間って映画嫌いなんじゃないの? じゃなきゃ映画界に恨み辛みがあるとか? って思うくらいに作りが酷いんですよ。
 映画を紹介、語る切り口が俳優と監督しか無いワケでもないでしょうに。美術、技術、歴史、伝統、御国柄、っと色々あってそれを解り易く伝えてこそのプロじゃぁないのかと。半端仕事しか出来ないんならつまらねぇ自己顕示欲なんて出さずに黙々と宣材に徹すればいいのにそれも出来ずにいて。チャンネルNECO「「監督・ばんざい!」公開記念 特集『北野映画・ばんざい!』 」ってのと比べても、ホンマ、あきませんよ… そもそも洋画中心のこのチャンネルで何で邦画の特番なんだかサッパリ解りませんが、出来がこんなんでしかもコレ単発、これが邦画系チャンネルなら噺家さんがが出演した映画や噺や落語家さん周辺を題材にした映画とかを放送ってのが出来たのを思うと、余計にムービープラスなんかで取り上げられたのがなんか勿体無いっか残念なんですよ、私は… ちょっと前ならば邦画は観ないって映画好きだって結構いたから有効だったかもしれないけど、今時はそういう人も減っているだろうし。
 映画自体の出来は未見なんで知りませんし、こんなプロモーションででも効果がありゃぁいいとは思いますけど足ぃ引っ張りゃぁしねぇか?って以前にまず、もうちょっとこの局は何とかならんもんなんでしょうかのぅ… ぶっちゃけ、月々のCATV視聴料にこの局の分も含まれていてこの局だけの解除とかは出来ないから何かボッタクリくらってるっか乞食に追い銭払わされてる感じがしてるんですよね、ええ。
 
【2007/05/16追記】
日本映画衛星放送のこの企画、鼻血出そう… 
 そうなんですよ、単発のコレだけよりもこういう企画とのセットで多層的に紹介ってのもして欲しいじゃぁないですかぁ…