『Kaal (2005)』
二ヶ月前、Orbit Parkにて発生した外国人旅行者の死亡事件が本当に虎によるものか否なのか、ナショナルジオグラフィックス社の依頼を受けてKrish(John Abraham)は妻のRiya(Esha Deol)と共に現地へと向かう。一方、Dev(Vivek Oberoi) と恋人のIshika(Lara Dutta)とその友人Vishal(Vishal Malhotra)とSajid(Kushaal Paunjabi)らも休暇にとOrbit Parkに向かっていたが、彼らの最新鋭の車は何故か途中で故障してしまい、折り良く通りかかった現地の人の車に乗って旅行を続ける事になるが、ドライバーの前方不注意によってKrishらの車に追突。仕方なく一緒に行動する事になったのだがKrishが振り返ると彼らが乗ってきたジープの運転手兼ガイドが姿を消していた。そして辿り着いたゲストハウスの従業員、こっそりと一人で狩りに出ていたSajidが戻らないので仕方なくKrishらは探しに出たものの、草原で彼らは虎の群れに囲まれる。しかし、何処からか現れた男が近づくや虎は皆去っていってしまう。ジャングルに住むというKali(Ajay Devgan)は静かに告げる。
「ジャングルでの規律を守らねば、お前達は生きて帰れないだろう…」
2005年のインド国内年間興行成績第11位、Above Averageという評価のインドのホラー映画でございます。日本以外にもアメリカ、そしてタイ等、娯楽作品としてのホラー映画というのはインド映画にはあまり無さげで珍しかったのと「森での惨事は虎か? それとも別な凶暴な生き物か? それとも…」ってストーリーにも興味がありましたし、個人的にKrish役のJohn Abrahamが『Elaan (2005)』や『Dhoom (2004)』で決して演技が巧いタイプではないものの地の雰囲気で見せてしまうタイプで私はそれなりに好感を持ってるんで… って事でオーダーしましたが、そんなに悪い作品ではございませんでしたよ。
いや観る前はインド版『クライモリ(Wrong Turn (2003))』系のスラッシャー映画かと思ったんですが、実際は『FINAL DESTINATION (2000)』シリーズのパクリ系で、死神の代わりに…ってその試みはそれなりにチェイス、サスペンスとして成功してたと思いましたもの。そりゃまぁ技術的なものかインドの倫理的なものなのかは知りませんがゴアシーンは正直言ってショボイんですけども、ゴアを見せ場にしないからそんなに気にもなりませんでしたし、オチの引き方も思わず笑わせてもらったのも含めて2時間、退屈をしない映画だと思いましたな…
ただ難点はいくつかありまして。
まず「ミュージカルシーン」が不要。冒頭とEDロールに明るい感じのゴージャスなミュージカルシーンがあるんですが、これが何の必要も無い。単なる無駄。無駄なんだけど手間かかってて豪華、って無駄の極めつけみたいなもんで本編中に入らなかった事は良かったものの、インド映画のお約束だからか何か知りませんがこれは本当に必要が無い無駄なだけなシーンなんで不要でございましたな…
次に「人物のキャラ立ちがもひとつ」。
ジャングルに住むという謎の男Kaliを演じたAjay Devganという人が、なかなかに気持ち悪い演技をしていて立ちまくってたのと比べると、RiyaとIshikaちう女性キャラがどっちもどうでも構わねぇいい加減な扱い&キャラで、ミニスカとホットパンツとか観客へのサービスショット要因以外いてもいなくてもいい脚本なんでこれもちょっと残念な点、ですな。
あと個人的には「もうちょっと殺される必然性」を… ってトコですかね。
無理から自然保護とかのメッセージにしなかったのは良かったと思うんですが、物語的に殺される必然性あるのならキッチリとその理由を、無いのならもっとアッサリとやるべきなんですが、そのどちらでもないんでちょと中途半端な感じになっていたのが勿体無いな、っと。その割り切りさえ出来ていたらもうちょっとスッキリした印象になったのになぁ… っと。
とは言え、
本物の虎を使った撮影といい、森林を舞台にしたホラー映画で観た事の無い風景が観られ、新しい事をしようという意欲も見えた本作、私的には楽しかったですよ。ただまぁインド映画好きの方にはどうかなぁ… ホラー映画好きには観てみても悪くないかと思うのですが、スターさんがいて恋と愛の家族の物語ってのでもないしで観る人は選ぶかとは思うのですが、インドに限らずホラー映画に興味があられる方は… 特にJohn Abrahamのファンの方ならサービスショットもあるしでいいんではないかな? っと思うのですが、インドの歴史とか現状とかの批判でもないんでそういう映画が好きな方は避けた方が無難やもしれませんね… 私は楽しみましたが、まぁ声を大にしてオススメをする程ではない、ってトコですしね。
と言うことで、以下はこのdvdについての情報なので興味のある方だけ
・『Kaal (2005)』 - ALL Regions
Studio: Yash Raj Films
Theatrical Release Date: 29 April 2005
DVD Release Date: 6 Jun 2005
Run Time: 126 minutes
Aspect Ratio: Widescreen - 2.35:1
Available Subtitles: English, Arabic, Spanish
Available Audio Tracks: Original 5.1 Dolby Digital Sorround - Hindi
Special Feautuer:
・Songs
"Kaal" (5:02)
"Tauba Tauba" (4:53)
"Nassa Nassa" (4:23)
・The Making of "Kaal" (21:46)
・Promos (6)
・Theatrical Trailor (1:36)
このdvdはYash Raj Films社オフィシャルより購入したUK版なので他の版ではまた違うやもしれませんがあしからず。ちなみにUK版と言ってもNTSCなので普通に日本国内のdvdプレイヤーで再生出来ます。
画質、音質は良好。
時折アスペクト比間違えてる?げな画面になりますが、それは演出ですんで。ノイズも無いしシャープな映像と音質だと思うんでこれは良好、でいいんではないかと。
さて特典、ですが…
「Songs」には三曲収録されております。
「Kaal」は冒頭でノンテロップ収録。プロデューサーのシャールク・カーンが何故かここで踊ってますが、これも集客の為、なんでしょうかね?(笑) でも歌詞も映像もシャールク自体も本編とは何の関係も無いんですよね…
「Tauba Tauba」はエンドロールのをワイド&ノンテロップ収録。これまたひたすらに豪華にVivek Oberoi、John Abraham、Lara Dutta、Esha Deolが踊ってるんですがやっぱり歌詞や映像に特に本編の関係も無く… 何せ一人役柄で死んでる人がいますし。まぁダークで緊張感が高い本編の浄化って点で必要だったのかな?
「Nassa Nassa」は映画のイメージソングでしょうか。PV的にダンスと本編からの映像がミックスされたものですが、本編では確か使われてなかった筈。まぁこれはこれでアリではないかと。
「The Making of "Kaal"」はナカナカに見応えがあった一品。フルスクリーンでちょっと画質が悪いのが難点ではありますが、出演者らがそれぞれのキャラクターについてや撮影の感想等を語ったりするので本編との比較が楽しかったですね。個人的には監督ら撮影する側のコメントやプロデューサーとして気を使った点とか聴いてみたかった気はしますが…
あ、でも本編ではヤなヤツだったVivek Oberoiが素の時はなんかいい兄ちゃんだったのに対してJohn AbrahamはJohn Abrahamなまんまってなのは先が思いやられると言うか、出演作のワリにもひとつブレイクしてるとは言い難い彼氏の理由のような気がしなくもありませなんだな。
「Promos」はTVでの、「Theatrical Trailor」は劇場での予告編、っと。
各メニュー選択する旅に虎の吼える映像が再生されるメニューはややウザイ感じがしますし多少の食い足りなさはあるものの一通り特典として揃っていますしソフトとしては悪くないんじゃないんでしょうか、コレ? 特に… それこそ「シャールク・カーンの手掛けた映画!」とか… 期待をしないでつるっと観るには手軽で気楽なブツだと思いましたよ〜。