『Bunty aur Babli (2005)』

 
 平穏ではあるけれどもダサイ小さな田舎町にいる事に飽きていて、どうするかはよく解らないけれど町を出て何者かにはなって国中に名前を知られるような男になりたいと夢想はするものの現実にその一歩が踏み出せないままに特に就職もせず実家にいて、何となく両親とも気まずくなってきているRakesh(Abhishek Bachchan)。
 平和ではあるけれど退屈な小さな田舎町にいる事に飽きていて、どうすればいいのかはよく解らないけれどいつかトップモデルになりたいと想うものの現実にその一歩を踏み出せないままに実家にいるVimmi(Rani Mukherjee)はすっかりいい御年頃、って事もあって両親からは結婚する事を勧められてばかりでウンザリしていて。
 そんな住む場所は違うが似た二人は、こっそり家を出てそれぞれの夢を叶えるべく街にと旅立つものの、現実にはそれぞれの夢を叶える為の入口すら辿り着けない有様で意気消沈&傷心に落ち込んでいた駅のホームで出会う。共に新たなチャンスを得るべくより大きな都市ムンバイへと向かう事にするが結果は同じで資金も底を尽いてしまう。そこでRakeshはVimmiに活動資金を得るべく詐欺のアイディアを持ちかけ実行、まんまと金持ちからそれなりのお金を奪う事に成功。お互いに良いコンビだと友情を抱きつつインドで夢の叶う街ボンベイへと向かう為に二人は様々な手口で詐欺を繰り返してゆくが、次第に二人はRakesh、Vimmiというそれぞれが持っていた夢よりも、詐欺師としてのBunty、Babliとしての夢と互いに愛し合い生きてゆこうと決め、彼らだけの結婚式をする。
 しかし、
BuntyとBabliの名前が上がり、それが悪評ではなくむしろ好意的にさえ受け取られる世評に、敏腕警官Dashrath(Amitabh Bachchan)が捜査に乗り出す。デパートからの大量強奪やタージマハールの偽売却等、BuntyとBabliの詐欺に関わった連中を尋問する事でDashrathはBuntyとBabliの思考や行動を分析し彼らの気持ちになってパターンを読み彼らを追い詰めてゆくのだが、その頃Vimmi(Babli)のお腹には赤ちゃんが…

 
 BoxOfficeIndia.comによれば2005年度年間興行成績第2位、インド映画界歴代興行成績16位というヒット作、だそうですが、実にオシャレで楽しいコメディ映画でございました。観ていてライト感覚の『白昼の死角』? とか思ったりもしましたが、説教臭くなったりもせず無理に人死にとかの悲劇やらを盛り込まないで最後まで見せてくれた作品だったので観終えての気分もとても明るく楽しいものでございましたが、これは多分、『オーシャンズ11』のように盗みのプロ集団のゲームではなく、若者のボーイ・ミーツ・ガールっ〜青春の寓話としてまとめた裁量にあるのではないかと思うのですよ。
 
 お話そのものにデティール以前にリアリティとか非常に薄いんですよ、でも、そんな二人が出会った人々や出来事等の様々な経験をして辿り着いた答えを陳腐と言うのは簡単なんですが、そう評するのには何者かになりたい、夢を叶えたい、と漠然と思いつつも踏み出せないでいる若者の想いをウェットになり過ぎないで汽車と重ねて描いた最初のミュージカルシーン「Dhadhak Dhadhak」、楽しいからこそ切なさもあって… ってのを観た時点で私の中では無しになってましたよ。
 っかね、
寓話として割り切れるからこそ憧れ、託せれるものもあるんじゃぁないんですかと。そして寓話として、素敵に楽しい作品になってるんだから、ゴチャゴチャ皮肉ったりするよりも素直に楽しむのが一番じゃぁないんですかのぅ… どうもそういう映画、とんと観てないのと、決してBuntyとBabli、いやRakesh、Vimmiという二人が抱く想いがインドに限ったものとは思えなくて、なんか素直に感情移入して最後まで観てしまいましたよ私は。
 
 主要出演者が3人、と少ないのですが皆、それぞれ巧く観ていて安心しきってましたし、カット割りやセット等の美術の綺麗さと映画のテンポ、そして楽曲の楽しさや意外なゲスト出演等もあって素直に楽しめる娯楽作だと思います。欲を言えば… ボンベイの街並みをもちっと映して都会っぷりを印象づけて欲しかったのと、若干最後に蛇足のエピソードがあるのが残念ではありましたがあくまでもそれは欲を言えば… って程度。田舎がよく出るけど泥臭くない洒落たエンターテイメント作品だと思いましたよ〜
 
 
 
 って事で、
以下はこのDVDについての情報なので興味のある方だけ

 
・『Bunty aur Babli (2 DVD Set)(2005)』 - ALL Regions
 
Studio: Yash Raj Films
Theatrical Release Date:
DVD Release Date:
Run Time: 164 minutes
 
Aspect Ratio:
 16:9 Anamorphic Widescreen Presentation (2.35:1 Aspect Ratio)
・Available Subtitles:
 English, French, Arabic, Spanish, Dutch, Tamil, Telugu, Kannada, Malayalam, Gujarati and Bengali
・Available Audio Tracks: Hindi (Dolby Digital 5.1)
 
DVD Features:
DISC 1
・SONG SELECT

DISC 2 ・SPECIAL FEATURES:
・The Making of The Film (22:50)
・Deleted Scenes (16:17)
・Out Takes (2:42)
・BnB Music Video (3:58)
・Making of BnB Music Video (19:43)
Theatrical Trailer (1:42)
・Music Release function (6:28)
・Television Promos (4:58)

 

 
 本編ディスクの画質・音質は美麗です。っか、これでインド映画関係のDVDは6枚目なんですが、今のトコロ本作がダントツに美麗です。US版や日本版の映画のソフトでコレより落ちる品質のも少なくないだけにこれだけでもまず嬉しいですね。
 
 字幕は一杯ありますがぶっちゃけEnglish以外は用無しっか理解出来ない私(苦笑)なんで英語字幕のみの印象を書きますと… チト微妙かと。機械翻訳臭い印象が若干あるのでちゃんと英語が解る人にはかえって混乱するような気がしなくもありません。
 また『Jeans (1998)』『Hadh Kardi Apne (2000)』 のように外国も舞台になる作品だと英語の台詞も多いので私的にはまだ何とかなったのですが、本作はインド国内が舞台なんでほぼ全編ヒンディ語なもんですから台詞表示量が多い分、表示速度も短くなりがちでちょっと読むのに苦労をしました。表示方法は日本方式と同じで画面にカブらずフォントも綺麗で読み易いとは思いますが…
 
 特典ディスクの画質・音質は若干落ちます。
ケーブル局でのTV特番(MTV India?)のようで、ちょっと残念ではありますがメイキングはスタッフ&キャスト全員の訛りの度合いは違えど全部英語だったんで全く解らないという事はないかと。普通、その国の版のDVDだと特典部分は全部その国の言葉、ってのを思うとこれは有難かったですな…
 
 …って事で、個人的には『Elaan (2005)』に続いてヒットのDVDでありました。やっぱり、いくら本編が面白くても画質・音質が悪ければ印象は落ちますし、特に本作のように衣装やセットだけでなく画面がカラフルで楽しくて綺麗な作品でしたから、ね…